これさえあれば白ごはんが何杯でもいける!というような絶品ごはんのおともに出会ったら、ごはんライフが楽しくなること間違いなし。ただし、ごはんのおともは「おかず」ではなく、あくまでも“ごはんの味”を美味しく引き立ててくれる存在。主役は白ごはんです。だからこそ、そのレシピはシンプルに。日常の白ごはん量がぐんとアップするようなごはんのおともを、お米ライター柏木智帆がお届けします。
「昆布のおむすび」が好きなのですが、市販の昆布のおむすびは私には甘すぎることが多く、いつも昆布を避けていました。一方で、料理をしていて出汁をとった後の昆布をそのまま捨てるのはしのびないなぁといつも感じていました。
ならば、昆布の佃煮を自分で作ればいいと分かっていたのですが、なかなか重い腰が上がらず……。
そんなとき、飲食店を開いている友人が大根を細く切って刺身のツマを作っていることを知って刺激を受け、がんばって昆布を切ってみようと一念発起。やってみると意外に簡単なのでした。
先日、大先輩が「目は臆病、手は鬼」という言葉を教えてくれました。三陸地方に伝わる格言で、目で見て怖じけても手を動かせばすんなりとできるということだそうです。
出し殻昆布を相手に大げさかもしれませんが、料理においても「大変そうだなぁ、面倒だなぁ」と思いながらも、実際にやってみると大した手間ではなかったということが何度もあります。
昆布は細く切っても小さな正方形に切ってもどちらでも良いですが、細切り生姜を加える場合は、細切り昆布のほうがなじみやすいと思います。
しかし、出し殻昆布は切り昆布などに比べて硬めなので、不器用な私が細切りをおむすびに入れると、おむすびから昆布がピョーンと出てしまうことが何度かありました。おむすびに入れる場合は小さな正方形がおすすめです。
炊飯器で炊いたごはんをそのまま保温し続けていると、ごはんのつやがなくなって食感がぱさついたり、米の表面が溶けたようになったり、ごはんが黄色く変色したり、保温臭がしたりと、劣化してしまいます。
保温の耐久時間は、実はお米の質によって違います。数時間経っても大きく劣化しないお米もあれば、たった20分ほどで食感が急激に悪くなるお米もあります。
新品種の中には劣化しにくいことを売りにしている品種もありますが、同じ品種であっても前述した通り米質をはじめ、炊飯時の浸水時間などによって劣化速度は変わりますので、「この品種ならば劣化しない」とは一概に言いきれません。
保温し続けたごはんを食べて、「おいしくないなぁ」と感じても、それはそのお米の本当の味ではないかもしれません。
お米本来の味を楽しむためには、やはり食事ごとにごはんを炊くのがベストですが、そうは言っても「一人暮らしで食べきれない」「炊飯が面倒」など、こまめに炊飯できない人がいるのも現実。
私が一人暮らししていた頃は、朝食で炊いて余ったごはんを塩むすびにして夕食で食べたり、逆に夕食で炊いて余ったごはんを塩むすびにして朝食で食べたり、あるいは朝炊いて余ったごはんを弁当にして昼食にしたりしていました。
しかし、「冷めたおむすびではなく温かいごはんが食べたい」という思いもわかります(「小分け冷凍して電子レンジ」は個人的に苦手なので言及を避けます)。
そこで、「どうしても保温したい。でも、おいしく食べたい!」という場合は、お米屋へ行って直接聞いてみていただくことをオススメします。五ツ星お米マイスターなど、お米のスペシャリストがいる店ならば、扱っているお米の中で比較的保温劣化しづらいお米を教えてくれると思いますので、ぜひお試しください。
お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。
【ブログ】柏木智帆のお米ときどきなんちゃら
【クックパッド】柏木智帆のキッチン