子どもに「食」の大切さを伝えたいと思いつつも、日々忙しくてなかなか教える機会がないという親御さんも多いのでは? そこで、子ども料理研究家・武田昌美さんが、子どもと楽しくトライできて心も育てられるレシピ、料理を通して子どもが得られる学びについて、わかりやすく解説! 気負わず、自然と生活の中に取り入れられる簡単料理で、とっておきの親子タイムをお過ごしください♪
すっかり秋めいてきました。子どもを自転車に乗せながら、抜けるような青空のもとの澄みきった空気が気持ち良く感じます。
子ども料理教室・リトルシェフクッキングの最近のレッスンで「今は、春夏秋冬? どーれだ?」と聞くと、秋でも「夏―!」と答える子どもが結構います。「暑い=夏」と考えているからでしょう。子どもは年中走り回って暑いですもんね。
そんな子にはドングリで季節を感じてもらいます。
「そう言えば、ドングリはもう見つけた?」と聞くと、すぐさま得意げに「公園でとったよ!」「いいね!じゃあ、もうドングリが秋を連れてきてくれたんじゃない?」と言うと、「そっか、今は秋だ!」と実感してくれます。
今回は、そんな秋を感じることができる果物「りんご」を使ったパイをご紹介します。このレシピは、冷凍パイシートを使用することで、見栄え華やかなパイを子どもと手軽に作ることが出来ます。雨で外遊びができない日などに、ぜひ挑戦してみてください。
私はリトルシェフクッキングにて、料理をツールにした学びEduCookingを提唱しています。子どもは料理が大好きなので、せっかくならそこで大人が「学びの種まき」をすれば、子どもは楽しみながら学べるはずです。
今回のりんごパイ作りでは、3つの学びの種まきができると考えます。
「りんご狩り」を実際に体験することはもちろん、それはちょっとハードルが高いな……という方は、「スーパーで好きなりんごを選んでもらう」だけでも十分です。「一番おいしそうなりんごをじっくり見てみて。これっ!と思ったものを手に取ってカゴに入れてね! チャンスは一回。さあ始めてごらん」と、声をかけたら真剣にベストなりんごを選んでくれるはずです。
そのまま食べてももちろんおいしいですが、子どもが思い入れを持って選んだ「りんご」を使ってパイを作るという“親子時間”も素敵ですね。
「りんごがおいしい季節はいつだろう?」「りんごの花って何色だと思う?」「何でりんごは赤や緑色なのに、お花は白いんだろうね?」こんな声かけもしながら、一緒に考えてみてください。
ここでのポイントは、正しい答えを事細かに説明するのではなく、一緒に想像力を膨らませながら、時には大人は固定観念の枠を取っ払って、子どもと一緒に「考える」ことが大切です。子どものイマジネーションの世界に一緒に飛び込んでみてください。
大人の当たり前が子どもにとっては、小さな学びになることも。一緒に作る際は、「初めのパイシートの形は四角。どうすれば三角のりんごパイになるかな?」「半分に折ってみると……三角になる!」のように「形」に注目した声かけをしながら作ってみてください。