四季が豊かな日本には、たくさんの季節行事があります。そんな季節の楽しみ方を子どもにもぜひ伝えていきたいですよね。おやこで語る季節のお便りシリーズ、4月は「お花見 」です。ぜひ、お子さんに読み聞かせしてあげてください。
暖かくなってきて春が来ると、ピンク色の花、桜が咲くね。テレビのニュースで「桜がもうすぐ満開です」「桜が見頃になりました」って言っているのをきいたことがあるかな。
桜は咲いたらすぐにハラハラと花びらが散るんだ。その姿がきれいなので、日本人は桜が大好き。今から1000年ぐらいの昔にも、貴族っていうえらい人たちが、桜を見ながら食べたり飲んだり歌を歌ったりしたんだって。
お米を作っている人たちはどうかというと、桜の花が咲くとそこに神様がおりてきたと考えたんだ。桜がたくさんきれいに咲けば咲くほど、お米がたくさんとれると言われてたんだって。
だから、桜の花の下でやってきた神様をおもてなしするために、食べたり飲んだりしたんだよ。お酒もお弁当も神様にお供えするためのものだったんだね。
「花よりだんご」って言葉を知っているかな。見ていてきれいな桜の花より、食べておいしいだんごのほうがいいってことわざなんだ。
そんな桜の花びらだけど、食べることもあるんだよ。漬物みたいに塩をたくさんつけておくと、桜の塩漬けっていうものになって、ご飯に入れたりお茶に入れたりするよ。
それに桜の葉っぱも同じように塩漬けっていうものにして、桜餅っていうお菓子に使うよ。
今度のお休みにはお花見に行って、桜の花と葉っぱをよく見てこようね。
古来、日本人は桜を愛でてきました。花の散りぎわよいことが、はかなさを好む日本人に受けたのでしょう。平安時代には多くの桜が都を彩り、宮中では桜を愛でる宴が催されました。
一方、農村では桜の咲き具合がその年の稲作を占う、大切な目安となってきました。酒やごちそうを用意し、稲の神に供えたお下がりをもらって、花見を楽しんだと言われます。
そのような貴族の遊びと農村のしきたりが結びついて、江戸時代には花見が庶民の楽しみとして定着していきました。
普段なにげなく行っているレジャーにも昔からの意味があることを、お子さんに読んで聞かせる機会としてみてくださいね。(TEXT:松崎祐子)