食事はすべて自己管理!プロゴルファー・横峯さくらが「週2回の自炊宣言」をした理由

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2015年からアメリカツアーへ本格参戦しているプロゴルファー・横峯さくらさん。日本とは違う環境下で、食への意識も大きく変わったそう。トップアスリートでありながら、あくまでも自然体で食や仕事、人生と向き合うさくらさんにお話を伺いました。

厳密な食事管理を卒業

「今年から週2回、自分で料理をすることにしたんですよ、私」

2015年からアメリカ女子ツアーへ本格参戦している、プロゴルファーの横峯さくらさん。アメリカに拠点を移し、生活環境が大きく変化したタイミングで、“食”への意識もガラリと変わった。これまでほぼする機会がなかった「料理」にトライすることにしたのも、その一つだ。

日本を主戦場としていた期間は、主食は玄米、肉や油ものは食べないなど、専属の管理栄養士のアドバイスに従って、厳密に食事管理をしてきた。しかし、渡米後はすべて自己管理へとシフト。日本での食事管理を思い出しながら食べるものを選択していたら、気付けば野菜しか摂れなくなっていたという。

「アメリカはジャンクフードだらけですから、あれもダメ、これもダメ、と言っていたら、食べられるものが全然なくて(笑)。あっという間に体重が5kgくらい落ちてしまったんですよ。当然、ゴルフのパフォーマンスにもマイナスの影響が出ました。パワーが落ちて、踏ん張りがきかなくなったり、身体の使い方の感覚が狂ってしまったんです」

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パフォーマンスを上げるための節制が、かえって裏目に出た。このままではいけないと危機感を覚えたさくらさん。「制約を設けず、そこにあるものを食べよう」と、とにかくカロリーを摂取し、体重を落とさないよう努めたのだそう。

「以前は、絶対に手を出さなかったジャンクフードも食べるようにして、体重を戻していきました。きちんとトレーニングをしながら食べれば、全く問題ありませんでした。特にツアー中は毎日18ホールを回って約6kmも歩きますから、痩せやすいんです。スタミナ維持のために、体重をキープすることが何よりも大事。だから今は、わりと自由に食べたいものを食べています」

とはいえ、日本よりもアメリカは、食の選択肢が少ない。食べたいもの、好きなものが外食では手に入らないこともある。そこで冒頭の「週2回の自炊宣言」が出たわけだ。

“ストレス”が“幸せ”に変化した

さくらさんを公私ともに支えてくれているパートナーが、夫の森川陽太郎さんだ。ツアー中はもちろん外食だけではなく、森川さんが食事を用意することも多い。和食がメインだが、さくらさんの好物のパスタやカレー、麻婆豆腐なども作ってくれるという。

「食べたいものが食べられないのはストレスになるので、外食で食べられない時は夫が作ってくれるんです。それを見ていて、私も作ろうかなと。単に好きなものが食べられるだけじゃなくて、料理すること自体がリフレッシュになると気付いたのも新しい発見でした」

昨年までは、スイングに悩んでいて、試合に入っても終わっても常に頭から離れずにいたというさくらさん。トレーニングに割く時間も、ましてや料理をする時間も、とてもじゃないがいっぱいいっぱいで持てずにいたという。それが今年に入って、スイングの不安も解消。同時に心に余裕が生まれた。

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「単純に、料理をすることは私にとって新たな試みなので、そのチャレンジ自体を楽しむ気持ちもあります。アメリカツアー参戦の後押しをしてくれたのも夫ですが、彼からはこうした新たなチャレンジのきっかけを多くもらっていますね。自分の価値観も大きく変わりました。かつては自分にとって“ストレス”だったものが、実は“幸せ”につながっていると気付かされたり。食事も、ゴルフでさえも、以前の私にとっては“ストレス”だったんですよ。でも今は180度違います」

食事は、パフォーマンス向上のために厳しく管理するものから、食べたいものを食べ、一緒に食卓を囲む人との会話を楽しむものへ。そして心満たされる食事が、身体も整えてくれることを身をもって実感した。

ゴルフは、プライベートとは断絶された仕事であり、成績をどこまで伸ばせるかという自分との孤独な戦いだった。しかし今は、自分が良い成績を残すことで喜んでくれるファンが1人でもいてくれたら、ゴルフ界の後進たちへ良い影響が与えられたら、と自分自身ではなく周囲の人たちへ思いを馳せながらプレーをしている。

「自分だけを見つめていたら“ストレス”だったものが、自分を支えてくれているさまざまな人たちとの関わりに目を向けると、そこにはたくさんの“幸せ”がありました。ゴルフは確かにお仕事ではありますが、私の人生の大事な構成要素の一つ。プライベートと切り離せない、地続きのものです。今の私は、ゴルフをすることにも大きな幸せを感じています」

マジメな話ほど、食事をしながら

森川さんの存在はさくらさんにとって大きな支えではあるが、「ケンカもよくしますよ!」とさくらさんは笑う。ツアー中のさくらさんのキャディも務める森川さんとは、ゴルフに関して意見交換することも多い。

「ある日、夫に『さくらは試合中に絶対に人のことホメないよね。一緒に仕事してても楽しくない!』って言われたことがあったんです。良いプレーの時は全部自分の手柄にして、悪いプレーの時は人のせいにするって。そういえば夫はちょっとしたことでも『いいね!ナイス!』といつもホメてくれてたな、と。自分が試合中に人のことを全然ホメてないなんて全く自覚なかったんですけど最低ですよね(笑)」

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朗らかに笑いながら話すさくらさん。普通はかなりシリアスなケンカになりそうなものだが……。

「いや、そうでもないです(笑)。こういう話、いつも我が家ではごはんを食べながらするんですよね。仕事の相談とかマジメなテーマの時ほど、食事しながらだと程よい距離感で話せる気がします」

結局、このケンカの後、次の日の試合で『それならまずは何でもホメてみよう!』と切り替えたさくらさんはいつもより調子が上がった。もともと試合に入る前は緊張がひどく、普段通りの力が出せない時が多いそうだが、この日は「人を褒める」ことに気を配ったおかげで逆に緊張がほぐれ、試合中の周囲とのコミュニケーションもスムーズになり、良いことずくめだったのだとか。

「最近、食事って“幸せ”に直結しているなと再認識しています。自分が好きな食べ物を食べる時に感じる幸福感はもちろん、自分のために作ってくれた料理を食べることで得られる安心感や、一緒に同じ料理を食べながら話すことで生まれるコミュニケーション。これらはすべて、幸せに生きていくために必要不可欠ですよね。今年は、週2回の自炊で料理のスキルも上げて、仕事も生活も幸せでつながれる範囲をどんどん広げていきたいなと思います」

“幸せ”を大事に生きていきたい、と目を輝かせて語るさくらさん。良い意味で肩の力が抜けた今、プロゴルファーとしても、一人の人間としても、さらなる飛躍が期待できる1年となりそうだ。

(TEXT:福井千尋)


横峯さくらさん

512d054b484f7988545b8dafeb315b5f 1985年、鹿児島県鹿屋市生まれ。8歳よりクラブを握る。小学4年生で出場した「全国小学生大会」で優勝、中学2年生で「日本ジュニア選手権」制覇。明徳義塾高校2年で日本ジュニアゴルフ選手権優勝、翌年の全国高校選手権で春夏連覇しジュニア主要大会3連勝を果たす。2004年8月プロテスト合格、史上最速となるわずか3試合でシード権獲得。翌年の「ライフカードレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。2009年にはメジャー1勝を含む自身最多となる年間6勝を挙げ、賞金女王の座を獲得。2013年は連続予選通過記録101試合達成。LPGAメルセデス年間優秀選手賞を獲得する。日本ツアー通算23勝。2015年から米LPGAツアーを主戦場とする。アメリカツアーでの主な成績は全米女子オープン7位タイ、Lorena Ochoa Invitational presented by Banamex and JTBC 5位、Shoprite Classic 2位。2018年にShoprite Classic最終日に記録した10アンダーはアメリカツアーでの日本人最小スコア。2019年はシード権を獲得し、アメリカツアーにフル参戦が決定している。
横峯さくらインスタグラム
横峯さくらウェブマガジン(2019年3月8日オープン予定)

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