〜健やかに美しく人生を過ごすには、女性の体には欠かせない栄養素があります。「女性の人生に必要な栄養素」連載第7回は「ビタミンB6」です〜
月経前になんとなく気分が落ち込んだり、イライラしたり…そんな経験ありませんか?調査によると、なんと9割以上もの女性が月経前に何らかの身体的、精神的な不調を感じているんだとか。このような症状は月経前症候群(PMS)と呼ばれますが、このPMSの症状緩和に効果があるといわれているのが、ビタミンB6という栄養素なのです。
月経前症候群(PMS)とは、女性ホルモンの影響で、月経の3日〜10日前に起こる身体的、精神的な症状のこと。症状には個人差はありますが、代表的なものとして以下のような症状が見られます。
【身体的症状】
頭痛、腹痛、肩こり、腰痛、ニキビ、肌荒れ、便秘、冷え、むくみ、めまいなど
【精神的症状】
イライラする、気分が落ち込む、不安感におそわれる、人と会いたくない、だるい、涙もろくなる、集中力がなくなる、無気力になる、眠い、食欲のコントロールができないなど
PMSは、約28日の周期をもつ女性ホルモンが大きく関わっていると考えられています。
まず、月経開始から約14日前後に排卵が起こります。その排卵日までは妊娠に備えて卵胞ホルモン(エストロゲン)が盛んに分泌されますが、同時に卵胞ホルモンの分泌は神経伝達物質セロトニンの分泌と比例しています。セロトニンは精神の安定をもたらす成分でもあり、別名「幸せ物質」とも言われている成分。気持ちを明るくし、精神の安定をもたらす効果があるため、セロトニンが分泌されるこの時期は気持ちもすっきり快適に過ごすことができるというわけです。
いっぽう、排卵日後は妊娠を継続させるように卵胞ホルモンの分泌は減少し、代わって黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。この卵胞ホルモンの減少とともに、前述のセロトニンの分泌も減少し不足するため、イライラや不安感が強く起きます。また排卵日を境にホルモンが大きく切り替わることにより、自律神経自体も乱れやすくなり、体にさまざまな不調が起きやすい状態に。こうした女性の体内での変化によってPMSという症状が起こると考えられています。つまり、PMSは病気でもなければ、自分だけおかしいわけでもありません。ホルモンが正常に働いている証拠といえるのです。
ビタミンB6は元来、食事で摂ったたんぱく質をアミノ酸に分解し、体を作るためのたんぱく質に再合成されるのを手助けする栄養素、つまり健康的で美しい肌や髪を作るのに不可欠な栄養素です。
では、ビタミンB6がなぜPMSに効果的といわれているのか。それは、先ほどあげた「幸せ物質」=セロトニンを始めとする神経伝達物質の合成にビタミンB6が関与しているから。女性はもともと男性に比べてセロトニンの分泌量が少ないため、しっかりビタミンB6を摂ることが、セロトニンの合成につながり、ひいては心の安定につながるといえるのです。
ビタミンB6は主に肉や魚など動物性たんぱく質に多く含まれています。
レバー、牛赤身肉、鶏ささみ、かつお、まぐろ、鮭、さんま、いわし、さば、バナナ、さつま芋、にんにくなど
ビタミンB6は光や酸化に弱いビタミンなので、購入後なるべく早めに調理しましょう。
さんま、にんにくにはビタミンB6が豊富に含まれています。ビタミンB6は冷凍によっても壊れやすいので、旬の時期に生のさんまで味わって。
脂肪の少ないお肉を選ぶと、ビタミンB6を効率よく摂取できます。
ビタミンB6が豊富なバナナ。シナモンには頭痛を抑える鎮静効果やリラックス効果があります。
PMSだからといって仕事や家事はなかなか休むことができませんが、今やらなくていいことは頑張りすぎず、少し先延ばしにしてなるべく気持ちがリラックスできるような環境においてあげましょう。好きな音楽を聞く、アロマやハーブを使ってみる、ゆっくりお風呂に入る、自律神経を整える効果がある深呼吸をするなども効果的。毎月のことですから自分なりに気持ちが楽に過ごせる方法を見つけて上手につき合っていきたいですね。