「読売新聞」「毎日新聞」「POPEYE」「Oggi」にエッセイを連載するなど文筆家として活躍し、2006年より約9年間『暮しの手帖』の編集長を努めた松浦弥太郎氏。4月にクックパッドへ入社した際も大きな話題となりました。そんな松浦さんが本日7月1日に新しく立ち上げたのが、webメディア『くらしのきほん』。いったいどんなサイトなの?松浦さんが込めた想いとは?…というわけで、お隣のクックパッド編集部が、気になるあれこれを、松浦氏に直接聞いてみました!
— そもそも「くらし」って一体何なのでしょう?
「くらしって、自分が純粋でいられる時間とか自由でいられる空間のことなんじゃないかな、って僕は思うんです。誰かと一緒であっても、いちばん自分らしくいられる時間をどう過ごすかを考えるのって、とてもすてきだし、とても楽しいことですよね」
—自分らしい時間、自由な空間。確かに自分と向き合うことって現代だとなかなかできていないかもしれません
「日々って面倒な作業の集まりではあるので、1つ諦めるとどんどん色々なことがおざなりになってしまう。でも逆に、その1つ1つを大切にして、くらしのすみずみに意識がいくと、どんどん心が満たされていく。そんな風に丁寧にくらすってたのしいし、うつくしいことなんだという気持ちを、みんなと分かち合っていきたいと、新しいサイト『くらしのきほん』を始めました」
— では「きほん」とはどういうものと考えたらいいのでしょうか?
「ダシの取り方ひとつとっても、これが正解という答えって実はないんですね。つまり、基本はひとつじゃない。『くらしのきほん』は、これが正しいという1つのやり方を一方的に押し付けるのではなくて、みんなが自分にとっての“きほん”を探すための、気づきの場所にしたいと思っています。そして、みなさんと答えを分かち合うなかで、僕たちの考えるきほんも、どんどん進化していけるといいなと考えているんです」
— もともと雑誌や本の世界で活躍されていた松浦さんが、webサイトを立ち上げたということも話題になっています
「積極的にwebを選んだというよりも、世の中の大多数の人にとって今もっとも身近なメディアがwebだったというところでしょうか。自分都合というよりも、ユーザーを思ってのことですね(笑)。ひと昔前までは情報を手に入れようと思ったら、書店や図書館に行くという行動が必要でした。でも今は、ほんの1分でも空き時間があれば、スマホで何かを調べたり、息抜きをしたりすることができる。「ヨイショ」ってしなくても気軽に触れられるという点で、webというのは便利を超えた“心地よい”存在なんじゃないかな、と思うんですよ。まるで呼吸をするように自然に、毎日何度も『くらしのきほん』に触れてほしいと思います」
— 松浦さんの話をきいていると「うれしい」とか「楽しい」とか心を動かすキーワードが多いように思います。それがサイトの「ありがとう」や「あこがれる」などのカテゴリにも表れているような気がするのですが…
「僕は年をとればとるほど初々しくいたいと思っているんですね。そのためにはできるだけ素直でいるということを心がけています。そして感情を照れないで表現する、相手に伝えるということも大事にしているんですよ」