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コラム

パフェを食べると「今月も頑張ろう」と思える。人気洋菓子店のパティシエに聞く、パフェの楽しみ方

2022年5月25日に扶桑社から発売された『cookpad plus 2022年夏号』では、おうちで作れるパフェを特集。千葉県浦安市にある洋菓子店「l’atelier de nono(ラトリエ ドゥ ノノ)」が本誌のために考案した、美しいパフェを紹介しています。「ラトリエ ドゥ ノノ」で提供しているパフェは、1日10食限定・予約制。パティシエが目の前で作ってくれるのも人気の秘密です。今回は、季節毎に旬の食材を使ったパフェを作る、パティシエ・野々山裕司さんに、その魅力やおうちでの楽しみ方について聞きました。

パフェを食べるのは「特別な経験」

――パフェを扱っている洋菓子店は珍しいと思います。「ラトリエ ドゥ ノノ」がパフェを取り扱うことになったきっかけを教えてください。

「なぜパフェを提供しているのか?」というのは、よく聞かれる質問です。「ラトリエ ドゥ ノノ」のコンセプトは、“焼き立て作りたての美味しさを多くのお客様に体験していただくこと”と、楽しい時や、嬉しい時、ちょっと悲しい時でも“そっと寄り添う”そんなお菓子を作り続けること。「作り立てのおいしさ」と「そっと寄り添う」という二つのテーマを考えた時に、パフェがすごくしっくりハマったんです。

うっとりするほど美しいパフェを提供

――目の前で作ってもらえるというのは特別な体験になると思います。パフェを食べる時の特別な体験も意識されたのでしょうか。

パフェって、日本文化に昔からあるものなので、パフェにまつわる思い出を持つ方って少なくないと思うんです。「家族で出かけた時だけ食べさせてもらえた」とか「他の物は頼ませてくれるのに、パフェだけは食べさせてもらえなかったんだよね」とか。そんな思い出さえも、大人になると良い思い出になっていたりします。パフェを食べている時は、どんな方も、優雅なひと時を味わったり、どこか童心にかえることができるんです。そんな魅力のあるパフェを、お店で提供できたら素敵だし、きっとお客さまの笑顔が増えるなと思い目の前で作るパフェの提供をはじめました。

――お店で提供している「nono Parfait」では、四季折々のパフェが目を引きます。新作パフェはどのようにして思いつくことが多いですか?

その時期の旬の食材やフルーツをメインにして、そこからイメージを広げていきます。その食材が持つ、甘味、酸味、渋み、苦味や食感から、組み合わせる食材を考えていきます。全体的な味をイメージしながら、頭の中で、何度も、何度も味見を繰り返していくと、自然にデザインが決まっていくんです。

メロンと抹茶のグリーンパフェ。涼やかな色合いが、新緑の季節にぴったり。(『cookpad plus 2022年夏号』より)

パフェで「よしっ!今月も頑張ろう!」と笑顔になる

――最近は、「パフェ活」がブームになっています。お客さまの中にもパフェ活で来店される方は多いのでしょうか?

パフェ活でご来店される方は非常に多いです。お好みの店を数件持っていて、ローテーションのように回られている方が多いように思います。当店では、月初に新しいパフェがスタートするので、そのタイミングを楽しみにご来店いただく方も多いです。

5月の限定パフェ

――パフェ好きなお客さまの中で、特に印象的なエピソードがあれば教えてください。

パフェを食べにご来店されるお客さまは、ポジティブで楽しそうな方が多い印象を受けます。でも、ときどき浮かない表情でご来店されるお客さまもいらっしゃるんです。そういうお客さまはどうしても気になってしまうのですが、パフェを食べているうちにどんどん笑顔が出てきて、食べ終えると「よしっ! 今月も頑張ろう!」と言って帰って行かれるんです。日々の疲れやストレスを癒やす方法として、当店のパフェを選んでいただけているんだと思うととてもうれしいです。自分の気持ちを考え、しっかり楽しむ時間を作る工夫をしているからこそ、当店を訪れてくださる方は楽しそうで生き生きとしていて、素敵な笑顔ができるのだなと感じました。

おうちでパフェを作るコツって?

――今回、『cookpad plus 2022年夏号』で、「おうちパフェ」というテーマでレシピを考案いただきました。「パフェ=外で食べるもの」というイメージが強い方も多いと思うのですが、おうちパフェの魅力を教えてください。

おうちパフェの魅力は、なんと言っても“自分で作る工程を楽しめること”です。ゆっくりと試行錯誤しながら作る時間は、良いリフレッシュになると思います。お子さまと一緒にお作りになる場合は、お子さまの自由な発想を楽しむことができますよね。たとえ、きれいにできなかったとしても、それが良い思い出になると思います。おうちで食べるパフェは、周りの目を気にすることなく、自分のペースで食べたいように食べられるのも魅力のひとつではないでしょうか。

桃と紅茶のパフェ。ハートの飾りは、なんとそうめん!(『cookpad plus 2022年夏号』より)

――これからおうちパフェをはじめてみようと思っている方に、おうちパフェを作る時のポイントを教えてください。

お菓子作りをした時に困るのが、余った食材の使い道なんですよね。普段使わない食材を、そのためにわざわざ買い揃えると、どうしても無駄にしてしまうことがあります。特別な食材を買い揃えるのではなく、紅茶、コーヒー、クッキーなど、家にある食材を使って作ることで食材を無駄にすることがなくなります。旬の食材を使いたい場合は、残った時にパフェ以外で活用できるものを使うといいですよね。パフェを盛り付けるグラスもわざわざ買うのではなく、ご自宅にあるカップやコップで作ることができます。

ベリーとヨーグルトムースのパフェ。おうちのグラスでも、こんなにおしゃれに。(『cookpad plus 2022年夏号』より)

――まずは家にあるもので作ってみるのが良いんですね! 知っておくと便利なコツはありますか?

パフェを作る時にアイスが溶け出してしまって困ることがあります。アイスは、事前に盛り付けたい形状にして(スプーンやディッシャーでくり抜く)、冷凍庫で凍らせておくと盛り付けで少し時間がかかっても、溶け出すまでの時間は少し稼げるようになります。

――すごく大事なコツですね! 最後に、おうちパフェに挑戦したい読者へのアドバイスをお願いします。

大事なのは、気楽に楽しむこと。そして、何が起こってもポジティブに楽しむことをおすすめします(笑)。例えば、ゼリーがうまく固まらなかったら、「こんなゆるいゼリーは買えないから、特別だね」とか、思ったよりきれいに盛り付けられなかった時には、「これはこれでアートだね」とか。お店で出すものではないので、完璧である必要はないです。気軽に自分たちのペースで、パフェ作りを楽しんでみてください。「今度はもっときれいに作りたい」とか、「違う食材を使ってみよう」とか、また次に楽しむきっかけになると良いなと思います。パフェ活を通じて、みなさまの幸せなひとときと笑顔が増えたら嬉しいです。

(TEXT:上原かほり、cookpad plus撮影:林紘輝)

cookpad plus 2022年夏号』(扶桑社

季節のレシピのほか、ちょっと素敵な暮らしの情報をお届けする季刊マガジン『cookpad plus』。2022年夏号では、旬をむかえる「なす」の絶品レシピを⼤特集。その他に「味つけはめんつゆひとつ」「殿堂入りのおかずサラダ」「おうちパフェ」など、夏にぴったりの料理が盛りだくさん。特別付録は、通常号がスヌーピーの折りたためるBIG保冷バッグ、増刊号はスヌーピーのハンディ扇風機です。
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