そろそろ今年の梅しごとの準備をはじめたという方もいる今日この頃。実は、今年は全国的に梅が不作と言われています。国内の梅の6~7割を出荷する和歌山県でも同様で、3月には広域でひょうの被害に見舞われたため梅が傷つき、『不作とひょうの被害のダブルパンチ』となり更に厳しい状況です。出荷予定数は例年の3割程度と危機的な状況の中、今年の梅しごとについて、クックパッドアンバサダーであり、梅講師として20年近く活躍する梅ミッキーさんに聞きました。
そんな年は、梅が購入できず困る前に、早めの時期から梅しごとをされる事をお勧めします。そこで、私からは傷のある梅でも問題無く、楽しく梅しごとをして頂けるレシピをご提案します。
梅ミッキーさん:「例年は梅の傷を気にされる方も多いですが、出荷量が少ない今年は梅を店頭で見つけたらラッキー!と、生産者さんが一生懸命育てた梅へのご理解と、心温かい支援のお気持ちで、早めにお買い求めいただけたらうれしいです」
傷がある梅でも問題ないとのこと。どの程度の傷であれば問題ないのでしょうか。
梅ミッキーさん:「ひょう害による傷は、傷の見た目は大きくても、乾いていれば問題ありません。梅シロップ、梅酒、梅サワーなどの梅ドリンク、梅醤油、梅昆布酢などの調味料は、梅の実からエキスを抽出して頂くレシピです。傷があっても全く問題ありませんので、気にすることなくお楽しみください!」
梅ミッキーさん:「このレシピでの分量は、梅300gで表記していますが、梅:氷砂糖:酢の割合は10:10:1が基本なので、その時の梅の分量に応じて簡単に換算できます。
お砂糖は上白糖やきび砂糖でも仕込めますが、一番のおすすめは氷砂糖(ロックタイプ)です。ゆるやかに溶けて、溶け残りがなく失敗しづらいので、梅のエキスを十分に引き出してくれますよ」
梅ミッキーさんのレシピは初心者にもおすすめ! とのことですが、漬ける際のポイントを教えてください。
梅ミッキーさん:「完熟前の青色の梅がおすすめです。種の大きさはどの梅もほぼ同じなので、大きい梅のほうが実の部分が多くなりエキスも多く出ます。ただ、大きい梅はその分高価になりやすいため、L〜2Lサイズがお値段のバランスも良くておすすめです。今シーズンは、収穫量自体少なく相場が上がる予想なので、本来捨ててしまう梅シロップや梅酒の完成後の梅の実まで食べると、捨てる部分が少なくエコなレシピになります」
理想的な梅を用意できたら、できる限りおいしく仕上げたいです。初心者でも失敗しないための注意するべきポイントも教えてください。
梅ミッキーさん:「失敗で多いのは漬けている途中で発酵してしまうことです。これを回避するために、まずは清潔な瓶やジッパー付き袋を使い、作業の前に手をきちんと洗いましょう。そして、私のレシピは殺菌作用もあるお酢を使います。爽やかなりんご酢を使えば余計な酸味も気にならず、梅の香りを引き立ててくれますよ。そして、お砂糖は定番の氷砂糖を使えば、スムーズに梅のエキスを引き出せて、漬けはじめの最大の発酵危険ポイントを回避できます」
要所を押さえれば、初心者さんでも極上の梅シロップが簡単に作れそうですね。また、シロップ作りに青い梅を選ぶのも、発酵を防ぐためだそうです。熟し具合を見ながらうまく使い分けたいですね。
基本の梅シロップ以外にもおすすめレシピをご紹介してもらいました。
漬けたシロップは3週間ほどで梅のエキスがしっかり出て完成するそうです。どんな使い方ができるのでしょうか。
梅ミッキーさん:「普通にお水で薄めて飲むほか、炭酸で梅ソーダに、そして牛乳で割って飲むのもおすすめです。トロッとしてヨーグルトのようになるので、牛乳が苦手な方にも好評なんですよ。また、そのままかき氷のシロップに使っても良いし、調味料のかわりにソースやドレッシングにも使えます」
大人の方には、お酒や白ワインで割るのもおすすめなのだとか。これからの蒸し暑い季節にぴったりなので、ぜひ自分で仕込んでみたいですね!
今年の梅は不作に見舞われながらも育った貴重な果実。梅シロップを楽しんだあとは、ぜひ漬けた梅の実も活用してみてください。
(TEXT:山田かほり)
梅講師を初めて19年目。梅のシーズンは毎年大忙しで、店頭やメディアを通して多くの方に梅しごとの楽しさを伝授しています。梅酒や梅干しの漬け方はもちろんのこと、梅素材を使ったお菓子やお料理のレシピも紹介中。栄養士やフードコーディネーターの資格もあり、普段の食卓のコーディネートも得意。クックパッドアンバサダーとしても活躍中。
クックパッドのキッチン:梅ミッキーのキッチン
Instagramアカウント:umemickey_kitchen