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インタビュー

バテない体を手に入れる!季節の変わり目も不調知らずで過ごすための「食薬習慣」とは?

季節の変わり目に体調を崩しやすいという方は多いのではないのでしょうか。寒さが厳しくなるこの時期、気温の変化に体を慣らしつつ、不調が出にくい体作りをしたいですよね。そこで、年間2000人以上のお悩みに応えてきたという国際中医師で漢方カウンセラーの大久保愛さんに、体がバテることなく不調知らずで過ごすためのポイントを聞きました。

体にとって大事な食べ物に特別感があってはだめ

――大久保さんが、漢方の道に進まれたきっかけはなんですか?

私は、生まれつきアトピー性皮膚炎の症状がひどい子どもでした。自然豊かな秋田で生まれ育ったので、両親と一緒にさまざまな薬草を山から採ってきては、軟膏にしたり、入浴剤にしていたんです。生まれ育った環境の中に、そういったものが身近にあったことが大きいです。とは言え、それで体調が大きく改善するということはなかったので、ちゃんと勉強をしてみたいと思い、薬剤師を目指すことにしたんです。

――薬剤師を目指しながら、漢方カウンセラーにたどり着いたのはどのような理由からですか?

薬学部で勉強したのち、実際の症例を積みたいと思い漢方薬局に入りました。養生法というのは、自分を実験台にして検証しないとわからないことがたくさんあります。朝から晩まで患者さんを診ながら、自分が試したものを薦めてその効果を確認していくうちに、自分が進むべき方向性が見えてきたので、漢方の本場・中国に渡りました。そこで、国際中医師、国際中医美容師の資格を取りました。

――大久保さんの著書「食薬習慣」シリーズでは、月別、週別、日別にその日に実践できる食事方法が紹介されています。生活習慣の中で、食事に注目されたのはなぜですか?

健康には睡眠・運動・食事が大事ということは言われていますが、睡眠の質を高めるといっても気合いでできるものではないし、運動も急に始めるにはハードルが高いですよね。その中で食事は、1日3回、多くの中から選択を繰り返すので、体に良い食事をとることを意識するだけで、体思いな習慣を今日からすぐに積み重ねていくことができます。

“薬膳”という言葉を使うと特別感がありますが、体にとって大事な食べ物は特別なことではありません。普段の食生活を良いものに変えて、習慣化していきましょうということで、「食薬習慣」という言葉にしました。

――「食薬」とは、具体的にどのようなことですか?

自分の状態をよくするために、体に良いものを食べるということです。と言っても、難しく考える必要はありません。例えば、「ジュースとお茶」「フライ定食と焼き魚定食」どちらを選ぶか。日々の食に関する選択を2つに絞り、“ちょっと良い方”を選んでいくだけでいいんです。

体は季節や環境の変化にもストレスを感じます。明日から健康的な暮らしをしよう!と意気込んで、極端に生活を変えるのは逆効果になりますが、今の自分の延長として、できる範囲の管理をしていくのが食薬なんです。

その季節、その月の過ごし方を知る

――「食薬習慣」シリーズでは、季節ごと、月ごとの過ごし方が紹介されていますが、これからの季節はどんなことに注意が必要でしょうか。

12月、1月は、暴飲暴食と夜更かしになりやすい時期です。コロナ禍で健康志向が高まっていますが、実際に健康になっている人は意外と少ないんです。運動不足、夜更かし、ながら食いなど、生活が不規則になったことで、不調を訴える人は増えています。冬は特に、不眠、肌荒れ、疲れやすさ、メンタル面やホルモンの乱れなどが気になる季節です。

――12月の過ごし方のポイントは?

12月だけに限ったことではないですが、冬は特に睡眠が大事です。おおまかに言うと、人は夜に一番、体の内部の体温が高くなり、下がるタイミングで眠気を感じます。質の良い眠りを得るには、しっかりと体が温まっていて、体の末端からスムーズに熱が放出され体温が下がることが大切。ところが、もともと体が冷えていると体温がうまく下がらず、睡眠の質も下がってしまいます。就寝前に熱すぎないお風呂に入って、体をあたためましょう。また、寒いからといって靴下を履いて寝る方がいますが、これは放熱の妨げになるので、靴下ではなくレッグウォーマーが便利です。

栄養面では、代謝をあげるビタミンやミネラル、消化を助けるスパイスなどを積極的に取り入れると良いです。おすすめの食べ方をご紹介します。

12月のスープとスパイス

●カレー風ニラの味噌汁
冷え性を改善したい人は、“朝カレー習慣”がおすすめです。カレーといっても、味噌汁にティースプーン1杯分のカレーパウダーを入れるだけでOK。具材にニラやネギ属のものを入れると風邪予防にも。

●五香粉
花椒・シナモン・クローブのスパイスに、フェルネル・スターアニス・陳皮の中から2種類合わせて計5種類のスパイスをほぼ同量ずつ配合したものです。新陳代謝を上げたり、血行を促進したら、抗菌作用があったりと漢方薬によく使われる生薬が多く含まれています。

――1月の過ごし方のポイントは?

日照時間が短いので、太陽に当たる時間が必然的に低下します。それによって、セロトニンやビタミンDの分泌量が減り、気持ちが塞ぎやすくなります。また、寒さから外出時間が減ると、かかとから骨への刺激が減少することで骨が弱くなり、骨代謝にも関係してきます。それらを防ぐために、ビタミンDとカルシウムを摂取し、体の中の大きな筋肉を動かすことを意識してください。人間は下半身に7割の筋肉があるので、歩いたりスクワットなども良いでしょう。

1月のお鍋とスパイス

●キノコたっぷりやまかけ鍋
カルシウムの吸収を助けるビタミンDをたっぷり含むキノコのお鍋。昆布でお出汁をとり、お好きなキノコ類を入れて煮込みます。仕上げにすりおろしたとろろをかけて完成です。

●ワサビ
風邪予防には、ワサビがおすすめです。ワサビに含まれる“アリルイソチオシアネート”には強い抗菌作用、抗炎症作用、抗酸化作用、アレルギー緩和作用などがあり、お正月明けのちょっとした不調改善に役立ちます。やまかけにワサビをトッピングしてもおいしくいただけますよ。

食薬を意識した生活でマイナス10キロ

――大久保さんも、普段から「食薬」を意識されていると思いますが、具体的な体の変化を感じたことはありますか?

実は本の執筆中、体がバテてしまったんです。コロナ禍の影響で家に閉じこもり、自粛中ということもあり宅配の食事ばかりを続けていたら、太って肌荒れも悪化しました。これではダメだ…と思い、食薬を意識した生活に切り替えたら、4か月で10キロ体重が落ち、健康的になりました。

――10キロですか!? それはすごいです。効果を感じるくらい食薬を毎日の生活に根付かせるポイントや秘訣はありますか?

大きな目標を立てるより、まずはちょっとした目標を作るのがポイントかと思います。そして続けていくと、強い体になり、健康に対する意識も高まりポジティブな連鎖が起こります。若い頃、人は無茶をしがちなのですが、その頃の良くない習慣をまとったまま歳を経ると体に負担がかかりますよね。悪い癖や習慣を少しずつ治して、健康的に年齢を重ねていくことを意識すると継続できるのではないでしょうか。

――最後に、コロナ禍で健康志向が以前より高まっているかと思いますが、大久保さんから見て、コロナの前と今では人々の症状やお悩みなどに変化はありますか?

これまでは、ちょっとした不調なら無茶してもいいと思っていた方々が、自分の小さな不調に目を向けるようになったと思います。今までは気合いで乗り越えていたような人も、根本を改善して免疫力を高めることを意識しはじめたのではないでしょうか。みなさんもいきなり大きく変えるのではなく、生活習慣や食事面、できることから挑戦してみてください。

(TEXT:上原かほり)

1週間に1つずつ 体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン

「“キッチンに1冊置いていてほしい本”をイメージして作りました。本って、最初から最後までしっかり読まなくてはと身構えてしまうかもしれませんが、そうでなくても大丈夫。時間のある時に今の時期のページをペラペラとめくり、今月の過ごし方や、献立を考えるときの参考にしてもらえたらいいなと思います。どの日付からページを引いても食事の情報やそれ以外にも漢方、アロマなどさまざまな情報をたくさん載せたので、何か困った時にも開いてもらえたらと思います。今の時期に、自分がすべきことがわかりますよ」(大久保愛さん)

大久保愛さん

薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。
アイカ製薬株式会社代表取締役、株式会社漢方生薬研究所開発責任者、一般社団法人腸内細菌検査協会理事、株式会社東進メディカルアドバイザー。 秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の自然の中で幼いころから薬草や山菜を採りながら育ち、漢方や食に興味をもつ。薬剤師となり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人ではじめて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳を始め医療と美容の専門家として商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わる。漢方カウンセラーとして年間2000人以上の女性の悩みに応えてきた実績を持つ。
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