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コラム

春に多いイライラの解消に「たまねぎ」が期待できるって知ってた?

【体にやさしい「いたわりごはん」 Vol.5】今日はなんだかちょっぴりしんどい……そんな日は、体にやさしいごはんでパワーチャージ! 身近な食材で手軽にできるプチ薬膳メソッドで、体の調子を整えましょう。

イライラ対策に「たまねぎ」がおすすめ

4月に入り、新生活のワクワク感と同時に緊張感のある日々を送っている人もいるのではないでしょうか?緊張が続くと呼吸も浅くなるように、体の中をめぐる気(エネルギー)も滞り、うまく巡らなくなります。気が滞るとイライラする、落ち込む、やる気が出ないなどの症状が出やすくなります

また、季節的にも春は暖かくなり活動量が増えるため、新陳代謝が活発になります。そうすると、有害物質の解毒や分解を担う「肝」への負担が高まります。「肝」とは肝臓の臓器としての働きだけでなく、漢方では気の巡りを管理し、精神的ストレスを受け止める働きも含めた概念のことです。そのため、「肝」に負担がかかると、気の巡りが乱れ、イライラの症状が出やすくなります

そんな症状を和らげてくれるのが、「たまねぎ」です。たまねぎには気を正常に巡らせ、胃の働きを高める効果があります。そのため、イライラの解消だけでなく、うつうつとした気持ちを緩和したり、イライラによる胃もたれや消化不良の解消も期待できますよ。

たまねぎの香り成分「硫化アリル」

たまねぎを切って涙が出てくる経験をしたことのある人もいるのではないでしょうか? その原因は辛味成分である「硫化アリル」。このネギ科の植物特有の香り成分には、さまざまな効能があることがわかっています。薬膳でたまねぎに気の巡りを整える働きがあるとされるのは、この硫化アリルの香りの薬効が関係していると考えられます。硫化アリルには、胃液の分泌を促し消化を促進するほか、血流を良くし体を温める働きもあります。

胃が弱い人は生で大量に摂取するのは控えて

硫化アリルは刺激の強い成分でもあります。胃が弱い人や胃の調子が悪い時には、生で大量に食べるのは控えましょう。腹痛や貧血の原因にもなります。加熱することで、硫化アリルは揮発するので、胃が弱い人は加熱して食べるようにするといいですよ。  

たまねぎを使ったイライラ対策レシピ3選

たまねぎなどの香味野菜は、香り成分が気の巡りを良くしてくれます。それに加えて、血を補う鉄やタンパク質が含まれた鮭、鶏肉、豚肉などを組み合わせるのがおすすめです。薬膳では、春には負担の高まった「肝」の働きを助けるために栄養を補うことが大切なので、補血作用のある食材を摂ることもイライラ対策につながります。

たまねぎと鮭を組み合わせてレンジ蒸しに。青じそドレッシングでさっぱりですが、バターをプラスすることでコクもあり満足感がアップします。鮭もお腹を温めて胃腸の機能を強化してくれます。

たまねぎ×鮭でレンジ蒸し

トマト煮込みは簡単なのに、手の混んだ料理に見えるので記念日にも。トマトにも「肝」の働きを助け解毒作用を高める働きがあるので相性が良いですよ。バジルなどのハーブ類を加えて、さらに気の巡りを良くしましょう。

たまねぎ×鶏肉×バジルでトマト煮込み

定番の生姜焼きも、たまねぎをたっぷりと加えて春にぴったりなイライラ対策メニューに。たまねぎはさっと炒めてシャキシャキ感を残すのが香り成分を効率的に摂取するポイントです。

たまねぎ×豚肉で生姜焼き

春は暖かくて過ごしやすい一方、体には負担がかかりイライラしやすい季節でもあります。滞りやすい気を巡らせる食材を摂って、のびやかに過ごしていきたいですね。今回紹介したレシピを参考に、ぜひお試しくださいね。

道川佳苗

漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。

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