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コラム

雑な人ほどおいしく作れる!?Twitterで話題の本場イギリスの味「スコーン」の謎に迫る!

【Twitterでバズったごはん Vol.10】市販品などを上手に使い、ササッと作れておいしいレシピが日々投稿されているTwitter。その中から、とくに話題を集めたレシピや便利な料理の知恵を、編集部がピックアップしてお届けします。

雑に作ってもおいしくなる「スコーン」レシピに注目!

Twitterでバズった料理に関するツイートに注目し、多くの人の心を鷲掴みにしたヒミツを解き明かしていく連載が始まりました。第10回目に注目したのは「スコーン」です。

今回はクックパッドに投稿されている「スコーン」のレシピを実際に作り、その手軽さとおいしさを伝えたところ、15万いいねがつくほど話題となったツイートです。さっそく人気スコーンのヒミツを探るべく、ツイート主のkiris_kirimuraさんにお話を伺ってみます!

近所のお姉さんが隣でやさしく教えてくれるようなレシピ

−−なぜ今回のクックパッドレシピのスコーンを作ろうと思ったのでしょうか?

kiris_kirimuraさん:私は短気で適当で強引な性格なので、「ふるわない・寝かさない・焼き時間が短い」タイプのお菓子作りが好きなんです…。今回作ったのはおそらく何十回目というレベルなので、最初に作った日のことを忘れてしまったのですが、このレシピに出会ってからずっと作り続けてきたんですよね。わかりにくいところがまったくなくて、レシピにちょこちょこ書いてある注意事項も、まるで近所のお姉さんが一緒に教えながら作ってくれているみたいで、本当に優しくて親切な書き方なので…。「これだけ優しかったらかなり雑&適当に作っても許してくれるんじゃないかな?」と勝手に信じて、思い切りよく、大雑把に作ってきましたが、なんと今まで一度も失敗したことがないんです。

本場イギリス産のスコーン

さまざまな方が「スコーン作り」に挑戦

kiris_kirimuraさん:今回も「そうだ、最近スコーンを食べてないし、またあのレシピのお姉さんに親切にしてもらおう!」みたいな気持ちで作りました。このレシピを書かれたデイジーパンジーさんは、実際にイギリスに在住していらっしゃって、本場イギリスの素敵なスコーンを伝授してくださったんだと思うんですけど、私のツイートによって、このスコーンを題材にした「適当&雑人間コンテスト」みたいになってしまい、本当に申し訳ないと思っています…。でも、私もみんなもスコーンが大好きなので、なんとか許していただけるとありがたいです…。

細かいことは気にせずに「雑」に作るのがポイント!

−−レシピから優しさが伝わってきたのですね。では、おいしく作るためのポイントや注意点を教えてください

kiris_kirimuraさん:材料を全部入れて、早々に混ぜるのをやめたら、だらしなく数回折りたたみ、型で抜いたら一切いじらず、天板に投げるぐらいの雑で大胆な感じで作っています。レシピの工程3には「※この時、生地をこねないで!柔らかくて大丈夫」と書いてあるんですけど、べちょっとしているのが気になるので、私はあらかじめ打ち粉を大量にひくようにしています。具体的にはカレー用スプーン大さじ山盛り4~5杯ぐらいです。型を抜くときも柔らかいなと感じるので、さらに生地の上からおそらく山盛り2~3杯ほど足してから折りたたんでいます。これが私がツイートに書いた「打ち粉ドバーして生地ダバーしてまだネバーしてたら追い打ち粉ドバー」の内訳です。

あまり触らずに「ほぼ放置」でOK!

あと、スコーンを焼いたときにできる「オオカミの口」のような仕上がりを成功させたいという人に限って、抜いたり切ったりしたあとに、生地の縁の形などが気になってしまい、つい触りがちなんです。でも、スコーンの形なんて、焼ければ全部それっぽくいい感じに見えるので、焼ける前の形状は一切無視して、抜いたあとはもう見ずに、天板にぺいっと放るぐらいでいいんです。私は実際に放ってます(笑)。ただ、レシピには、抜く時点での生地の厚さが“2㎝ぐらい”と書いてあるので、それを守った方が焼き上がりのスコーンの厚みが出ます。クッキーのように生地を延ばして、薄めに焼いてる方もいるっぽいんですけどね。

雑さが功を奏して「本場イギリス」の味に!

−−とにかく大胆に作ることがおいしく仕上がるポイントだなんて面白いです。では、実際にはどのような味わいでしょうか?

kiris_kirimuraさん:それはもう、デイジーパンジーさんがおっしゃっているような「外はサクッ中はしっとりふわふわ」と言えなくもないんですけど…。なんていうか、私の場合は雑アレンジで作りますし、粉が多いせいもあるのか、モスモスモサモサとしたいい感じのスコーンです…。でも、この“モスモス”が「逆に本場っぽい!」と、イギリス経験のある方からのコメントも多数いただいておりまして。きっと、仕上がりや好みには、いろんな流派があるのかもしれないな、と思いを馳せています。ちなみに私は海外に住んでいるので、日本の小麦粉を使えばもっとサクッ&しっとり&フワフワだと思いますし、実際に日本でスコーン作りにハマっている母が「食感もおいしく仕上がった」と言っていました。

−−今回のツイートでは15万件ものいいねがつきましたが、バズったことでどのような反応がございましたか?

雑な方たちによる「大雑把アレンジ」も大成功

kiris_kirimuraさん:“自称・雑”を主張される方ほど「成功しました!」と、実際に作られた写真を上げられていましたね。あとは「まだ作ってないけど自信がある」っていう方も複数いらっしゃって、ご自身の雑さには定評がおありのようでした。そもそも、今回のスコーンのツイートに「作りました!」というコメントがつくまでが全体的に早かったです、もしかすると“雑”であることが利点となって、サッと動き出すまでのフットワークが軽くなるのかもしれませんね。また、「天ぷら粉でいけますかね?」「天ぷら粉でやりました!」「私はホットケーキミックスで!」「ベーキングパウダーを入れ忘れました!」など、雑でありながらも多くの方がさまざまな方法で成功されていました。

誰でも気軽に取り掛かれるレシピ

今回のレシピは材料が少ないので手軽ですし、レシピ作者さんのデイジーパンジーさんがていねいに優しく説明してくださっているので、みなさんもやる気を削がれずに作れたのではないでしょうか…。私のような雑人間って、まず材料を揃えることから困難なので…。あとは「私の得意料理だったけどそういうことだったのか…(私が雑な人だからいつも成功していたのか…)」っていうコメントを見つけたときには「元気出して…!」って思いました。友人や知人からは、私が雑&適当な性格なことをよく知っているので「ああ、こういうラフな感じのお菓子は得意だよね」と、淡々としたコメントが届きました。

自分で作ったスコーンを「おいしい!」と喜べる幸せ

kiris_kirimuraさん:あと、リプライで寄せていただいた写真の中には、真面目な方だったら「失敗した…」って思いそうな仕上がりのスコーンでも、「上手く出来ました! おいしい!」という喜びのコメントと一緒に載せてくれたものもありました。私は「おいしいものってこんなふうに、ラフで楽しい感じでもいいんじゃないのかな」って思ったりしました。本人が成功したと思って、実際においしいんですもの…。こういう自分だけの幸せみたいなものって、もっと大事にされていいんじゃないのかなって。人から褒められることよりも、まずは自分で自分を認められる人を見ていると嬉しくなるタイプなので…。そのことをずっと誰かに伝えたいと思っていました。

2014年7月に投稿されたレシピが誰かに愛されて、また誰かに伝わっていき、数年経った今も多くの笑顔を輝かせているなんてステキですね。ツイート主のkiris_kirimuraさんのお話を伺っていると、いろいろな方が試行錯誤しながらも、焼き上がったスコーンをおいしく味わっている笑顔が浮かびました。今回バズったツイートや、イギリス在住のデイジーパンジーさんのスコーンレシピを覗いてみて、ぜひ本場の味わいに包まれてみましょう!

(TEXT:八幡啓司)

kiris_kirimuraさん
普段はお話を作ったり絵を描いたりして過ごしながら、その日の料理や日常のささやかなことをツイートしている。

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