2023年にブームになりそうなスイーツとしてメディアで話題になっているブラジルのプリン「プヂン」。日本のプリンとは違い、コンデンスミルクが入った濃厚な味わいが特徴なんです。おうちでの楽しみたい!という方のために、今回は人気カフェのメニューにもなっている、プヂン研究家・中津雄春さんのレシピを大公開。プヂンとの出会いは?ブラジル人にとってのプヂンとは?気になる疑問も聞いてみました。
プヂンを作るとき、ブラジルでは「エンゼル型」という中央に穴が空いているものを使います。日本ではなかなか手に入りにくいので、今回のレシピはスクエア型やバット型でも作れるレシピを中津さんに教えていただきました。
2層になったプヂンケーキのレシピですが、スポンジ部分を省けばシンプルなプヂンになります。お好みに合わせて作ってみてください。
こちらがエンゼル型。ブラジル食品・ペルー食品を中心とした南米輸入食品「キョウダイマーケット」で購入可能。
卵…4個
コンデンスミルク…1缶(385g)
牛乳…660ml(缶1杯+8分目)
バニラエッセンス…適量
1.ボウルの上にザルをセットし、卵をザルに割り入れ、ゴムべらでこす。
2.ボウルにコンデンスミルク、牛乳、バニラエッセンスを加え、ハンドミキサーで混ぜ合わせる。
3.ボウルにラップをし、冷蔵庫で数時間(表面の気泡が消えるまで)寝かせる。
缶のコンデンスミルク。パッケージにもプヂンのイラストが。「キョウダイマーケット」やAmazonなどネット通販で購入可能。
三温糖…130g
水…60ml
1. 三温糖を鍋に入れ、弱火にかけ、木べらでかき混ぜる。液状に変わったら沸騰直前に水をすべて入れる。※熱湯のはねや蒸気に気をつけて作業すること
2. 中火でさらにかき混ぜ、好みの色づきや苦みに調整し、熱いうちにプリン型へ流し込む。
市販のスポンジケーキミックス…1袋
牛乳…スポンジケーキミックス指定の分量
卵…3個
ココアパウダー…20g
1.材料全てをボウルに入れて、生地がもったりするまでハンドミキサーで混ぜる。
1.プリン型へは、①カラメルソース→②スポンジ生地→③プヂン液の順番で流し込む(スポンジ生地がない場合はカラメルソース→プヂン液)。プヂン液は型に流す前に漉す。
2.オーブン皿に水を張り、予熱した160度のオーブンで45分焼き、粗熱を取り冷蔵庫で4〜5時間冷やす。
3.食べる直前に、型にナイフを入れてプヂンが外れやすいようにしてから、カラメルソースの面が上にくるようにお皿にひっくり返して取り出す。
――中津さんがプヂンに初めて出会ったのはいつなんでしょうか?
私がプヂンに出会ったのは、1998年9月。千駄ヶ谷にあった「サバス東京」というお店で、四角い形をしたプルーンがのったプヂンを食べたのが最初です。固めに作られていて練乳が濃厚、カラメルはびっくりするほど甘いプヂンに衝撃を受けました。もともとプリン好きだったのですが、プヂンは今まで知っていたプリンとは全然違って、すっかり魅了されました。
――プヂンを食べたときに衝撃を受けられたことをきっかけに、プヂン作りをはじめられたのでしょうか。
私がプヂンを作りはじめたのは、約15年前にサバス東京が閉店してしまったことがきっかけです。プヂンが大好きになっていたので、いつも食べていたお店がなくなってしまうなら自分で作るしかないと思ったんです。
――ゼロの状態から、舌を頼りに試作されたのですか?
最初は、分量もわからない状態でスタートしたので試行錯誤でした。当時SNSでブラジルが好きな人とつながりが出来たり、職場にブラジル人の方が何人かいたので、作り方を聞いたり、作ったものを試食してもらったりしながら今のレシピを完成させました。職場のみなさんに、「おいしい」と言ってもらえたことで自信が持てたレシピです。
中津さんが職場の方からもらったプヂンのレシピ。
――プヂンをネットで調べてみると、ココアスポンジ敷かれていて、2層になっているものが多いですよね。プヂンはいろいろなバリエーションがあるのでしょうか?
はい。私が作るプヂンのアレンジだけでも、スポンジを重ねた2層のプヂンケーキ、フランスのパンを入れたプヂンなどがあります。また、味の種類もレモン味、ココナッツミルク味、さとうきびのお酒のカシャッサ味、ハロウィンではかぼちゃを入れたオリジナルのプヂンとさまざまなバリエーションがあります。ブラジルでは家庭ごとに受け継がれるレシピがあるので、ブラジル人の友人に小さい頃にお家で食べたプヂンの話を聞いていると、本当に無限のレシピがあるように感じます。
2層のプヂンケーキは、清澄白河・TOKAKU珈琲+、東池袋・kakululu、仙台東松島・ル・ニ・リロンデール、大阪吹田・colina coffeeなどカフェに直接レシピを提供しています。
――2層のプヂンケーキは中津さんのオリジナルなのですか?
スポンジで2層になっているプヂンは、当時の職場で一緒に働いていた日系ブラジル人の方から「2層のプヂンもあるんだよ」と紹介していただきレシピをもらってブラジルの料理番組をYouTubeで見て作り始めたものです。
「プヂン」と検索すると、私が作った2層のプヂンケーキが出てくるので、日本では「プヂン=2層のケーキ」というイメージになっている方が多いようですね。
ブラジルで一般的な、シンプルなプヂン。
――そうなんですね!プヂンをおいしく作る上で、一番大切なポイントを教えてください。
型に流し入れる前に、卵液をしっかり濾して不純物を取り除いています。また、材料を混ぜたプヂン液はすぐ焼かずに、時間を置くようにしています。朝にプヂン液を仕込んで、冷蔵庫で寝かせておいて夜に焼くことが多いですね。
――ブラジル人にとって、プヂンはどれくらいポピュラーなものなんでしょう。
ブラジルではとても人気のあるスイーツですよ。主にパン屋さんで販売されているようです。最近では一人用の小さな型に入ったものも売られているそうですが、基本的には大きな型で作るので、パーティーやお土産などに喜ばれるそうです。
――日本のプリンは、とろける食感や固め食感のものや、焼きプリンにバタープリンなど、様々な商品が市販で売られています。ブラジルではどうなんでしょうか。
ブラジルでは、アレンジされたプヂンが販売されることはほぼないとのことです。市販されているプヂンは、シンプルなままで売られているようですが、レシピ検索をするとさまざまなアレンジが出てくるので、自宅で作るときにアレンジを加えている人はいるようですね。
中津さんがクリスマス用にアレンジしたプヂンケーキ。
――いろんなバリエーションがある中で、特に中津さんがおいしい!と思う配合や形のプヂンはどんなものですか?
私が一番おいしいと思うのは、エンゼル型で作ったシンプルなブラジルプヂンです。コンデンスミルク缶に1杯と8分目の牛乳を入れて作っているのですが、より固めが好きな方は牛乳の量を減らすと良いですよ。
ぜひ、たくさんの人にプヂンの魅力を知ってもらえたら嬉しいです。
(TEXT:山田かほり)
東京・青山 表参道にある複合文化施設「スパイラル」で、2023年4月14日(金)-23(日)の期間、ショウケース(スパイラル 1F)にてジュエリーブランド・murderpollenのPOP UP MARKETを開催。
スパイラルカフェでは、murderpollenのデザイナー・山本亜由美さんの愛してやまない、今話題のデザート“ブラジルプヂン”をコラボレーションメニューとして提供します。監修には、ブラジルプヂン研究家・中津雄春さんが参加し、山本亜由美さん、スパイラルカフェのシェフの想いのこもった大人のプヂンケーキに仕上げました。
>>詳しくはこちら
日本でただ一人のブラジルプリン(プヂン)研究家。都心のブラジルレストランにてブラジルプリンに出会い、その濃厚なプリンに衝撃を受け、自ら作るようになる。彼が作るプリンの評判が友人の口コミやfacebook投稿で広がり、ついにはブラジルカルチャーを広めるグループKIMOBIG Brasilが開催するポルトガル語サロンのアニバーサリーパーティ用デザートに採用される。ブラジル滞在経験がある関係者や講師であるブラジル人達もプリンを大絶賛し、その日を境に各方面からワークショップやレシピ提供のオファーが殺到。日本在住のブラジル人たちも彼の作るプリンが大好物であり「お母さんのプリンの次にうまい」と口をそろえるほど。