健やかに美しく人生を過ごすには、女性の体には欠かせない栄養素があります。飽食の時代とはいえ、不足している栄養素が意外と多いのも事実。「女性の人生に必要な栄養素」連載第3回は「カルシウム」です。
カルシウムが大切なのは、成長期の子供だけのような気がしませんか?もしくは、最近注目を集めている骨粗しょう症は高齢期だけの問題と思っていませんか? 実は骨がもろくなる骨粗しょう症の80%以上は女性。その数は60代女性で2人に1人、70代女性では10人に7人といわれています。この骨粗しょう症を防ぐためには30〜40代でいかにカルシウムを摂取し、体に蓄えることができるかが重要なのです。
食べ物から摂ったカルシウムは小腸から吸収されて血液に入り、神経伝達や筋肉の運動機能に関与します。血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれていて残った分は骨や歯に蓄えられます。蓄えられたカルシウムは、丈夫な骨や歯を作る役割をしています。血液のカルシウム濃度が低下すると、蓄えられたカルシウムが血液中に送られる仕組みになっています。つまり骨や歯はカルシウムの貯蔵庫となっているのです。
先に骨はカルシウムの貯蔵庫であると述べましたが、この骨に貯蔵されるカルシウム量(=カルシウム貯金)は女性の場合、骨格が出来上がる思春期まで増え続け、この値を40代半ばまで維持。そして40代半ばを過ぎると、徐々に減り始めます。それに関与しているのが卵胞ホルモン(エストロゲン)。じつは、卵胞ホルモンは食事で摂ったカルシウムの体への吸収を促したり、骨からカルシウムが溶け出すのを防止する役割も果たしています。この卵胞ホルモンの分泌が盛んな20代〜40代にはカルシウム貯金は蓄えられやすいのですが、卵胞ホルモンの分泌量の減少と比例して40代半ば以降には徐々に減り始め、閉経後急激に減少してしまいます。
カルシウム貯金が減少すると骨はもろくなり、ちょっとした衝撃で骨が折れたり、変形、時に痛みを伴うこともある骨粗しょう症になりやすい状態に。 40代半ば以降カルシウム貯金が減ってしまうのは、女性の体に女性ホルモンが関与している以上仕方のないこと。でも、カルシウム貯金をなるべく多く貯めておくことで、ある程度の蓄えを保つことができます。ですから30〜40代にも、閉経後を見据えてカルシウムをしっかり摂取し、カルシウム貯金を蓄えることが非常に重要なのです。
カルシウムと言えば、牛乳や小魚を思い浮かべると思いますが、カルシウムを含む食材は身の回りに多くあり、毎日こまめに補給することが重要です。また骨を丈夫にするには食事の他にも日光にあたってカルシウムの吸収を良くするビタミンDを作る、運動によって骨に適度な負担をかけることも大切。天気のいい日は外に出て散歩をするだけでも十分効果があります。
【乳製品】
牛乳、ヨーグルト、チーズなど
【豆、豆製品】
大豆、豆腐、高野豆腐、おから、納豆、きなこなど
【種実類】
ごま、アーモンド、くるみなど
【魚介類】
しらす、じゃこ、桜えび、いわし、ししゃも、あさり、しじみなど
【海草類】
ひじき、こんぶ、わかめ、のりなど
【野菜類】
青梗菜、水菜、ほうれん草、小松菜、春菊、大根やかぶの葉など
美味しいご飯のお供でカルシウム補給。ご飯にかけるだけではなく、チャーハンにおにぎりにと大活躍。冷蔵庫で1週間ほど日持ちするので、常備しておけばカルシウム不足の心配なし。
コップ一杯分の牛乳に、ほうれん草、チーズにもカルシウムが含まれているのでこの一皿で1日のカルシウム必要量の約半分を摂ることができます。
おから&ヨーグルトでカルシウム補給。季節の果物やドライフルーツ、ナッツなど加えアレンジも。冷凍可能なので、一食分ずつカットして冷凍しておけば気軽にカルシウム補給。
牛乳、きな粉で時間のない朝や、小腹がすいた時に。美味しくて簡単だからこれなら無理なく続けられますね。
カルシウム貯金をしなければならない大事な時期に、食べないダイエットや偏った食生活をしていると、十分なカルシウム貯金ができず、減り始める年齢になった時にカルシウム貯金が底をついてしまうことに。そうならないためにも、今からぜひカルシウム貯金をはじめてくださいね。