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コラム

50代2児のワーママ「将来が不安、疲れやイライラで辛い」原因と対策は

病院に行くほどではないけれど、なんだか感じる体の不調。薬剤師であり調理師、薬膳アドバイザーの資格も持つ道川佳苗さんと、中医学の視点で体を見つめ直し、健やかな暮らしをつくるための「食」を考えましょう。

このような質問をいただきました。51歳、女性からの質問です。

「50代になって疲れやすさや出来なくなっていくイライラや将来の不安など身体の変化を感じます。どんな栄養を取ればいいでしょうか?フルで働いていて子どもも2人いるので、不調を吹き飛ばすようなレシピ教えいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。」

年齢による気や血の不足を補うのがポイント

中医学の考えでは、「女性の体は7の倍数で変化する」と言われています。これは、東洋医学が捉える生殖機能やホルモンのエネルギー変化を表したもので、約1800年前に書かれた中国最古の医学書である『黄帝内経(こうていだいけい)』にその説が記されています。

女性は49歳から55歳の期間に閉経を迎えることが多く、同時に女性ホルモンの低下とともに更年期症状が現れやすい時期です。中医学的には、体のエネルギーである「気」と栄養分を全身に運ぶ「血」が不足し、流れが滞ることで不調が現れると考えられます。気と血の調和が保たれることで、女性の体はエネルギーが満ち、元気に過ごせるとされています。そのため、気と血を補うことが重要です。 これらの状況に対処するために、今回はイライラや不安感、疲労感を和らげるのに役立つ食材やレシピをご紹介します。

50代からのイライラや不安感、疲労感はなぜ起こる?

中医学的には、以下の原因が考えられます。

(1)気や血の不足により疲れや不安感を感じやすくなる

年齢を重ねると、エネルギーが減少するのは避けられないことです。中医学によれば、足りないものは食事や生活習慣で補うことで、体の変化を穏やかにすることができます。 「気」は体のエネルギーを指し、不足すると「気虚(ききょ)」となり、疲れやすくなる、食欲が減退する、風邪を引きやすくなるなどの症状が現れます。一方、「血」は血液だけでなく潤いや栄養素を示し、不足すると「血虚(けっきょ)」となり、目の疲れ、めまい、髪の抜け毛、皮膚の乾燥、爪の異常、不安感などが起こります。

気と血の消耗を最小限にするためには、体を冷やさないように気をつけ、早めに寝ること、目を使いすぎないこと、消化の良い食べ物を摂ることが重要です。

(2)気と血が不足することにより、巡りも悪くなりイライラの原因に

気や血の不足は、同時に体内の巡りも悪化させ、全身に適切な栄養が行き渡りにくくなります。気の巡りが滞る「気滞(きたい)」の状態では、イライラしやすく、気分が沈んだり、胸が詰まる感じや腹部の張りなどが現れます。一方で、血の巡りが悪い「瘀血(おけつ)」の場合は、あざができやすく、頭痛、肩こり、不眠、不安感などが生じます。

気と血の巡りを良くするためには、リフレッシュする時間を確保し、お風呂に浸かったり、アロマなど香りの良いものを取り入れたりすることが役立ちます。

イライラや不安感、疲労感の緩和におすすめの食材は?

最初に、疲労感や不安感を和らげるために、不足している気や血を補う食材を摂りましょう。同時に、気や血の巡りを良くする食材を取り入れることで、栄養素やエネルギーを全身に行き渡らせ、イライラを軽減することが期待できます。

また、老化を防ぐ薬膳として知られる「黒色の食材」も、血を補い巡りを促進してくれるとされていますので、積極的に摂るように心がけましょう。

寒い季節に向けては、一度に様々な栄養が摂れる鍋料理や煮込み料理が特におすすめです。

▼気を補う食材

鶏肉、きのこ、長芋(やまいも)、かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、しょうが、ブロッコリーなど

▼血を補う食材

牡蠣、マグロ、牛肉、牛乳、卵、人参、ほうれん草など

▼気の巡りを良くする食材

白菜、キウイフルーツ、みかん、ブロッコリー、にら、ゆず、しそ、スパイス類など

▼血の巡りを良くする食材

ブルーベリー、たまねぎ、カカオ、お酢、にら、黒豆など

▼黒色の食材

黒豆、黒ごま、黒米、ひじき、ブルーベリーなど

クックパッドのおすすめレシピはこれ!

牡蠣と白菜のクリーム煮

牡蠣には血を補い体を潤して、精神を安定させる作用があります。そのため、イライラや不安感を緩和する作用に優れています。気の巡りを良くする白菜にもストレスを緩和する働きがあります。牡蠣と牛乳にはカルシウムが豊富なため、クリーム煮にすることでいらだつ気持ちを鎮める効果が期待できます。さらに干し椎茸などビタミンDを豊富に含むものを合わせるとカルシウムの吸収が良くなるのでおすすめです。

鶏肉と長芋と舞茸のガリバタ醤油炒め

気を補う食材である鶏肉、長芋、舞茸を組み合わせたごはんが進む味付けの炒め物です。にんにくは気の巡りを良くし、バターは血を補います。ガーリックバター醤油味は食欲のない時でも食べやすい味付けです。気の巡りを良くするために、最後にはしそやねぎを添えるのも良いでしょう。

ブロッコリーと卵と玉ねぎのマヨサラダ

気を補い巡らせる働きもあるブロッコリーと、血を補う卵、血の巡りを良くする働きのある玉ねぎを組み合わせたマヨサラダです。ブロッコリーは、薬膳では胃腸を丈夫にし老化が気になる人にもおすすめの食材なので、日頃から取り入れるようにすると良いでしょう。

気・血を補い巡らせて不調を吹き飛ばそう

年齢を重ねることや、日々の忙しさで仕事や育児に奮闘する中で、気や血が不足しがちです。不足した気や血を補って巡らせることで、疲れにくくなり、イライラも軽減されることが期待できます。旬の食材を積極的に摂り入れながら、今回ご紹介した食材やレシピを試してみてくださいね。

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画像提供:Adobe Stock

道川佳苗

薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。

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