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"油きりしない"が実は正解!?「ツナ缶」にまつわる不思議をあの企業に聞いてみた

ストック食材に欠かせない「ツナ缶」。どのご家庭にもたいていは買い置きがあるのではないでしょうか? たんぱく質摂取が重視されている昨今、栄養素が高く手軽に食べることができるツナ缶はこれまでとはまた違った注目を集めています。そこで今回は、はごろもフーズ株式会社マーケ戦略部の金子さんと企画部の牧田さんにツナ缶についていろいろ質問をしてみました。

オイルあり・オイルなしの違い

――ツナ缶には、オイルあり・オイルなしがあると思うのですが、この2つの違いを教えてください。

ツナ缶には、おおまかに”油漬”と”水煮”の2種類があります。主に油を加えたものが油漬、加えないものが水煮です。味の違いとしては、油漬は油に漬かっているので、ツナの旨みと油が混ざりあってコクのある仕上がりになっています。水煮は、さっぱりとしてツナ本来のおいしさを味わえます。ヘルシーに食べたいというときは水煮がおすすめです。水煮にも、旨みがしっかりあります。

――オイルあり、なしを基準に選ばれるお客さんは多いですか?

最近は、お客さまの好みも多様化してきています。健康志向でカロリーや塩分などを気にされる方だけではなく、おいしさを追求される方もいらっしゃいます。当社では、多様化するお客さまのニーズにもお応えできるように、油漬、油入り水煮、水煮、調理品という4つのカテゴリーに分けた商品展開をしています。

――そんなに幅広く展開されているんですね! ちなみに、オイルありの「オイル」は、ツナの油なのでしょうか?

油漬のオイルは植物性の油で、一般的には大豆油と綿実油(めんじつゆ)という油を使っています。綿実油は、ご家庭ではなかなか使わない油だと思いますが、サラダ油にブレンドされているので馴染みがないというものではありません。当社では、オリーブオイルやひまわり油を使った商品もありますよ。

ツナ缶の油は料理に使える

――油にもこだわって作られているんですね。ツナ缶を使うときに油をきる方も多いと思うのですが、はごろもフーズさんでは油きりせずに使うことをおすすめされています。その理由を教えてください。

ツナ缶の油を使うことで、料理がよりおいしく仕上がるからです! ツナ缶の油には、ツナの旨みやコクが溶け出しているので、その油を使うことでおいしさが引き立ちますよ。あとは、環境のことを考えるとツナ缶の油を捨ててしまうより、そのまま使っていただきたいなと思います。

――ツナ缶の油を、料理でおいしく使う方法やレシピを教えていただけますか?

ツナ缶の油は、炒め物のときの油やお味噌汁の出汁として使っていただけます。お味噌汁と聞くと意外な印象を持たれるかもしれませんが、ツナ缶の油を入れることで、出汁を使わなくてもコクのあるお味噌汁が作れます。

このレシピは「シーチキン」がよく売れている沖縄県の郷土料理をヒントにしてつくりました。詳しく調べてみると、チャンプルーにオイルありのツナ缶をそのまま使うことが多いということがわかりました。ツナ缶1つで地域性が出るところが、面白いですよね。

また、ツナ缶の油にお酢やレモン汁を入れてドレッシングを作ってもおいしく仕上がります。

ツナ缶に使われる魚に違いがあるって知ってた?

――ツナ缶は「まぐろ」と「かつお」の2種類に分かれると聞きましたが、違いはあるのでしょうか?

ツナ缶は、主に「びんながまぐろ」「きはだまぐろ」という2種類のまぐろと「かつお」の合計3種類が使われています。「びんながまぐろ」は、生で食べてもおいしい日本の近海であがるまぐろで、ツナ缶の中では最高級食材とも言われています。はごろもフーズのシーチキンは、「びんながまぐろ」で作り始めました。ちなみに、まぐろを蒸すと魚肉が白っぽくなりチキンに似ているところが「シーチキン」の由来なんですよ!

――それでシーチキンって名前なんですね! 「きはだまぐろ」や「かつお」はどのような特徴があるのでしょうか。

「きはだまぐろ」は、その名の通り肌が黄色っぽい魚です。旨みが多い魚で、ツナの原料として幅広く使われているまぐろです。「かつお」は、肉質が赤みを帯びた色をしていて、魚の旨み、香りが強めです。世界的に見ると、ツナ缶はかつおが主流なので、海外では、ツナ缶=かつおという認識が多いと思います。

――最後に、ツナ缶の意外な豆知識を教えてください。

健康ブームと言われる中で、体を鍛えている方が特に気にされている成分にたんぱく質があると思います。実は、ツナ缶に使われているまぐろやかつおには、必須アミノ酸のバランスがとても良い、良質なたんぱく質が豊富に含まれています。1缶(70g)に約11gのたんぱく質があります。

ツナ缶は、開けてすぐに食べられて、お値段も手頃なので、日々の食生活にうまく摂り入れていただけると嬉しいです。手軽すぎて気づきにくいのですが、ツナ缶は、実は優秀な食材なんですよ。(TEXT:上原かほり)

※「シーチキン」は、はごろもフーズ株式会社の商標登録です。

画像提供:Adobe Stock

取材協力

はごろもフーズ株式会社 

マーケ戦略部 金子茉由・企画部 牧田康代

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