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コラム

まずは知ることが大事!料理が楽しくなる「調味料」選びのポイント

【からだに沁みるごはんのヒントvol.4】心身のバランスを整えるのに食事は重要とわかっていても、どうすれば…?という人は多いですよね。そこで、食卓料理家の森本桃世さんに、からだが喜ぶごはん作りのヒント教わります。自分で自分自身を癒せるようになりましょう!

健康とは何かをふと考えてみた

この前ふと、健康とはそもそも何なんだろう……と思い、ネットで「健康とは」と調べてみました。健康とは病気がない状態や弱っていないというだけでなく、「肉体的、精神的、社会的に完全な状態であること」と書いてあるのを見て、私の健康への道はまだまだ長いなと途方に暮れました。

慢性的疾患の病気といわれた時、お医者さんに「完治する薬も治療法もないから、うまくつきあっていくことが大切」と言われました。病気以前に、現在の自分のからだの様子を知り、自分にあった行動をとるというのはすごく大切なんだといつも思っています。私は“からだは食べ物でできている”というのをコンセプトに、からだに沁みるご飯を作りたいと思っていますが、そう言われてもなんだか難しく考えて諦めてしまうという人もいると思います。

私も最初はなかなかできず、完璧でないと駄目なんだと思っていました。からだとうまく付き合うって本当に難しいですよね。特に自立神経の乱れが激しい私は、ストレスがたまると料理すらめんどくさくなり、料理家と名乗ってるにも関わらず、自分のご飯を作ることがとにかく苦痛になります。

そして、簡単にとれるラーメンやスナック菓子をたべてお腹を満たし、ひどいときは一日を終えてしまう。翌日パンパンに腫れた顔を見て自己嫌悪に陥るという負のループにはまってしまいます。

そんな状況なので、自分のからだやストレスとうまく付き合いながら健康になるのは、エベレストに登頂するくらい難しく感じるのですが、出来ることと1つずつ向き合っていくしかないなと日々思いながら料理をしています。

でも最近、ちょっとコツをつかんできた気がしているのです。それは“知って選ぶ”を意識することにヒントがありました。

知って、選びたい「調味料」

ちょっと話がズレますが、私がおしゃれだと思う人は、自分に似合った着こなし方をしている人です。ただ流行の服を着るだけでなく、自分の体型や顔に似合うものを知り、その上で好きな素材や形、トレンドなどをうまく組み合わる……そんな人を見ると、おしゃれだなと感じます。

それって、料理も同じでは?と思ったのです。自分のからだのことを知り、気分や状態によって食材や組み合わせを考えると、なんだか料理が楽しくなる、と。

最近の私の料理は、口頭でレシピを伝えられるくらい簡単なものばかりです。これとこれを組み合わせる、とか、これとこれを組み合わせて煮るだけ、とか。簡単なのですが、びっくりするくらいおいしい。周りの「料理をうまくなりたい」と言う人に、具体的にどうなりたいか尋ねると、「冷蔵庫にあるものでおいしい料理を作れるようになりたい」というのを耳にします。これって、実はすごく簡単。

そのためには、“知って選ぶ”が必要です。

中でも調味料の選び方はとくに大切。みなさんも頻繁に使うと思いますが、選ぶのって案外難しいなと私は感じます。どう選んだら良いか、はたまたどう使えば良いか……。私もコツを掴み、使いこなせるようになるには時間がかかりました。

調味料は酸化したり、開けた状態で放置するとおいしくなくなるので、目的を絞って本当に必要なものを最低限揃えるのがよいと思います。

自分が良く使う調味料をリストアップするのもおすすめです。人や家庭によって優先順位が違ったりします。その中から5個ほど選び、まずはそれをちゃんと揃えてみるところから始めましょう。

身近な調味料であっても、原料や作り方って案外知らなかったりしませんか? 調味料は基本的に、頑張れば自分でも作れるものが多いです。最近は味噌や醤油のワークショップなどもありますね。とはいえ、自分で作る必要まではないと思いますが、作れるということは、何を使ってどう作られているか、を知る機会につながります。それを知るだけでも、選ぶ選択肢のヒントにつながるかと思います。

ちなみに、私が調味料を選ぶ基準はこんな感じです。

1. 材料がシンプルなものを選ぶ

2. 昔ながらの製法のものを選ぶ

3. 用途により、味の違いで選ぶ

4. なるべく添加物の入っていないものを選ぶ

1の「材料がシンプルなものを選ぶ」は、仮に自分で作るならシンプルなもので作りたいし、その方が単に気持ちが良いと感じるからです。

2の「昔ながらの製法のものを選ぶ」は、機械などで急いで作るより、昔ながらの製法で作られたものの方が菌の働きに合った製法だったりするので、うまみや味に複雑さがあって料理のベースができやすいからです。それと、おいしくしてくれる作用もあります。

「天然醸造」という作り方を知るのもおすすめです。天然醸造調味料とは、人間が環境を整えて微生物の力を作用させ、添加物を加える事なく作った醸造調味料のこと。「即醸造」とは環境をコントロールして短時間で作ったもの。味を作るために添加物や、その他調味料も加えたものもあります。

例えばみりんは、よく“本物のみりん”という言葉を聞きますが、本物のみりんってなんぞや?となりますよね。伝統的な製法のみりんとは、焼酎に米麹と、蒸したもち米を混ぜ、数か月間置いてもち米を糖化させ、圧搾して作る甘い酒のこと。なので、本格焼酎、米麹、もち米や米が基本原料となります。この原料だと、米を糖化させて甘みをだしているので、砂糖は入っていなくとも甘く、うまみがある。「本みりん」と書かれているものの中にも、糖化させてはいるけど、焼酎が醸造アルコールだったり、砂糖が添加されているものもあります。

「みりん風調味料」は、みりんの味を表現した、みりんに似せた調味料です。いろいろなものを使っている場合が多く、雑穀を糖化し、一部アルコール発酵もさせた調味液に、醸造用アルコールと塩を加えてつくられます(酒税がかからないので安いのも特徴)。

“本当のみりん”とは、すなわちお酒なのです。少しなめ比べるとわかると思います。お酒の粒子は細かく、食材に細かい穴をあけるので、味がしみ込みやすい。肉や魚の臭みを抱えて熱とともに臭みも蒸発させるという働きもあるそう。なので、料理がおいしくなる作用が高いものを選ぶのも、簡単料理への近道です。

3の「用途により、味の違いで選ぶ」は、作り手や材料により味もさまざまなので、単純に好みで選んでも良いし、使う用途によってその良さの活かし方も変わります。例えば、醤油は使用頻度が高いと思いますが、加熱するなど調理過程で使うものは安価で味のすっきりしたものを選び、かけて使うものは少し濃いめの溜まり醤油や生醤油など選んだりしています。また、味噌は地域や蔵元、麹の種類(豆、米、麦など)や材料(豆の種類)によって本当に違うので、いろいろ試して自分の使いやすいものを選んだり、加熱用や、和え物など生で使う用など使い分けています。

4の「なるべく添加物の入っていないものを選ぶ」は、もし添加物がある場合、どんなものなのかを確認します。昔は入っていなかったものもあると思うので、本当に必要なのかを確かめる感じです。自分のからだに入れるものなので、身元の分からないものはなるべく入れないという理由です。

あとは、シンプルに好みや、使いやすいもの、買いやすいもので選ぶと良いと思います。

うちの調味料たち。みりんやお酢はお気に入りの蔵のもの。醤油はうす口、濃口、なんでも使えるもの、魚醤とバリエーション豊富

大切なのは、ただなんとなく選ぶということから、“知って選ぶ”を意識し、楽しむことだと思います。そして、使い切って次にいくというのも大事です。 たとえ賞味期限が長くても、開封したまま置いておくとどうしても味は変化します。普段あまり使わないものは少量のものを選んで使い切るのもポイント。使い切れなかったものは、次は買わないのもよいと思います。

発酵食品の組み合わせで、簡単おいしいが実現

最近もう1つおもしろいなと気づいたのは、発酵を経て作った調味料や発酵食品は、長い時間をかけてすでに菌が調理を行ってくれています。それをうまく使えば、単に組み合わせたりするだけで簡単でおいしい料理ができあがります

最近作ったのは「インスタント目玉焼き丼」。目玉焼きを下が焼けてきた状態で半分に折り、両目カリカリにします。中は半熟です。そこにきゅうりのぬか漬けをあわせ、たまり醤油と胡麻油を混ぜたものを回しかけご飯にのせるだけでもおいしい。“発酵食品でファストフード”、遅いんだか早いんだか分からないですが……。

森本桃世

『身体は食べ物からできている』をコンセプトに野菜の素材や発酵食品を活かし、手間をかけ、からだの喜ぶ料理をつくる。循環にまつわるオーガニックレストラン「Taihiban」の運営シェフ、「KURKKUFIELDS」を経て現在は発酵デパートメント飲食部に関わっている。

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