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サードウェーブコーヒーの流れが味噌汁に?ハンドドリップで味わう「ミソスープ」に注目!

ハンドドリップのミソスープスタンドが話題!

汁物の役割として、日々の食事に欠かせない味噌汁。日本人であれば誰もが幼い頃から口にしている、馴染み深い一品ですよね。そんな身近な味噌汁ですが、最近、まるでコーヒーのように味噌汁を出していくスープスタンドが存在することを知っていますか?

その名もハンドドリップミソスープスタンド、LOVE ME AND MISO SOUP.!ドリッパーを使って、1杯ずつ丁寧にミソスープをハンドドリップしていく様子は、味噌汁のイメージを一変するような新鮮な光景です。
シングルオリジンやソイオレなど、普段の味噌汁とは違う名前が並ぶメニューを眺め注文すれば、味ももちろん新鮮!いわゆる味噌汁というよりも、ほんのり塩味が聞いたスープドリンクのような味わいに、味噌汁の新たな一面を知ることができます。

コーヒーと味噌汁が結びついた理由とは?

このスープスタンドを手がけているのは、ミソクリエイティブユニット「大晦日」。実はLOVE ME AND MISO SOUP.は、”コーヒーカップの中身を別のものに変える”という着想から始まったプロジェクトだそう。現在は東京を拠点に自主企画のイベントを含め、フードやアート、ファッションなどのイベントや、フェス、ライブハウスなど各地でハンドドリップミソスープを提供しています。
今回はそんな「大晦日」の方々に、このプロジェクトの活動やハンドドリップならではのミソスープの良さについて、お聞きしました。

—— ”コーヒーカップの中身を別のものに変える”という発想からなぜ味噌汁にたどり着いたんですか?

「日本人にとってコーヒーより身近な"母の味"とは?というところから味噌汁に着眼したのが発端ですね。それから2年ほど経って、若者を中心にサードウェーブと呼ばれるコーヒーブームが始まり、このコーヒーブームの特徴である、"本物志向"的な流れに興味を持つようになって。サードウェーブ系のコーヒーは豆の産地や原材料にこだわっていますが、味噌汁も同じようにこだわった見せ方・提供の仕方ができるのではないかと思いました。コーヒーはファッションとして楽しまれる部分も多いので、味噌汁もコーヒーの淹れ方やスタイル、メニューを踏襲することで、その存在自体が美味しく楽しいものであると認識してもらえたらいいいなと思ってやっています。実際にコーヒーと間違えて頼みにくる人もいますよ(笑)。でもそこから新しい味噌汁、ミソスープに興味を持ってもらえて、ミソスープが好きになる。そういう光景も多いですね」

—— メニューはどのように展開しているんですか?

「すべて具を一切入れずに提供しています。味噌と出汁、本来の味を楽しんでもらえる飲みものとしてミソスープを提供していきたいので。具は雑味くらいの勢いですね(笑)。その代わりに、SINGLE ORIGIN(シングルオリジン)では好きな味噌を選べたり、BLEND(ブレンド)では好きな味噌2種のブレンドを選べます。豆乳で割ったSOY AULAIT(ソイオレ)やICED(アイスミソスープ)なども用意していますよ」

—— 好きな味噌が選べるというのは、本当にコーヒーのようですね。味噌はどのようにセレクトしているのですか?

「私たちは味噌の専門家ではないので専門的な知識というよりは、単純に口にした印象や、それぞれの味噌をどのようなシチュエーションで飲んでほしいかを基準にしていますね。なので地域や季節、イベント内容、時間帯によっても提供する味噌の種類を変えています。あくまで私たちが作った基準ですが、色味、香り、風味、旨味、塩味、酸味、甘味、渋味、コク、余韻という10個のポイントもあります。」

—— 10個もポイントがあると、コーヒー豆のように味噌にも特徴があることがわかります。仕入れは、どのようなところから?

「全国の味噌蔵から直接仕入れています。無添加であり、誰が、いつ、どこで作ったかがわかることが必須ですね。製法が独特であったり逸話があるような味噌は、一通り仕入れて定期的に試食しています。あとは出汁にもこだわりがあって。利尻島の天然昆布の一番出汁と、鹿児島の鰹節をドリップしながら合わせ出汁を作っているので、旨みが凝縮されて香りが豊かな出汁になるんですよ!」

—— ハンドドリップをしている様子を見ていると、出汁のいい香りが目の前に広がっていきます。

「そうなんです。味噌汁はお鍋でぐつぐつ煮立ててしまうと、出汁の香りが飛んでしまったり、味噌の中にある麹の栄養や効果がなくなってしまいますよね。そこで、ドリップして一杯ずつ出汁をとることで、香りをカップに凝縮することができました。こうやって淹れることで、味噌の味も栄養もベストな状態で楽しめるんですよ。味噌によっては麹のつぶつぶも余すことなく食べられるので、普段だったらお鍋の底へ沈んでしまいがちな栄養の塊をすべて摂取できるんです」

—— 1杯の量で、香りも栄養も満点!自宅でもこうやって飲めたら、嬉しいですね。

「自宅でも簡単にできるんです!ドリッパーに出汁を用意して、下のカップへ一杯分の味噌を入れて、あとはドリップするだけ。一杯分だけ作れるので、一人暮らしの方にもオススメです。寒い冬の日は一杯飲むだけで体が芯から温まりますし、夏こそ塩分と温かいものが体に必要。熱中症対策や健康維持にも効果があるんです。もちろん二日酔いの朝にも!軽く一杯飲むだけで体が全然違うので、ぜひ日常生活で試してみてほしいです」

ハンドドリップをして淹れるミソスープ。それは見た目のおもしろさだけでなく、ミソスープ本来の楽しみ方や栄養を得られる、メリット満点な飲み方でした。
LOVE ME AND MISO SOUP.は、次回は8〜10月に行われるあいちトリエンナーレにパフォーマンスとして出展する予定。彼らのミソスープスタンドに出会ったら、特に飲んでみてほしいのは、ICED SOY AULAIT(アイス ソイオ・レ ミソスープ)!氷の入った冷たいソイオレは、豆乳のまろやかさと麹たっぷりのやさしい甘味を備えた、冷製スープ。ぜひ一度彼らのミソスープを飲んで、自宅でもハンドドリップミソスープを試してみてはいかがでしょうか?

取材協力:ミソクリエイティブユニット「大晦日」
執筆:yomyon

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