世界文化遺産に登録された「和食」が世界に誇れる特徴としてあがっている、一汁三菜を基本とする食事スタイル。でも日々の食卓では献立こそ悩ましいもの。実はバランスの良い献立の決め手は「副菜」。特に「油を使わない副菜」をいかに取り入れるかが鍵だとか。プレミアム会員向けサービス「管理栄養士が選んだ献立」を作成しているクックパッド管理栄養士による副菜レッスン、2回目スタートします!
出来上がった料理が並んだ食卓を見てみると、肉料理、炒め物や揚げ物など油をたっぷり使ったおかずが複数…なんてこと、ありませんか? 事実、日本人の摂取カロリーは50年前とさほど変わりがないのに、油脂の摂取量は年々増加傾向。それに比例するように、肥満が増加しています。もちろん油脂も細胞膜やホルモンを作る材料となったり、私達の体にとって重要な栄養素である事は確かですが、油脂の過剰摂取が肥満の原因になっていることは明らかです(参考:農林水産省)。
ちょっとむずかしいのですが、そもそもカロリーとは、食物が持つエネルギーを現す単位のことで、密閉容器の中で食品を燃やした時に、発生した熱量によって水の温度が何度上昇するかで示されます。ちなみに1calとは1gの水の温度を、1℃上昇させるために必要なエネルギーで、栄養学ではこの1,000倍 のキロカロリー(kcal)を基本単位としています。体内でエネルギー源として利用される栄養素には、糖質、脂質、たんぱく質がありますが、糖質とたんぱく質は1gあたり4kcalに対して脂質は9kcalのエネルギーを発生します。「油はカロリーが高い」と言われるのはこのためです。
ちなみに、大さじ1杯の液体の油は110Kcal(サラダ油でもオリーブ油、ごま油でもすべて同じ)。普通大きさの茶碗によそったご飯の約1/2杯分(65g)に相当します。でも、大さじ1杯って、炒め物や和え物する際にあっけなく使ってしまう量だとは思いませんか?
油を使った主菜は家族が満足のいくボリュームになり、そして何より短時間調理で美味しく仕上がるのは事実ですから、なかなか油をカットしづらいですよね。そこで提案!せめて副菜は油を使わない一品にしてみませんか? それだけで献立バランスがぐっとよくなるのです。
副菜というとサラダが一番出番が多いかと思いますが、サラダはドレッシングやマヨネーズなど、どうしても油とともに摂取しがちです。そこで、注目したいのは「うま味」と「香り」です。
味覚は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」、そして第5の味覚「うま味」。そのうま味をきちんとわかる繊細な舌をもっているのは、私たち日本人だけとも言われています。また、日本人は薬味や香りの使い方も非常に上手。ねぎ、しょうが、わさび、ゆず、木の芽、三つ葉、みょうが、ごま等を上手に取入れると、旬を感じたり、エッセンスが加わるだけで、料理のレパートリーは広がります。
この日本人ならではのうま味と香りを上手に利用すれば、油を使わなくても大満足の1品が出来るはず。「うま味?ダシをとるの?面倒じゃない??」とそんなに難しく考えなくても大丈夫。クックパッドにも簡単にうま味を活かした副菜が紹介されています。
いかがでしたか?このようにかつおぶしや昆布、めんつゆを活用すれば、手間をかけなくても意外と簡単に油を使わない美味しい副菜が仕上がりますよ。 油を使わずにうま味をプラスすると、食材自体が持つ美味しさや香りが一層際立ちます。せっかくうま味を感じる事が出来る繊細な味覚を持って生まれてきた私たち日本人。この味覚を大事にし、毎日の副菜に取り入れていきましょう。