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コラム

夜の納豆が脳卒中リスクを下げる⁉️ “元気に長生き”に欠かせない納豆パワーを医師が解説

100歳まで生きることが現実的になってきた今、できるだけ長く健康を保って、人生を楽しみたい! 誰しもみんなこう思っているのではないでしょうか。実際に健康長寿を手にした人たちの生活習慣に注目すると、なんと日本が誇る発酵食品「納豆」のパワーが影響していることが判明してきました。そこで今回は、日本抗加齢医学会にも所属している工藤孝文医師が監修した書籍『「長生きする人」の習慣、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)から、長生きを支えてくれる納豆のパワーについて、少しだけお届けします。

脳卒中のリスクが低い長寿の人は、
納豆を朝食ではなく、夕食のおかずにしていた!

納豆は朝食で食べる人が多いだろうが、脳卒中にならずに長生きする人は、夕食のおかずにするのが習慣になっているかもしれない。

日本が誇る発酵食品、納豆には健康維持に有効な成分が数多く含まれている。そのひとつが、たんぱく質分解酵素のナットウキナーゼだ。納豆を食べると、体内でこの独特の酵素が働き、血栓の主な成分であるフィブリンを分解し、血液をサラサラにしてくれる。納豆の血栓を溶かす作用はとても強く、よく食べる人は脳卒中のリスクが32%低いという研究もあるほどだ。

血栓ができやすいのは眠っている間。寝ているときの突然死を防ぐため、納豆を夕食でも食べるようにして、脳卒中の予防効果を一層高めてみてはどうだろう。

東日本のお年寄りはあまり骨折しない。
その理由は、納豆をよく食べるから!?

寝たきりにつながる大腿骨などの骨折は、西日本よりも東日本のほうが発生率が低い。その要因として、東日本のほうが西日本よりも納豆の摂取量が多いからではないか、という推論がある。

あまり知られていないが、納豆は骨を丈夫にしてくれる。骨に関連する栄養として、カルシウムと並んで重要なのがビタミンK。あらゆる食品のなかでも、納豆はその含有量がトップクラスなのだ。閉経後の女性を対象にした研究では、納豆をよく食べるほど、骨粗鬆症で骨折するリスクが低下することがわかっている。

納豆を1パック食べるだけで、ビタミンKの1日の摂取目安量をクリアできる。年を取っても骨折しにくい東日本の先輩たちを見習って、50代、60代のうちから納豆をたくさん食べるようにしよう。

納豆のアンチエイジングパワーが、
老化を抑制する「オートファジー」を発動する!

納豆のすごいパワーはまだある。細胞の新陳代謝を高める「オートファジー」という作用を促してくれるのだ。東京工業大学の大隅良典栄誉教授が2016年、その仕組みを明らかにしたことにより、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。

老化を抑制する機能としても注目され、多方面で研究が進められているオートファジー。これを活発に働かせるのに必要なのが、ポリアミンというアンチエイジング成分だ。発酵食品などに多く、なかでも納豆には飛び抜けて豊富に含まれている。納豆をよく食べる長寿の人は、知らないうちに体を若々しく保っていたわけだ。

ポリアミンには体内時計のズレを修正する働きもある。年を取ると体内時計が乱れやすくなり、ひどい場合は生活習慣病やうつ病などにつながってしまう。この非常に有効なポリアミンを摂取するためにも、納豆をよく食べることは欠かせない。

本文は『「長生きする人」の習慣、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)より一部抜粋・編集しています。

メイン画像提供:Adobe Stock

書籍紹介

『「長生きする人」の習慣、ぜんぶ集めました。』(青春出版社)
健康で長生きする人と、そうでない人の違いは、日頃の習慣にあるのです。本書は、ただ長生きだけでなく、健康寿命の長い人の習慣を、食べ方、メンタル、睡眠、ケア、運動、考え方、など、さまざまな側面から紹介します。

監修者紹介

工藤 孝文(くどう たかふみ)
1983年福岡県生まれ。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。専門は、糖尿病・ダイエット治療・漢方治療。「ガッテン!」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)など、テレビ番組への出演・医療監修のほか、健康関連の著作も多い。日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本抗加齢医学会・日本東洋医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会・小児慢性疾病指定医。

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