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コラム

寝不足は熱中症リスクを高める⁉️夏の子どもの体力を守る方法を睡眠と栄養の専門家が伝授

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事

【"成功する子"の食事術vol.23】子どもの成長に食事が大切ってことは分かっているけれど、どんなものを作ればいいの?毎日のことだから、悩んでいる親御さんも多いはず。シリーズ累計14万部突破「成功する子は食べ物が9割」の著者・細川モモさんに、20年後に後悔しない子どもの食事術を教えてもらいましょう。

この夏は海面水温が基準値より低くなるラニーニャ現象により、観測史上1位となる暑さが見込まれています。体力を奪う暑さに加えて、寝苦しさによる睡眠の質の低下は日中の疲れを増幅させ、子どもたちの運動や勉強と向き合うやる気を削いでしまうかも。

そこで、今回は、夏の子どもの快適な睡眠と体力を守る方法について、乳幼児睡眠コンサルタントの愛波あや先生栄養コンサルタントの細川モモが対談形式でお届けします。

寝不足は熱中症リスクを高める⁉️
夏こそ眠りを味方につける必要あり!

細川:この夏は過去一番の暑さになるそうで、子どもの熱中症などの心配が尽きなそう。

愛波:ほんとに。日本の子どもは睡眠負債を抱え気味で、寝不足は熱中症リスクを高めるとも言われているので心配。睡眠には自律神経を回復させる役割があるから、できたら10〜11時間程しっかりぐっすり寝てほしいな。

細川:そうだね、でも共働きで帰りが遅かったり、宿題や塾、スポーツなどの習い事でなかなか満足な睡眠がとりにくかったりする子どもたちが多いかも。十分な睡眠時間がとれない子におすすめできることってある?

愛波:あるある!まず試してほしいのはNASAによって効果が実証されている“パワーナップ(積極的仮眠)”。軽いお昼寝のことなのだけど、夜の睡眠の3倍も効果があるといわれているの。お昼寝というと横になってぐっすり……と思いがちだけど、お昼寝で熟睡してしまうと睡眠的には逆効果になることがわかっていて。パワーナップは座ったままで、アイマスクをつけたりホワイトノイズ(自然の音)を聞いて浅く眠るの。20分以上寝てしまわないように、タイマーをかけてね。

細川:年齢によっては子ども自身が実践できそうだね!昼寝で寝過ぎてしまうと逆効果になるということはあまり知られていないかも。

愛波:そうそう、よかれと思って土日に寝溜めさせてあげるのも、実は逆効果なの。それによって週末の夜寝るのが遅くなってしまっても、月曜日には早く起きなきゃいけないよね。こうやって体内時計が乱れることを“ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)”というのだけれど、時差ボケって大人でも辛いじゃない? 子どももこれが原因で集中力が落ちて日中ぼーっとしてしまって、学業やスポーツへの意欲と集中力を欠いてしまいがち。

細川:週末もふだんと同じ時間に起きて、同じ時間に寝ることが日中のベストパフォーマンスに欠かせないということだね。

愛波:その通り。ただ、睡眠の質も見過ごせない。寝る前のTVやパソコン、携帯もおすすめできないし、暑いからといってシャワーだけで済ませずお風呂にも浸かってほしい

細川:早く寝かせようとするとお風呂が寝る直前になってしまう家庭も多い気がする。

愛波:入浴のあと温まったカラダが90分くらい経つと深部体温が下がるのだけど、そのタイミングで入眠するのが良質な睡眠を獲得できるチャンスなの。だから学校や塾から帰ってきたらまずお風呂に入って、そのあと夕飯を食べてほしいな。シャワーだけでは体温が十分に上がらないので血液が循環せず、疲労回復効果も低くなってしまうの。

細川:夏は汗をいっぱいかくし、「帰ってきてまずお風呂!」は実践しやすそうだね。

愛波:他にも光やノイズ、寝具の選び方など、整えてほしい点はあるので、ぜひ子どもの快適な睡眠に興味を持ってもらえたら嬉しいな。

猛暑は水分不足に注意!
旬の夏野菜で夏バテ予防も◎

愛波:夜の快適な睡眠や夏に酷使しがちな自律神経を回復させるためには、食事も大切だよね。夏はどうしても食欲がなくなってしまって、子どもに栄養あるものを食べさせるのに苦労しがち。でも食べてくれないと熱中症が心配。

細川:夏はそういう相談すごく増える。実際、人は1日に必要な水分の半分を食事を通して摂るの。1食で約500ml分の水分が摂れるから、発汗量の多い夏の欠食は、脱水のリスクを高めてしまいがち。わが家は子どもにおしっこの色を申告してもらっています。色の濃いおしっこや、唇や肌の乾燥、便秘は水分不足のサイン。夏が旬の食材(きゅうり、トマト、スイカなど)は水分が多いのと、夏バテを防ぐカリウムも豊富だから、ぜひ食べてほしい。水分を摂るためには、例えば焼きおにぎりを出し汁であえてお茶漬けにしたり、冷やし茶漬け(サケ、たらこ、あじ、うなぎ)や夏野菜カレーもおすすめレシピです。

愛波:かんたんで良いね!食事面での変化というと、夏はどうしてもアイスやジュースが増えるよね。

細川:そうそう、スポーツドリンクもたくさん飲まれる時期。でも、砂糖入りの飲料を多飲するのは、「ペットボトル症候群」を考慮しても危険なこと。薄めに作ったスポーツドリンクでも、500mlのペットボトル1本で25g程度(角砂糖8〜12個分)の砂糖が含まれていて、幼児〜小学生なら1本で過剰摂取に。体内の糖を薄めようと水分を欲して多尿になったり、だるそうな姿が続いたら要注意。紫外線や運動によって増える活性酸素による疲れ対策という意味でも、冷凍ハチミツレモンや、レモン汁とはちみつで自家製スポーツドリンクをつくるのがおすすめ。

愛波:アイスを食べるならおすすめはある?

細川:砂糖が少ないのは、乳を使うものより断然、氷菓(シャーベット系)なの。夏休みが終わると太る子と痩せる子がそれぞれ増えるのだけれど、乳・クリーム系は脂肪も多いから、肥満が気になる子は控えめをおすすめします。

愛波:去年もすごく暑かったのに、今年は観測史上1位だなんて……!親子で食欲が落ちてしまったらどうしたらいいかな。

細川:心配だよね……。汗で失うミネラルは慢性疲労やこむら返り、痙攣などにも影響するので、しっかり補いたい。免疫の土台のたんぱく質も。となると、さっぱりした素麺や冷やしうどんにした場合は、プラスする食材として豚しゃぶ、納豆、ツナ、温玉などを使ってほしいな。肉・魚・卵・大豆・乳製品の5大たんぱく質の強みは、スタミナのもとになる脂質と、汗で失うミネラルの供給源であることなの。牛乳だと成長期に必要な鉄が不足するのでアイスココアとかもおすすめ。甘味をオリゴ糖にすると砂糖より血糖値が上がりにくくて、腸内細菌も喜びます。

愛波:レモン汁とはちみつの自家製スポーツドドリンクに、オリゴ糖のアイスココアね!さっそくスポーツをやっている息子たちに飲ませる!

細川:睡眠と食事は意欲、集中力、体力を左右するから、猛暑に負けないカラダづくりを全力でサポートしてあげたいね!

メイン画像提供:Adobe Stock

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執筆者情報

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
2009年春に、医師や管理栄養士を中心に13種の医療専門家及び博士/研究者が所属する「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。専門家の知識を分かりやすく提供することで、日本の家庭教育と子どもたちの健康をサポートしようと幅広い活動を展開。さらに、予防医療のなかでも、”母子健康”に注力。課題は深刻だが国のサポートが手薄なため、妊娠前/妊娠中/産後の女性の健康支援を通じて、次世代の健康の底上げに取り組んでいる。生まれてくる赤ちゃんの栄養状態・成長は妊娠前のママの栄養状態に影響されるが、働く女性の栄養状態は近年悪化している。日本の未来を守るためにも、母子栄養を潤す事は必要不可欠と考え、栄養状態の悪い女性を減らすことで不妊症や低出生体重児を予防し、1人でも多く健やかな赤ちゃんが生まれることを願い、走り続けている。

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