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手間暇かけず、からだにやさしい――スタイリスト・伊藤まさこさんのシンプル副菜レシピ

クックパッドニュース編集部

日本No.1レシピサイト「クックパッド」編集部

暮らしや料理に関するスタイリストとして活躍する伊藤まさこさんの新刊『そろそろ、からだにいいことを考えてみよう』(朝日新聞出版)は、女性が年齢を重ねるとともに感じるからだの変化や不調との付き合い方を考える一冊。中でも、本書のメインテーマとなっているのが「自分のからだをつくる食」について。そこで、伊藤さんならではの料理の楽しみ方についてお話を伺いました。

味付けは、日によって自分好みに変えていい

「自分のからだは食べるものでできている。そう思うと、おいしく、見た目にも美しいものを食べたいと思うんです。ただし、毎回頑張って手間暇かける必要はないって思ってるんですよ」

そう語るのは、何気ない日常に楽しみを見つけ出すセンスと、地に足のついたていねいな生活で多くの人を魅了している、スタイリストの伊藤まさこさん。いかにも手の込んだ、繊細な料理を作っていそうなイメージだが、本人は笑って否定する。

「外食すれば、いろんな複雑な味を楽しめるじゃないですか。だから、家ではシンプルな味付けの料理しか作りません。計量するのも面倒ですし、材料や調味料がたくさん必要な料理は、作る前からイヤになっちゃうタイプですね(笑)。

体調や気候、その日の気分などで、味の感じ方は違うと思うんです。しょっぱいものを欲する時は、少し濃いめの味付けにするし、薄味を楽しみたい時もある。だから、私の作る料理は、調味料の分量を厳密に決めていないんですよ」(伊藤さん)

その言葉の通り、2019年7月に発売された伊藤さんの新刊『そろそろ、からだにいいことを考えてみよう』(朝日新聞出版)には、伊藤さんが普段作っている野菜料理のレシピが37品も掲載されているが、いずれも材料・調味料の分量の記載がない。

それでも、シンプルな食材をシンプルな味付けで楽しむレシピたちは、どれも彩り鮮やかでおいしそう。しかも調理工程が2〜3ステップと、これまたシンプルな作り方のため、すぐにでも作ってみたくなる品ばかり。

「母が作る料理が、お肉ならお肉だけをがつんと焼いて、あとはグリーンサラダを山盛り、というようなシンプルな献立が多かったせいもあるのか、自分が作る料理も素材をたくさん使わないシンプルなものが多いんです。その素材を楽しみたいから、調味料は塩とオイルだけ、とか、極力控えて」(伊藤さん)

伊藤まさこさんオススメのレシピ3選

そんな伊藤さんが、著書で紹介しているレシピの中でも特にお気に入りの3品をピックアップ。シンプルなだけにアレンジしやすく、いろいろな楽しみ方ができるのもうれしい。

ひじきの和えもの

撮影:小原雄輝

1.ひじきは水で戻してさっと茹でる。おかひじきは適当な長さに、れんこんは3ミリ幅に切り、さっと茹でる。きゅうりは縦半分に切り、スプーンで種の部分をすくい取り、3ミリ幅に切る。ちくわ、焼き目をつけた油揚げも5ミリ幅に切る。
2.ボウルにしょうゆ、酢、ごま油を入れてよくまぜ、1と白ごまをたっぷり入れ、よく和える。

「さっと茹でたひじきは、煮たのとはまた違った食感で好き。また、しょうゆ、お酒を少し加えて一煮立ちさせたものに、さっと茹でたひじきを漬けて冷まし、汁を切ったものを、蒸したささみと茹でたれんこんと和え、柚子胡椒を加え、よく和えて食べるのもオススメです」(伊藤さん)

撮影:朝日新聞出版写真部 小山幸佑

下味を付けると、お酒によく合うおつまみにもなる。定番おかずのひじき煮もいいけれど、こんな小鉢でいただくのも新鮮だ。

にんじんサラダ

撮影:小原雄輝

1.にんじんはスライサーなどで千切りにする。
2.1に、酢とごま油、塩、しょうゆ少々とクコの実を入れ、よく和える。

「レーズン入りのキャロットラペをよく作るのですが、これはその中華版といったところ。私、クコの実が大好きで、普段からよく食べているんです。サラダに入れると、じんわり甘みが出てきておいしいんですよ」(伊藤さん)

揚げいんげんのおかか和え

撮影:小原雄輝

1.フライパンにオリーブオイルを熱し、いんげんをくたくたになるまで揚げる。
2.1におかかをまぜ、しょうゆをかける。

「作りたてもいいですが、味の染みた翌日もおいしいので、お弁当にもぴったりです。揚げいんげんは、ネギ油を作る要領で、みじん切りにした長ネギと干しエビをごま油で焦がさぬように加熱したものと和えて食べても」(伊藤さん)

自分の“心地良い”に敏感でいることが大事

1つのレシピを紹介するごとに、幾通りもの楽しみ方が次から次へと溢れ出てくる伊藤さん。それは、日によって変化する「自分が食べたい味」を、あるがままに受け止め、作り出してきた毎日があるからこそ。

「いつも気分よく過ごしたいな、そう思っています。誰だって、気分悪い状態より良い状態のほうがいいでしょう?(笑)

大事なのは、自分が感じる“心地良さ”に敏感でいること。例えば、『昨日はしょっぱいものが食べたくなってカップラーメン食べちゃった』『なんだか今日は野菜が食べたいなぁ』なんて時、なぜ無性に食べたくなったのか、自分のからだがそれを求めた理由に思いを馳せることは大切です。そこには何かしらの、からだの不調のサインが隠れているはず。それが理解できれば必要な対策もできますから。

若い頃は健康なのが当たり前と思って過ごしていましたが、最近は自分のからだの声に耳を傾けるようになりました。やっと、自分のからだと向き合う年齢になったんだなと思います」(伊藤さん)

毎日を気分良く過ごすために、自分の食べたいものを食べる。なぜなら、食こそが自分のからだと会話するための最高のツールとなるから。

伊藤さんのそんなシンプルなスタイルは、健康のために!と意気込んでストイックな生活を送るよりもずっと、“からだにいいこと”に満ち溢れている。

(TEXT:福井千尋)

伊藤まさこさんの新刊、好評発売中!

そろそろ、からだにいいことを考えてみよう』(朝日新聞出版

疲れがとれにくい、寝つきが悪い、火照ったり冷えたり……。女性なら誰でも、年齢を重ねると感じる不調。そんなからだの変化とどうつきあったらいいか、人気スタイリストの伊藤まさこさんと一緒に考える本です。

春夏秋冬の食材を使った、冷えや不眠、更年期症状にいい野菜のレシピも紹介。漢方の専門家との対談もあり、自分のからだについてよく知ることができます。女性の悩みをやさしく解消する一冊です。

伊藤まさこ(いとう・まさこ)

撮影:朝日新聞出版写真部 小山幸佑
1970年、神奈川県横浜市生まれ。暮らしや料理に関するスタイリストとして女性誌や料理本で活躍。主な著書に『伊藤まさこの 器選び』『美術館へ行こう ときどきおやつ』『おいしい時間をあの人へ』など多数。

執筆者情報

クックパッドニュース編集部

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