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コラム

フライパンで完成!アラサー男子が自分のために作る「抹茶のロールケーキ」【“クックパッド芸人”藤井21のソロ飯】

“クックパッド芸人”を自称し、自らのキッチンに1000品以上のレシピを掲載している「藤井21」さん。1人(ソロ)で作って1人で食べるという「ソロ飯」を日々楽しんでいるそう。藤井21さん自作のおすすめレシピと、悲喜こもごものエピソードをご紹介します。第4回のテーマは「スイーツ」。藤井さんが唯一苦手だというジャンルだそうですが、果たして出来映えはいかに!?

お菓子作りは誰が為に

お菓子作りは苦手だ。

昔、一度だけケーキを作った事がある。
なぜか思い立って当時付き合っていた彼女の誕生日に手作りでケーキを作ってあげた。

しかし一体どうして、悲惨なものが出来上がった。
不恰好なケーキを手にして浮かない顔をした僕は「全然綺麗に出来なかったんだけど…」 と申し訳ない顔をして彼女に差し出した。

料理とお菓子作りは根本的に違う
目分量で計った生地はあんまり膨らまなかったし、甘さ抑えめの方が食べやすいよねと思って砂糖控えめにしたクリームは甘さ抑えめどころか甘くない。パレットナイフも持ってないから包丁でやったナッペはお世辞にも綺麗とは言えない。
完成したのは子どもの工作ですかと見紛う程の、決して良い出来とは言えないケーキ。

料理とお菓子作りは根本的に違ったんだ、こんな事なら作らなければ良かった。そう思った。
『料理とお菓子作りは根本的に違う』。料理は、適量の材料をサッと下茹でしたら軽く焼き色が付くまで焼いて、中火から強火位で炒め合わせて味付けは醤油を「ドバッと」、みりんを「サッと」、酒と砂糖も「ちょっと」入れて一気に炒め合わせる。
全て直感的にできる。慣れている人ならわかるだろうが、料理は目分量と感覚で成立してしまう。

しかしお菓子作りは全く別だ。
材料の分量を1g単位までキッチリ計り(0.1g単位まで要求される事もしばしば)、順番通り加えて混ぜ合わせる。混ぜ方すら指定される。オーブンの温度も厳密に調整して、焼き時間もしっかり分単位で慎重に焼成する。
お菓子作りには慎重さと几帳面さが高度に要求される。
感覚で生地を混ぜると膨らんでくれないし、目分量で砂糖を入れると甘くないし、何となくで焼成するとすぐに焦げる。

お菓子作りは儚くて、そして脆い。
まったくお菓子作りは苦手だ。料理とは全く違う。
現に某有名パティスリーで働く知人のパティシエは料理が全く出来ないらしいし。

だが明らかに失敗したそのケーキを彼女は美味しそうに食べた。

「ごめん」
「なんで?美味しいよ」
「あんま美味しくないよ」
「ううん、作ってくれたから嬉しいし美味しいよ」

そうか。
だから僕は苦手なお菓子作りに挑んだったんだ。
「彼女のために」
料理とお菓子作りは全く違うプロセスを経て、同じ結果に辿り着く事に気付いた瞬間だった。
そう「誰がために」

だったらお菓子を作ろう。
今度は
―――『自分のために』

だって今はもう誰も作ってあげる人がいないのだから…。
自分のために、分量はきっちりg単位までスケールで計る。自分のために、焼成時間も焼き加減も慎重に。あらゆる試行錯誤は、全て自分のために。

料理もお菓子作りも全ては自分のために。
自分のための自分だけのお菓子作り。

生地とクリーム両方に抹茶をIN♪

アイスクリームメーカー要らずでこのなめらかさ!

そして試行錯誤の末たどり着いた抹茶のロールケーキとアイス。

自画自賛とまではいかないけど会心の出来じゃないか。それでいい、だって誰かに振る舞うわけではない「自分のため」のお菓子なんだから。

唯一の誤算があるとするならそれは「抹茶」。

抹茶の原料「お茶の葉」は春に収穫されるので新茶の旬は春だが、そこから熟成・保存を経てから抹茶となるので、抹茶の本当の旬は秋らしい。

だったら世の中の新作お菓子が、こぞってこの時期に抹茶一色に染まるのをやめてほしい!

どうしてそんなところだけ感覚的になるのか… まったく持ってお菓子作りは苦手だ。

藤井21(ふじいにじゅういち)

料理と笑いで天下を目指す男性ピン芸人。
埼玉県東松山市出身。東松山のやきとりを愛し、東松山市親善大使「東松山市應援團」の一員。食品衛生責任者の資格を持ち、クックパッドには1000以上のレシピをアップしている。日本テレビ系列『ウチのガヤがすみません!』などに出演。

>>オフィシャルブログ「良い香りのある生活

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