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コラム

今夜の食卓の用意はお任せ!子どもだけで作れる簡単「カルボナーラ」【今日から始める親子クッキング vol.11】

子育て世代にとっては、やはり気になる「食育」。でも、何から始めればよいかわからない、という方も多いのでは? この連載では、子ども料理研究家・武田昌美さんに、子どもと一緒に料理を楽しむ方法と、料理を通して子どもが得られる成長について、わかりやすく解説してもらいます。日々の料理を親子のコミュニケーションの場に変えてくれる魔法のアドバイスをどうぞ♪

「家族も知らない才能」が開花する瞬間

長かった夏休みも(やっと!)終わり、2学期のスタートです。真っ黒に日焼けした子どもたちの肌が、暑い夏を思いっきり謳歌した姿を物語っていますね。ついでに私の腕もたくましく、若い頃には想像もできなかったほどの小麦色。果たしてこのくっきりついた時計跡は戻るものなのか……。一抹の不安が拭えません。

9月からはいよいよ2学期! 運動会に音楽会、学校によってさまざまなイベントが控えていると思います。子どもは、親から離れた学校で一生懸命に練習し、当日その成果を披露してくれます。

子どもが少し離れた所で、緊張と達成感を噛み締めた眩しい笑顔で堂々としている姿を見ると、涙が堰を切ったように溢れ出て、その大きくなった姿を堪らなく愛おしく感じます。ところで、家で「ちょっと練習見せてよー」と頼んでも、どうして頑なにやってくれないんでしょうね(笑)。

夏休み、私が運営する料理教室『リトルシェフクッキング』では、初めて小学生向けのレッスンを行いました。「夏休みの自由研究」として、パスタマシンを用いて一からスパゲッティを作ります。作る前に、パスタの歴史やイタリアという国について、みんなで見識を深めてから取り掛かるという内容のレッスンです。

小学生向けのレッスンは幼児向けレッスンとは異なり、親御さんの付添はなしで、お子様だけをお預かりして行いました。もちろん親御さんがお子様の奮闘する姿を見たい!というお気持ち、百も承知なのですが、「ご両親に見せるため」ではなく「自身の学びと成長」により集中してほしい気持ちからそのようにしました。

特に低学年の親御さんは、お子様と別れる際、「うちの子引っ込み思案でシャイだから心配」と不安な気持ちを打ち明けてくだいます。しかし、いざレッスンが始まると、はじめはドキドキしていた様子でも、徐々に周りの初めて出会ったお友達とコミュニケーションを取り、次第に仲良くなり、最後には「また遊ぼうね!」と笑顔で別れるようになります。

あるお母様が「息子がお料理にちょっと興味を持ち始めたので参加しました」とお話しくださいました。その男の子、講師の話を「一言も聞き漏らさないぞ!」という姿勢で聞き、パスタを真剣な表情で作り上げて、最後には苦手だった食材までペロリと完食。お母様のお迎えの時には「今度、自分で料理を作るためにレシピの本を買ってほしい」とお願いが飛び出すほど。彼の中の“ちょっとの好奇心”が、“大きな関心”へと成長し、新しい自分を発見した瞬間でした。

私がこの料理教室で大事にしているのは、料理を通してお子さんの「家族も知らない才能」が開花してくれること。この生徒さんのケースはまさにそれを体現してくれていて、私も嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

子どもの「私、できる!」の気持ちを信じて後押しする。すると子どもは、自分の力を精一杯発揮して親も想像できなかったほどの成果を上げます。

料理教室の幼児向けレッスンをご見学いただいている親御さんにも、「料理している子どもを『できる』と信じて見守ってください」といつもお願いしています。そうすることで、子どもは誰かに頼るのではなく、物事を自分の力でうまくやり抜く術を身に付けます。

子どもだけで食卓完成!「お子様カルボナーラ」

さて今回ご紹介するレシピは、子ども自身が「私、できる!」の気持ちを存分に発揮できる「お子様カルボナーラ」をご紹介します。


十分に食べ応えのあるカルボナーラなら、一品でも夕飯の食卓も整います。子どもが作ったお料理だけで食卓が完成できると、子ども自身の達成感もひとしお。ぜひ今夜のご飯は、お子さんに任せてみてください。

さらにこのレシピ、子ども1人で作るのも良し、兄弟姉妹で手分けして作業しても楽しめます。火を扱う場面があるので、そこは大人の方と一緒に作業してくださいね。ちなみに我が家では、こんな分担です。

1.【姉】ベーコンを2cmの短冊切りにする。
2.【姉・弟】大きめのボウルにカルボナーラソースの材料を全て加え、よく混ぜる。

3.【母】鍋に湯を沸かし、塩を加え、パスタを表示の1分短く茹でる。
4.【姉】フライパンでベーコンに火が入るまで炒める。(この時まだ弟はカルボナーラソースをひたすら混ぜている)

5【母】茹で上がったパスタをカルボナーラソースが入ったボウルに移し、炒めたベーコンも加えて混ぜる。

6.【姉・弟】パスタを器に盛り付け、ブラックペッパーをふりかける。

茹でるところだけ大人がサポートしますが、ほぼ子どもだけで完成した食卓。テーブルに着いてみんなでご飯を囲む時の子どもの誇らしげで自信満々の笑顔、必見ですよ(笑)。

子どもは親の見えないところでも、彼らの世界を体一杯で受け止めて成長しています。「可愛い子には旅をさせよ」という日本古来の諺は、日本だけではなく世界各国に同義の教訓がある、世の中の普遍的な事実。獅子の子落とし、とまではいかずとも、子どもは親から離れたところでもたくさんの人から愛情を注がれながら学びを得てこそ、しっかり大きくなっていくのでしょうね。

私たち親が必要なことは、ただ一つ。信じて見守る。これが親にとってはとても難しいけど大切なことだな、と改めて実感した夏休みでした。

武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2017年より「ママも知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。保有資格は、フードコーディネーター、スパイスマイスター、食品衛生責任者。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。
【HP】https://little-chef-cooking.com/(ご予約はこちらから)
【Instagram】@masamis__kitchen
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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