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コラム

子どもが夜なかなか寝ない…その原因は「夜」ではなく、「朝」にあった⁉️

子どもが夜なかなか寝てくれない、朝は起きてこない、日中も眠そうな時がある……。こういった“子どもの眠り”に関しての悩みを持つ人、多いのではないでしょうか? 質の良い睡眠は成長期の体つくりには必要不可欠なもの。でも、なかなかすぐには改善できない問題でもあります。そこで今回は、乳幼児睡眠コンサルタントである愛波あや氏による著書『忙しくても能力がどんどん引き出される 子どものためのベスト睡眠』(KADOKAWA)から、子どもの睡眠を整える生活のヒントを少しだけお届けします。

勉強も運動も! パフォーマンスの基本は睡眠

学校で友達と勉強をして、放課後は公園で遊び、帰宅後は夕飯を食べ、お風呂に入った後は自然と眠くなって布団に入る。以前はそれが小学生の姿だったように思いますが、今の日本ではそんな子どもの姿を見るのは難しいかもしれませんね。

小学生の子どもたち、特に中学受験を目指す子は学校から帰宅後、ランドセルから塾のカバンに背負い直し、そのまま21時近くまで塾で勉強を頑張っていることも。帰宅後、夕飯とお風呂を済ませたらあっという間に22時を過ぎてしまい、さらに勉強をして、寝るのが24時近くなるということもあるようです。

総務省の調査では、小学6年生の平日の平均就寝時間は22時3分で、スポーツ庁による小学5年生への睡眠時間の調査では、一番多い回答は「8時間以上9時間未満」でした。この結果を、国の推奨する小学生の睡眠時間(9〜12時間)と照らし合わせると、「9時間眠れているから大丈夫」と思うかもしれませんね。でも9時間は最低の睡眠時間。日本の子どもは睡眠時間がもっと必要なのです。

睡眠時間が足りないと体調不良や精神的な不安、肥満を引き起こすと言われています。また、勉強していても、睡眠不足になると集中力や注意力が低下することでパフォーマンスが落ち、成績の低下にもつながるのです。さらに運動をしている子にとっても、睡眠時間が短くなるにつれケガのリスクが高まるという結果が出ています。

とはいえ、お母さんやお父さんが子どもの睡眠を軽視しているとは私は思いません。頑張る子どもたちの環境や持てる時間は容易に変えられないからこそ、なんとかその中で良い睡眠をとらせてあげたいと悩んでいる声を多く聞くからです。勉強も運動も、本領を発揮するためには基盤となる睡眠が大切です。だからこそ、「子どもにとってのベスト睡眠」をみなさんと一緒に考えていきたいと思うのです。

うちの子は大丈夫?脳と体を育む睡眠チェックリスト

「ねむり(睡眠)」は脳と体の基礎を作り、生きる力も育む大切なもの。日本の幼児から小学生、そして中高生は世界の子どもと比較すると睡眠の時間が足りていないと思われがちですが、実際はどうなのでしょう。

お子さんの生活を振り返り、以下の項目で当てはまるものがあれば、ぜひ睡眠と睡眠環境を見直してほしいと思います。

□朝、親が起こさないと起きられない
□朝、起こしてもなかなか布団やベッドから出られない
□目覚めた時に機嫌が悪い
□学校に遅れてしまう
□学校で居眠りをしてしまう
□いつも疲れている
□就寝時刻が22〜23時と遅い
□夜中に目を覚ます
□週末に寝だめをしている
□朝起きた時に頭痛・吐き気・めまいなどの症状を訴える
□全身の痛み(頭痛、腹痛、腰痛、目の痛みなど)がある
□友人や先生などとの対人関係のトラブルが増える
□勉強ができなく(しなく)なり、成績が下がる

体内時計を整えるのは、「朝日」「定時起床」、そして「朝ごはん」

夜になると眠くなり、朝になれば目が覚める。この人間のサイクルはどうして起きていると思いますか? これには「体内時計」が大きな役割を果たしているのです。

アメリカ人科学者のホール、ロスバッシュ、ヤングが体内時計に指示を出す遺伝子を突き止め、2017年にノーベル生理学・医学賞を受賞して話題になったので聞きなじみがあるのではないでしょうか。体内時計は「概日リズム」とも呼ばれ、私たちの体内の時間を調整するシステムのこと。24時間周期の昼夜の変化に合わせ、体がその時間の適切な状態になるようにコントロールをするものです。だから夜になればメラトニンという睡眠を促すホルモンが出て自然に眠くなり、朝になれば体が活動できるような状態に変わるのです。

しかし私たちの体内時計は、1日約24時間10分の周期で動いています。でも1日は24時間ですよね。つまり、人間の体内時計の周期は24時間よりも少し長いのです。だからどこかでこのズレをリセットしなくてはいけません。そのリセットに必要なのが「朝日を浴びる」「毎日同じ時間に起床する」「朝食を食べる」なのです。これらができていれば、体内時計が1日24時間に合わせてきちんと働いて、日中眠くなることもなく活動できます。

朝食を食べることで、睡眠の質も向上する!

体内時計には脳にある「主時計」と、内臓や血液などにある「副時計」があります。朝日を浴びて「朝になった」と認識するのは主時計ですが、内臓にある副時計は光ではなく、朝食を食べることで動いて、体内時計をリセットさせます。7時に起きても朝食を食べないと副時計が進まないので、体の中が時差ボケ状態になってしまいます。主・副時計の両方とも同じリズムで時を刻むためには、起床時間を整えるのと同時に、朝食もなるべく同じ時間に食べることが大切です。

また、メラトニンを分泌しやすくする朝食を食べると、より睡眠の質が向上します。メラトニンの素となる必須アミノ酸「トリプトファン」と「ビタミンB6」を意識して朝食を用意できるといいですね。

栄養素だけ聞くと調理するのが大変そうに聞こえますが、トリプトファンやビタミンB6を多く含むのは鮭やマグロ、鶏胸肉、納豆などです。特に魚の脂は体内時計をリセットする力が強いのでおすすめです。焼いた鮭をほぐしておにぎりにして海苔を巻く、ごはんに納豆を乗せるなどで十分。ここに、前日のうちに多めに作った具だくさんのお味噌汁をプラスすればバッチリです。朝から食欲がわかない子どもには納豆だけを食べさせたり、ヨーグルトやチーズなどタンパク質を意識して少しずつ食べられるようにしましょう。

本文は『忙しくても能力がどんどん引き出される 子どものためのベスト睡眠』(KADOKAWA)より一部抜粋・編集しています。

メイン画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ

賢い子には「ねむり」が不可欠! 忙しくても睡眠を確保する最強メソッドで成長期の子どもの、脳の発達、学習や記憶の形成、感情の安定、免疫システムの強化、注意力と集中力などを育むことができます。この本では幼児〜中高生、とくに小学生の睡眠にスポットを当てて、勉強にもスポーツでも最大限の能力を発揮でき、賢い子に育つ睡眠メソッドをご紹介しています。とくに中学受験のための通塾などで睡眠時間の確保が課題となっているご家庭には必見の内容です!

書籍紹介

『忙しくても能力がどんどん引き出される 子どものためのベスト睡眠』(KADOKAWA)
賢い子には「ねむり」が不可欠! 忙しくても睡眠を確保する最強メソッド
睡眠は人間にとって必要不可欠。成長期の子どもにとっては、脳の発達、学習や記憶の形成、感情の安定、免疫システムの強化、注意力と集中力などに関係してくるので、非常に重要です。 この本では幼児~中高生、とくに小学生の睡眠にスポットを当てて、勉強にもスポーツでも最大限の能力を発揮でき、賢い子に育つ睡眠メソッドをご紹介します。とくに中学受験のための通塾などで睡眠時間の確保が課題となっているご家庭には必見の内容です!

著者紹介

愛波 あや(あいば あや)
慶応義塾大学文学部教育学専攻卒業。外資系企業勤務後、拠点をアメリカ・ニューヨークに移し、2014年に米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。現在、PHI日本代表、Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役。講演や子どもの睡眠に悩む保育者のコンサルテーションなど幅広く活動中。二児の母。著書に『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、『マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)がある。

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