飽食の時代で栄養が過剰供給だと言われていますが、栄養素ごとに見てみると意外と不足している栄養素が多くあります。第1回は女性に不足している栄養素の代名詞「鉄分」です。
デリケートな女性の体は思春期から老年期まで、大きく変化をします。その中でもっとも注目したい1つが「鉄分」。なんだか最近疲れやすい、だるい、少し走っただけで息切れが激しい。そんな体の不調ありませんか?もしかしたら体内の鉄分が不足しているサインかもしれません。
体内にある鉄分の約70%は血液の中に存在します。最も大きな役割はたんぱく質と結合して赤血球の素になるヘモグロビンを作ることです。ヘモグロビンは肺で酸素を受け取り、全身の細胞に運んだり、二酸化炭素や老廃物を体の外への排出します。血液中の鉄分が足りているときは、残りの鉄分は貯蔵鉄という形で肝臓や脾臓、骨髄、筋肉に蓄えられていて、血液中の鉄分が不足した時に血液に送り出されます。その他、鉄分はエネルギー産出の手助けをしたり、髪の毛や爪を作る働きもしています。
鉄分が不足するとヘモグロビンを作る材料が足りないため、鉄欠乏性貧血になります。 ヘモグロビンが不足すると、全身にくまなく酸素が運搬されないため頭痛、肩こり、息切れ、疲労感といった症状のほか、肌荒れやむくみの原因にもなります。 急に立ち上がった時や電車の中などでおこる立ちくらみで冷や汗が出る貧血は「脳貧血」といい、脳の血液循環が一時的に悪くなった状態で、鉄分不足とは関係がありません。
女性は、男性に比べ月経、妊娠、出産、授乳など鉄分が失われやすいため鉄欠乏性貧血が多く見られます。その数は成人女性の4人に1人とも言われています。特に見落とされがちで注意したいのは小学校高学年〜中・高生の女子。月経が始まる年齢になると鉄分の必要量が増えるのに対し、この時期食生活の偏りや無理なダイエットを行うなどしていると、ヘモグロビンを作る鉄分が不足しさまざまな症状が出ることも。高学年女子のママ達は娘の食生活を注意してみてくださいね。
鉄分を一度の食事で大量に摂取するのはなかなかむずかしいのですが、鉄分を多く含む食材を三度の食事や間食などで少しずつ選んでいくだけでも、鉄分補給には有効です。ちなみに、食品中の鉄の種類には、肉・魚・レバーなどに含まれる「ヘム鉄」と、野菜・海草・大豆などに含まれる「非ヘム鉄」があります。
レバー、牛肉、かつお、まぐろ、いわし、さば、うなぎ、ぶりなど
大豆および大豆製品、卵、あさり、牡蠣、ひじき、のり、ごま、ほうれん草、小松菜、春菊、水菜、切り干し大根、プルーン,レーズン、オートミールなど
「ヘム鉄」のほうが「非ヘム鉄」より体への吸収率が良いため、効率よく鉄分を摂取することが可能です。 ただし「非ヘム鉄」は取り入れやすい食材が多く、高くない吸収率もビタミンCやたんぱく質とともに摂取することで高めることができるので、どちらも上手に食生活に取り入れていくとよいでしょう。
鉄分の多い牛肉を使った常備菜。冷蔵庫で5日程度は日持ちするので多めに作っておけば、お弁当やご飯のおともに最適。脂の少ない赤身の牛肉を選べば鉄分量はさらに多くなります。
鉄分の多いレーズンは、卵のたんぱく質とさつまいものビタミンCを一緒に摂ることで吸収率がUPします。
へム鉄の多いマグロを原料としたツナに、非へム鉄の切り干し大根、海苔。鉄分の吸収を良くするビタミンCはかいわれ大根で補給できます。
身近な食材にも多く含まれている鉄分。無理なく毎日少しずつ補給するよう心がけてみてくださいね。