肉、魚、卵、乳製品、みりん、酒、だしを一切使わない野菜料理「ゆるベジ」で人気の料理研究家、“あな吉”さんこと浅倉ユキさん。前編では、ゆるベジを始めたきっかけと、基本のレシピを紹介しました。後編では、野菜の味をそのまま楽しめるおかず3品と、野菜をおいしく味わうコツを教えていただきました。
「例えばなんですが、カブが1個あったら、どう食べますか?」
——浅漬け…とかでしょうか。
編集部員が答えると、浅倉さんはおもむろにカブを切ってそれぞれ3つの小皿に分け、「オリーブオイル・レモン汁・胡椒・パセリ」、「しょうが・お酢・しょうゆ」、「にんにくのすり下ろし・ごま油・白胡椒」と味付けをして出してくれました。 それぞれ食べてみると…おいしい!特別なことをしたわけでもないのに、各々違ったカブの甘みやうまみがじんわり伝わってきます。
「出汁や甘味料を使うと、味が単調になってみんな同じ味になり、素材の味が死んでしまうんですよ。だからゆるベジではその2つは極力使っていません。めんつゆとか焼肉のタレとかはその代表格ですね。いつも味が同じになっちゃう!と悩む方が多いですが、そういう方はご自身が使ってらっしゃる調味料を見直すのもいいかもしれません」
——味付けはシンプルなのに、すごくおいしいです!
「難しいことをしなくても、野菜は美味しく食べられるんですよ!」
浅倉さんの料理はまるで魔法のように出来上がっていきます。フライパンにサラダ油を引き、玉ねぎを焼いて醤油を垂らして、胡椒をたっぷり。同時進行でその横のスペースではキャベツを焼いていきます。玉ねぎが焼けたら引き上げて、油揚げを投入してサッとキャベツと炒める——玉ねぎのソテー&キャベツと油揚げの炒めもの、あっという間に副菜が2品完成!
——この記事を見てゆるベジを始めようと思った方が、心がけるべきことを教えてください。
「“絶対野菜を食べなきゃ!”って強迫観念から逃れることです。私はベジタリアンではないので、外食では縛りなく、お肉など食べたいものを食べています。その分、外食で摂れていないものを家食で補う、という考え方をしています。すべてを野菜にする必要は全くないんですよ。無理せず、家族の好みにも歩み寄りながら、短期間でなく長期的に続けていってほしいです」
「最近は『子どもがごはんを全部食べてくれない!』という悩みを相談されることも多いです。子どもの好きなものを作る、というのも一つの方法かもしれませんが、お母さんの手料理が食べられるだけでも感謝すべきこと。残さないように、と教育することも大切だと思います。家族や家計を思って日々作っているんですから、お母さんたちにはもっと自信を持ってほしいし、料理を好きになってほしいです。ゆるベジはそんなライフスタイルの提案なんです」
ゆるベジ料理研究家。肉、魚、卵、乳製品、みりん、酒、だしを一切使わないベジタブル料理教室「another~kitchen」を主宰。通称“あな吉”さん。著書多数。口コミで「野菜だけなのに甘い!お肉大好きの夫や子供も納得の味!ボリューム満点!すごく簡単!」と人気が広がる。出張料理教室で全国を回り、助産院や保育園での講演、医療機従事者専門のセミナー講師も務める。
公式HP「ゆるベジ」