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コラム

【簡単イタリア菓子】めんどくさがり屋のケーキ!?「チョコサラミ」の魅力とは

【世界の台所探検 Vol.34】世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さん。今回はイタリアから、インパクト抜群なお菓子「チョコサラミ」を紹介します。子どもも簡単に作れて、アレンジも楽しそうですよ!

「チョコサラミ」は甘い?しょっぱい?

海外の料理は、名前だけを聞くと「え??」と聞き返したくなるものが多々あります。チョコサラミも、そんな一つ。サラミのような形状からその名がついたと言われていますが、しょっぱくはなく、チョコのベースにザクザクとビスケットが入ったあまーいお菓子です。まるごとの状態だと、見た目がサラミのようでインパクト抜群。

イタリアから

このお菓子を教えてくれたのは、イタリアに住むトミーさん。世界のキッチンと繋いでオンラインクラスを主催する『シェズモクッキング』さんを通じて、小学生の子どもたちと一緒に教わりました。画面の向こうのミラノは抜けるような青空!

"めんどくさがり屋のケーキ”

「本当に簡単だから、気楽にやろう」と言うトミーさん。よく見るとダイニングの椅子に座っていて、台所に立ってすらいません。

その言葉の通りで、手順は非常にシンプル。バターを湯煎にかけて溶かし、その間にビスケットを手で細かく割ります。バターが完全に溶けたら、砕いたビスケット・ココア・砂糖を加えて混ぜ、長細く整形して冷蔵庫に入れるだけ。1時間もすれば固まって完成です。この間トミーさんが立ち上がったのは、バターを湯煎にかけるときとおろすときの2回だけ。その他は座りっぱなしでできてしまいます。

このお菓子は他の国でも食されていて、トルコやギリシャでは、作り方の簡単さから「めんどくさがりやのケーキ」と呼ばれているのだそう。確かに、混ぜて固めるだけで作れて、片付けも少ないありがたレシピ。おおざっぱな性格の方や、片付けが面倒という方も気軽に作れそうですよ。

「クリスマスにはよく作るかな。でもクリスマスだけじゃなく一年を通して作るよ。一度にたくさん作れるから大勢集まる時にも便利だしね」とトニーさん。この日は日本の子どもたち数名と一緒にオンラインで教わったのですが、10歳の子もほとんど自力でできました。

簡単だからこその進化

このお菓子は、簡単に作れることも魅力ですが、私がより魅せられたのは、子どもたちがどんどんレシピを進化させていっていたことです。

「バターはボウルに入れて、お湯を張った鍋に浮かべて溶かしてね」とトミーさんが言うと、「溶かすなら、電子レンジでもいい?」と一人の子が質問。「僕のお母さんがお湯でやっていたから、、お湯がいいんだと思う」とトミーさんが答えると、「どうして?」とさらに聞き、考え込ませてしまいました。

「ビスケットを砕こう」とトミーさんが1枚ずつパキパキ割り始めると、「叩いたら早いよね!」と袋と棒を取り出す子がいて、圧倒的な速さで作業を終えたり。

また「ビスケットだけじゃなくてナッツも入れたい!」「私はレーズン入れる!」などと発想が広がり、教えてもらうはずだったレシピよりも、より早く手軽でバラエティ豊かなものへと進化していったのでした。

作り終えた子どもたちは、ボウルやヘラをペロペロ。にやにや笑顔が止まりません。大好きなチョコ味のお菓子で、工程が見通せるシンプルさだからこそ、興味と疑問が湧いてきて、発想も広がったようです。 出来上がったチョコサラミは、大きさも形も中身も十人十色。お菓子作りを通して、文化に触れ、さらに科学や創作へと学びが広がりました。

「何か甘いものを食べたいなあ」という日にも、お子さんがチャレンジするおやつにも。涼しくなるこれからの時期のお菓子作りに、イタリアのチョコサラミ、いかがでしょうか。

岡根谷実里さん

台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。 著書に 「世界の台所探検 料理から暮らしと社会が見える(青幻舎 )」がある。
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