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コラム

【食中毒予防のお弁当作り】手指の傷を介して発生する食中毒に注意!

涼しくなり、秋らしい季節になってきました。お弁当作りを再開した方も多いのではないでしょうか? 今年は新型コロナウイルスの影響で、勤務先に手作りのお弁当を持参する人も増えているといいます。
しかし、ここで気をつけたいのが「食中毒」の問題。特にお弁当は調理をしてから口にするまでに時間が空いてしまうため、食中毒につながる危険性が高くなります。

そこで今回は、お弁当の定番であるサンドイッチやおにぎりなど、人の手を介して発生することが多い「黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)食中毒」に着目。黄色ブドウ球菌とはどんな菌なのか、また、人の手を介した食中毒を防ぐにはどうしたらよいのか。お弁当を作る、食べる機会が増えている今だからこそ、改めて「お弁当の安全」について考えていきたいと思います。

黄色ブドウ球菌とは?

黄色ブドウ球菌は、人や動物の皮膚などに広く分布している身近な菌です。手指に傷がある化膿したところや、鼻の中、髪の毛、皮膚などにもついていて、健康な人のおよそ4割くらいは黄色ブドウ球菌を持っているといわれています。とはいえ、しっかり手を洗ってケアをし、清潔な状態にすれば、黄色ブドウ球菌は落とすことができます。

どうやって食中毒が起きる?

調理する人の手指に傷(化膿していたり、手荒れ、ひび、あかぎれがある場合)があると、そこから菌が食品に付着。菌が食品中で増えると毒素が作られ、その食品を食べることで食中毒が発生します。東京都福祉保健局のHPなどによると、主な原因食品は、おにぎりやお寿司、お肉、お菓子など多岐にわたり、菌のついた食品を食べてから平均3時間程度で、突然の吐き気や嘔吐、腹痛、下痢といった症状が現れるといわれています。

黄色ブドウ球菌は食品に付着しただけでは食中毒は起きません。菌がついた手で調理し、菌が付着した食べ物の温度管理が悪いと菌が増え、毒素ができ食中毒を起こします。

以前は「サルモネラ菌」と「腸炎ビブリオ」と並ぶ三大食中毒のひとつといわれていましたが、最近では「黄色ブドウ球菌食中毒」の感染者数は減少傾向にあります。はっきりした要因はわかりませんが、手洗いの普及や使い捨て手袋などで調理することが増えたためと考えられます。

恐れすぎないで!予防さえすれば大丈夫

食中毒予防の基本は、「つけない、増やさない、やっつける」です。まずは「つけない」ことが大前提ですが、菌は目に見えないため、見た目はきれいでも、食中毒にかかわらないようなさまざまな菌もついています。そのため、「増やさない」ことが大切になってきます。それではどのよう増殖を防ぐのかというと、気をつけるべきは「温度」です。黄色ブドウ球菌は、30度から37度で一番増殖します。

「温度管理」を徹底する

調理後すぐに食べられない場合は、「冷蔵」することをおすすめします。菌が毒素を作り出すのは10度以上といわれているため、万一、菌が食品についても冷蔵庫に保存しておけば毒素を産生する心配はありません。例えば、夜7時くらいにご飯を作って、家族が帰ってくるまで食卓に出しっぱなしにしていた…ということもあるかもしれませんが、もし菌が付着していた場合は食中毒の危険が高まるため、冷蔵庫に入れておくなどの対策をしましょう。

加熱すれば大丈夫?

菌がついた食品を食べる前に加熱しても、菌が増えすでに毒素を作っていた場合は食中毒を起こします。この毒素は熱に強いため、一般的な加熱では分解されません。加熱するからいいだろう、と常温に置いておくのはやめましょう。

菌を増やさないお弁当作りのポイント

黄色ブドウ球菌が増える条件を満たしやすいのが「お弁当」です。自宅から持って行ったお弁当を会社の冷蔵庫に入れられなかったり、学校には冷蔵する場所がないことが多いため、菌が増えやすい環境になっています。それらを防ぐためにも、保冷剤や断熱性のあるバッグを使うなどして冷やしておくことが大切です。

水分にも注意!おにぎりは熱いうちにラップに包まない

菌が繁殖する条件は温度のほかに、水分も関係します。生ものなど水分が多い食材を避けたほうがいいと言われているのもそのため。生野菜や果物を入れる場合は、よく洗い、水気を切ってから詰めましょう。

また、おにぎりを包む際やご飯をお弁当箱に詰める際にも注意が必要です。熱いうちにご飯をラップで包むと、そこに蒸気がたまって菌にとっては好条件になってしまいます。

そのほか、お弁当にご飯を詰める際、まずご飯を詰めてからふたを開けて冷ます人がいますが、いくらふたを開けてもお弁当箱に水分がついてしまうと菌が繁殖する原因になってしまうため、お弁当に炊きたてのご飯をいれるときは、一度お皿にとって冷ましてから入れるようにしましょう。おかずもできるだけ水分が出ない方法で、あるいは水分の少ない食材を選ぶようにするといいでしょう。

自然解凍可能な冷凍食品を使用する

市販の自然解凍可能な冷凍食品のおかずを利用するのもひとつの手段です。冷たいまま入れることで保冷剤の補助にもなり、お弁当内の温度の上昇を防ぐことができます。ただし、中には加熱しないと食べられないものがあるため注意してください。

手袋の前に必ず手洗いを!

最近では使い捨ての「手袋」をして調理をする人が増えていますが、そこでも注意が必要です。手袋をはめるときに菌のついた手指でその手袋を触ってしまっていては、いくら手袋をしていても意味がありません。手袋をしているから大丈夫と過信せず、手袋をする前にもしっかり手を洗うことを忘れないようにしましょう。

今一度おさらい!「お弁当」の基本ルール

  • 水分が少ないおかずを選ぶ
  • おかずの味つけは濃いめにする
  • おかずは十分に加熱調理する
  • 作りおきおかずは、詰める前にレンジで再加熱&冷ましておく
  • おかずやご飯は、しっかり冷ましてから詰める
  • おかず同士が触れないように、アルミカップやバランなどの仕切りを入れる
  • 素手ではなく、清潔な箸やスプーンで詰める
  • 持ち歩く際は、保冷剤や保冷バッグを利用する

【参考文献】
東京都福祉保健局:「黄色ブドウ球菌」
公益社団法人 日本食品衛生協会:「黄色ブドウ球菌食中毒」

監修:公益社団法人日本食品衛生協会

飲食物が原因となって起こる食中毒などの健康被害を防止し、消費者の健康を守るため、食品等事業者に正しい食品衛生の知識を広めることを目的として、地域の保健所や食品製造業や飲食店等の人々と協力し、 食の安全を守るための活動を行っています。
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・食中毒・食の安全Q&A「知ろう!防ごう!食中毒」

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