知らないことがいっぱい!映画「もったいないキッチン」で楽しく食品ロス問題を考えよう

知らないことがいっぱい!映画「もったいないキッチン」で楽しく食品ロス問題を考えよう

オーストリアからやって来た食材救出人で映画監督のダーヴィド・グロスさんと、その相棒の塚本ニキさんが、日本全国を回って食品ロスの実態を探るドキュメンタリー映画『もったいないキッチン』。今回は監督のダーヴィドと通訳兼旅の相棒・ニキさんに、映画を通して伝えたかったことや日本の食品ロス問題についてお話を伺いました。

知ってる?日本の食品ロス問題

――映画「もったいないキッチン」はどういう経緯で制作されたのでしょうか?

ダーヴィド・グロス監督(以下、ダーヴィド監督):2017年に前作の『0円キッチン』が日本で公開されることになり、初めて日本に来たのですが、そこで映画会社の方から「日本でも食品ロスが大きな問題になっている」という話を聞いたんです。
それで「次は日本で映画を作れたらいいね」と言っていたら、どんどん話が進んでいき、本当に日本を舞台にした食品ロスのドキュメンタリー映画を作ることになりました。

――ニキさんも食品ロスに興味があったのですか?

塚本ニキさん(以下、ニキさん):ニュージーランドの大学に通っていたとき、周りに“ゴミ箱ダイビング”(※)している仲間がいて、すごく興味を持ったんです。その人にお願いして、私も一緒にスーパーの大きなゴミ箱に飛び込んでみたら、大量の加工食品だったり、ヘコんだ缶詰だったり、2日後に賞味期限が切れるパンなどがあって…そこで大きなショックを受けたんですね。そこから半年間くらいはゴミ箱の食料を持ち帰っていました。日本では絶対できないことですけどね。

※ゴミ箱ダイビング…食べずに捨てられた食料を救い出し、おいしい料理に変える

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――日本の食品ロス問題について、どのように考えていますか?

ダーヴィド監督:映画のパンフレットにも書かれていますが、日本の廃棄料は世界でもトップクラス。具体的な数字でいうと、643万トンという数の廃棄食料が出ています。これは国民が毎日おにぎり1個を捨てているのと同じことなんです。

でも問題は、量の多さやランクではありません。食品ロスがあること自体が問題なんです。しかし、僕はその責任追及をしたいのではなく、あくまで解決策を考えていきたいと思って、日本中をめぐり、この映画を作りました。日本は食品ロスを生み出す国でありながら、一方では伝統的な食文化や最新技術などを使ったさまざまなイノベーションやサスティナブルな取り組みが行われている。

その二面性のパラドックスに非常に興味を感じて、そこを掘り下げていきたいと思いました。

目からうろこ! 改めて知る日本の良さ・悪さ

――日本全国を旅して、感じたことを教えてください。

ダーヴィド監督:映画の最初のほうに「食品リサイクルセンター」が出てきますが、ヨーロッパにも同じように廃棄食料を動物のえさに変える施設はあるんです。でも、日本は特に技術的に進んでいる。

それはとてもいいことだと思いますが、環境配慮のキーワードである「リユーズ・リデュース・リサイクル」の3つのRの中でいちばん優先したいのは、リユースとリデュース。再利用と削減のほうなんですね。リサイクルは最後であるべきなんです。そのことをこの映画を通して伝えられたらと思いました。

映画の中ではコンビニの食品に関する賞味期限の話もしていて、日本は賞味期限の「3分の1ルール」(※)が厳しく守られています。その影響でまだ食べられるはずの食べ物が廃棄されているのを見ると、とても胸が痛みます。安全管理は大事だけど、まだ食べられる食べ物は食べていいはずだというのが私の考えです。

※3分の1ルール…食品製造から賞味期限までを3分割し、賞味期間の3分の1を超えて納品できなかった商品は、賞味期限まで日数が残っていても、廃棄となる。

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――日本の旅で思い出に残っているエピソードはありますか?

ダーヴィド監督:この質問を考えるとき、その日の体調や気分によって答えが変わるんですよ(笑)。印象に残っていることが多すぎて、なかなかひとつに絞るのは難しいですが…今日の気分でいえば「クラシック節」ですね。モーツァルトの曲を聴かせながら完成したかつお節には、不思議な縁を感じました。

実は、僕のオーストリアの自宅の窓からちょっとだけモーツァルトが生まれた家が見えるんですよ。そう考えると感慨深いですよね。家にまだいただいたかつお節があるので、近いうちにご飯にかけて食べようと思います。

ニキさん:福島県の農家を訪れた際、「ねぎ坊主」という単語を始めて聞いたんですよ。普通だったら捨てられてしまう「ねぎ坊主」をフレンチ流にアレンジしていただいたのがすごくおいしかったです。

そのほかにも、日本各地を回ってたくさんの方々にお会いする中で、思っている以上に日本の食文化や精神面に触れることができました。「もったいない」や「いただきます」といういつも何気なく使っている言葉を、監督に英語でニュアンスを込めて説明しているうちに自分でも「いただくってこういうことなんだ」って改めて知ることができたり。

生活習慣を180度変えられたわけではないですけど、以前より食べ物を“いただく”んだなって感覚が身についたと思います。

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「もったいない」という言葉の意味を考える

――日本の食品ロスはどうしたら減らせると思いますか?

ダーヴィド監督:食品ロスを語るときに数字ばかりを気にしたり、解決策を考えるより、まず「食は命である」ということを考えるべきだと思います。典座教訓(てんぞきょうくん)という精進料理の本があるのですが、その中に“お米一粒一粒を自分の目玉のように大切に扱いなさい”という文章があるんです。それぐらいの意識で食べ物を大切にしようという心があれば自然に自分がすべきことがわかると思います。

――大切なのは“もったいない”と思える心ということですね。

ダーヴィド監督:そうですね。日本には“もったいない”というすばらしい言葉がありますから。

僕の国には、“もったいない”というようなキャッチーな言葉はないのですが、“もったいない”の精神は幼いころに祖母から教えてもらいました。戦争を体験した祖父母はお皿に出された料理はきれいに食べるというのが当たり前の世代なので、僕は今もその教えを大事にしています。祖母が僕に厳しく教えなければ、食べ物はお腹が空いたら当たり前のように出てくるものだと思っていたでしょう。祖母の教えがあったから、食べ物をありがたく思えるようになったと思います。

経済的な豊かな国で貧困が身近にない場合は、そういう考えは自然に湧いてこないからこそ、誰かに教えてもらわなきゃいけないのだと思います

――最後にクックパッドニュース読者にメッセージをお願いします!

ダーヴィド監督:今のウィズコロナの時代において、この映画はただのエンターテイメントではなくて、生活のためのサバイバルスキルを学ぶきっかけになるかもしれません。残り物を効果的に調理するか、保存するか、そういうさまざまなヒントがたくさん散りばめられています。ぜひご家族でこの映画を見ていただけたらうれしいです。

ニキさん:環境問題や食品ロスについて考えたことがない人にもぜひ見ていただきたいです。食品ロスに対して意識を高くしなきゃだめ、と強制している映画ではないですし、ただ楽しみながら肩肘張らず見てもらえたらと思います。 もったいないという言葉や気持ちを共通認識として持つだけでも、少し意識は変わっていくと思うので、ぜひ親子やご家族で見に行って、それからのご家庭での生活に生かしてもらえればうれしいです!

(TEXT:河野友美子)


映画『もったいないキッチン』が8月8日(土)より全国順次ロードショー

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食の「もったいない」を美味しく楽しく解決! 舞台は“もったいない精神“の国、日本。
“もったいない精神”に魅せられ、オーストリアからやって来た食材救出人で映画監督のダーヴィドと、パートナーのニキが日本を旅して発見する、サステナブルな未来のヒントとは?

8月8日(土)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次ロードショー

>>『もったいないキッチン』上映情報の詳細はこちら


ダーヴィド・グロス David Gross

1978年オーストリア生まれ。TVジャーナリスト、映画監督、フードアクティビストとして活動。
ゴミ箱ダイバーとしての経験を積んだ後、クロスメディアプロジェクト「Wastecooking」を開始。
ヨーロッパ諸国を旅しながら捨てられてしまう運命の食材を使った創作料理を振る舞うTVシリーズと長編ドキュメンタリー映画『0円キッチン』を制作。TVシリーズは2015年にArte、 3satとORFで放映。
映画は複数の映画祭で賞を受賞。2020年、日本を舞台に映画『もったいないキッチン』を監督。

塚本 ニキ Nikki Tsukamoto

通訳、コーディネーター。ダーヴィド・グロス監督が映画『0円キッチン』のプロモーションのため来日時、通訳者となったことからダーヴィドと出会う。9歳から23歳までの14年間をニュージーランドで過ごす。
子どもの頃から環境問題や人権などエシカルイシューに強い関心を持ち、ボランティア活動に積極的に参加。
フェアトレード事業や動物保護NGOでの勤務経験もある。

クックパッド編集部

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