料理を楽にするために必要なのは「自分にあったシンプルな調理法」

料理を楽にするために必要なのは「自分にあったシンプルな調理法」

【からだに沁みるごはんのヒントvol.3】心身のバランスを整えるのに食事は重要とわかっていても、どうすれば…?という人は多いですよね。そこで、食卓料理家の森本桃世さんに、からだが喜ぶごはん作りのヒント教わります。自分で自分自身を癒せるようになりましょう!

断食して、口にするものの大切さを考えた

前回の記事はわりと小綺麗にまとまってしまったので、今回は実体験をベースに書いてみようと思います。

大量に飲んでいた薬などをデトックスする為に、35日間という断食(実際水と梅干しのみだったのは18日間、ほかに準備や回復期間なども)をした時にいろいろびっくりしたことがありました。

まずは食べるのをやめたとき、人はいかに毎日食べることを考えているかということ。私は職業柄、思考の半分以上は食べることを考えているのですが、それにしても毎日「何食べようかな」とか「何作ろうかな」など、日々のごはんのことを思った以上に考えていたようです。

それが“食べない状況”におかれ、食べ物のことを考えるとお腹がすくので考えないようにしていたら、あまりにも考えることがなく暇になってしまいました。いかに自分の思考が食べ物に偏っているかを実感したときでした。

徐々に食べ物の欲求が減り、頭もからだもクリアになったとき、いよいよ断食が終了。待ちに待った重湯を口にしたとき、びっくりするほどおいしかったのが今も印象に残っています。

そんな記憶も霞んできている今、ふたたび日々のストレスで疲れきってしまい、脳の指令のまま食べたいものを食べてはいろいろ蓄積されています。

最近は、「食べたい」とか「作りたい」とかの欲求すら減ってきてるように思います。あんなに食べるのを楽しみにしてた毎日とはうって変わり、いかに楽して食事を終わらすかに思考を費やしたりします。

ただ、断食体験の中でもうひとつ驚いたことがあります。それは、断食も後半にさしかかったとき、食べてもいないのに喉からポテトチップスの味がしたのです。次の日は、肌から昔使っていたシャンプーの臭いがしはじめたのです。

これにはすごく驚きました。「からだに分解できないものが蓄積されていたのかもしれない」と。この経験をしてから、デトックスの大切さや、自分が何を口にするかを考えはじめたのです。

なので、楽して食べることはしたいけど、外食が続くと何を口にしているかわからない怖さも感じたりするので、ほどほどに外食を楽しみ、自分で作ることも行いバランスをとっています。

つらいときに無理をして作っても、おいしいものはできないし、たまには力を抜いて楽することも大切だと思っています。

“発酵”に目覚めたきっかけ

私は“発酵料理人”と言われることが多いのですが、それは断食を機に食べるものを考えたとき、“発酵”というワードに興味を持ったことからはじまります。

発酵とひとことで言っても奥が深く、それまで味噌作りもハードルが高いと思っていたぐらいの浅い知識しかなかったため、当時働いていたお店『タイヒバン』でワークショップなどを開催しながら発酵の世界に足を踏み入れました。

しかし、自分でいろいろ作ってみたり、発酵のメカニズムを学んでもチンプンカンプン…。そんな中でも「これは!」と思ったのは、麹の酵素です。「分解したり、甘みや旨味を作ってくれるすごいやつ」ということは私にも実感できました。

麹とは、ざっくりいうとお米にカビをつけて“麹カビ”を生やしたもの。麹に含まれる酵素のなかに、タンパク質やでんぷんを分解したりする作用があるため、お肉やお魚を柔らかくしたり、長持ちさせたりできるのです。

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なおかつ、甘みや旨味、調味料によっては塩味もあるので味のベースにもなります。これを利用して料理をするとめちゃくちゃ時短になるし、ずぼらの私にはもってこい。私の料理にはたびたび麹を使った調味料(主に塩麹や醤油麹、味噌)が登場するようになりました。

無理をせず料理を楽にするために、麹に漬けておく、ということをやっています。

塩麹や醤油麹は保存性のために塩分がきつくなっているので、漬けすぎるとしょっぱくなってしまいます。なので、みりんや柑橘などでのばしたり、1〜2日以内に食べる場合は水でのばしても良いと思います。私はハーブやスパイスを足して自分好みにカスタムしています。

お肉やお魚を大量に買った時は漬けておき、麹においしくしてもらいます。

30分で3品できる「せいろ蒸し」

漬けておいたお肉と蒸し器があれば、切って蒸すだけで立派なごはんができ上がるので、気になった方は試してみてください。

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まず、鍋に水を入れ、大きめに切ったお野菜をいれます。葉ものよりは根菜系がおすすめ。その上に、蒸し器をセットし、中段に塩麹につけた鶏肉をいれます。その横か、もう一段あれば上の段に葉ものや、蒸し野菜に適した野菜を入れて火をつけます。

葉ものは火の通りが早いので、火が通ったら取り出します。あとは鶏肉に火が通ったら止めます。一番下の鍋は鶏肉のエキスが流れて野菜スープに、メインは蒸し鶏、葉ものは付け合わせや、ひと手間加えれば胡麻和えなどの副菜になります。30分で3品できあがるのです。これにご飯があれば十分。

野菜スープのお野菜は大きめにきるとポトフにもなり、少し水を足して味噌を加えれば鶏出汁のお味噌汁に、トマトやケチャップを足せばミネストローネ風のスープになります(ケチャップを足す時は水も加えるなど塩加減を気をつける)。

鶏を豚や魚に変えればバリエーションも増えます。蒸し器がない場合は、お肉と野菜を茹でて、茹でたものを取り出せば、スープとメインはできます。スープにはほんのり塩味もつくので、そこに少し塩や醤油などを足して、うどんなどを入れても良いです。

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蒸し器はハードルが高いと思う方が多いですが、使ってみると意外と便利です。何段か重なってる小さいせいろがあれば、一度に何品かできるし、蒸気がおいしいにおいを出してくれるので、「料理してるな」って気分になります。

0a03fb160c6b1c0500d00f8ace111c20 塩麹や味噌など漬け床を変えればバリエーションも増える。最近は醤油屋さんの醤油粕床にはまっている

自分にあったシンプルな調理法をひとつ見つけておくと、疲れているときでも無理せずおいしい料理が作れる気がします。

言い訳をせず手を抜くために、頭を使う。昔からある知恵を借りて、自分なりにアレンジして楽をする。断食と発酵から、私が学んだことでもあります。


森本桃世

4d45ca8f73c3a1535fc7c6d46a52a691 『身体は食べ物からできている』をコンセプトに野菜の素材や発酵食品を活かし、手間をかけ、からだの喜ぶ料理をつくる。循環にまつわるオーガニックレストラン「Taihiban」の運営シェフ、「KURKKUFIELDS」を経て現在は発酵デパートメント飲食部に関わっている。

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