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コラム

素敵な母の日の思い出を!親子で一緒に作って楽しい「花束カレー」【今日から始める親子クッキング vol.7】

子育て世代にとっては、やはり気になる「食育」。でも、何から始めればよいかわからない、という方も多いのでは? この連載では、子ども料理研究家・武田昌美さんに、子どもと一緒に料理を楽しむ方法と、料理を通して子どもが得られる成長について、わかりやすく解説してもらいます。日々の料理を親子のコミュニケーションの場に変えてくれる魔法のアドバイスをどうぞ♪

「母の日」は子どもへ感謝する日でもある

明日は「母の日」。母の日は、子どもがお母さんに日頃の感謝をする日ですが、実は私たち母も「母にしてくれてありがとう」と改めて子どもに感謝する日だと思うのです。

母になると、ついつい「ご飯を作ってあげる」「歯磨きしてあげる」と、「~してあげている」という思いが先行して、感謝されて当然!とちょっと傲慢な気持ちになってしまう時もあります。

確かに子どもは保護者がいなければ生きていけません。でも、自分を「ママ、ママァー!」と渾身の力で求めてくれる子どもに感謝し、自分に“母”という新たな人格を作ってくれたことへの喜びを実感する。そんな母の日の過ごし方も素敵ですよね。

“take”の母の日から“give”の母の日へ。いつもとちょっと違った視点で過ごすべく、今年の母の日は親子で一緒にお料理なんていかがでしょう?

子どもは料理を通して“ママの頑張り”を理解

私が運営する料理教室に、食べることが大好きな男の子が通ってきてくれていました。

食べることが大好き!ゆえに、夕方5時過ぎになるとお腹がぐーぐー。その子は空腹でだんだん不機嫌になって、「ご飯まだー?」と毎日ママを急かしていたようです。そうなるとママもちょっとイライラしてきます。「今、作ってるから、ちょっと待って!」……はい。どこのお宅でも聞こえてきそうな台詞ですね(笑)。

ある日、この男の子が料理教室でコロッケに挑戦しました。よく夕飯に出てくるコロッケ。料理教室で作ってみて初めて、それが出来上がるまでの工程を知ります。

コロッケは初めからコロッケなのではなく、ジャガイモからできていること。茹でたジャガイモを潰して形成し、そこへ小麦粉、卵、パン粉をつけて……と、長い道のりの果てにコロッケはやっと完成!

試食の時、それはそれは美味しそうにコロッケを頬張る男の子。そしてママにも自分の分を分けてあげます。「僕が一生懸命作ったコロッケおいしい?」。ママはすぐに満面の笑みで「とってもおいしいね」と返し、何とも微笑ましい光景でした。

そして、この出来事には続きがあります。ママから後日談を伺うと、料理教室でコロッケを作って以降、男の子からの夕方5時の「ご飯まだー?」コールがなくなったというのです。

彼曰く、「ご飯作るのって思っていたよりも結構大変!」。ご飯はポッと出てくるものではないと理解したから、ママが頑張って作っているのを急かさなくなったとのことでした。子どもなりに、ママがいつも頑張っていることを身をもって実感できたのだと思います。

カレー作りで素敵な親子の思い出を

というわけで、母の日にはぜひお子さんと一緒に料理をして、母と子の思い出を作っていただけたらと思います。オススメのレシピはこちら。ママも子どもも楽しい「花束カレー」をご紹介します。

このカレーは、小さな子でも安全に調理できるように「生肉を使用していない」点が最大のポイント。何でも口に入れてしまいかねない時期、生肉を触った手を舐めてしまっては、お腹を壊してしまう可能性もあるので、ここは先回りして危険を排除です。

包丁を使う場面もありますが、子どもと一緒にトライしてみましょう。もしお子さんがまだ包丁を怖がるようでしたら、輪切りにした人参を型と一緒に渡して「これ、型抜きしてね!」とお花型の人参作り担当にしてあげてください。その間に大人はダッシュでみじん切りです!(笑)

親子で作業しやすい、とっても簡単なレシピなので、皆様ぜひ挑戦してみてくださいね。

料理を通じて、子どもの心に「頑張る人の気持ちに寄り添う優しさ」が生まれ、その優しさが「ママ、ありがとう」という感謝の思いを創ります。

そして、ママ自身も一緒に料理をする経験を通じ、小さな手で一生懸命作り上げるその姿を見て、子どもの成長を肌で実感できるはず。親からしてみれば、子どもがそこにいて笑ってる……ただそれだけで最高の幸せですが、「母の日のカレーを作る」と意気込んで自分のために頑張る姿は、なおさら感慨深いものではないでしょうか?

今年もどうぞ、思い出深い素敵な母の日をお過ごしください。

武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2歳児から始められる料理教室を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。
【HP】https://little-chef-cooking.com/
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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