【元気になれる食事術 Vol.4】毎日の食事に欠かせない「油」。その選び方、使い方で健康維持のために知っておくと役に立つ「食事術」をご紹介。不調知らずの毎日を過ごすために、油の使い方をマスターしてみませんか?
料理をする上で欠かせないのが「油」。現在は、健康志向ブームから様々な種類の油が販売されています。なんとなく体に良さそう! と選んだものでも、使い方を間違えるとかえって体に負担になることも。いくら体に良いとされる油でも、摂り方、量などを間違えてしまうとその効果を最大限に得られなくなってしまいます。そこで今回は、油の性質を知り、正しく取り入れるポイントをご紹介します。
脂質は糖質、たんぱく質と合わせて三大栄養素と呼ばれ、体の中でたくさんの働きを担ってくれています。
脂質は体を動かすエネルギー源になるだけではありません。脂質不足で細胞膜の質が悪くなると、外から侵入してくるウイルスをうまく防げず、免疫機能が下がることも。人体の中で脂質が多く存在するのは脳であり、神経細胞の発達にも関わっています。
また、ダイエットなどで極端に脂質の摂取量が減ってしまうと、ホルモンバランスが崩れて、女性の場合は生理が止まってしまうこともあります。そんな体にとって大切な脂質。たくさんの種類があるため、その性質に合わせて適切に摂取することが重要なのです。
脂質は、ベースになっている脂肪酸の種類によって、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大きく分けられます。その中でも、酸化しやすいものと、酸化しづらいものがあり、料理に合わせて油を使い分けることが健康維持にとても大切です。
これらの油はオメガ3系脂肪酸(αリノレン酸)を多く含み、とても酸化しやすく、サラダなどで加熱せずに摂取したい油です。中性脂肪を減らしたり、動脈硬化の改善など、血液をきれいにする作用があります。体内合成できないので不足しやすく、意識して積極的に摂取したい脂質です。まぐろ、ぶり、いわし、さばなど青魚にも含まれています。
オリーブオイルはオメガ9系脂肪酸(オレイン酸)を豊富に含み、比較的酸化しにくい油です。悪玉コレステロールを下げたり、便秘解消の効果もあると言われています。ココナッツオイルやバターは飽和脂肪酸で酸化に強く、加熱向きの油です。ただし、飽和脂肪酸は摂りすぎると動脈硬化の原因にもなるので注意が必要です。ココナッツオイルはバターなどの飽和脂肪酸とは少し違い、消化吸収のスピードが速く、すぐエネルギーになるので体に溜まりにくいと言われています。
一般的なこめ油、なたね油、ごま油は様々な脂肪酸がバランスよく含まれているので、加熱する場合は揚げ物などの高温調理をなるべく避け、低温でさっと炒める程度にすると良いです。
料理における油の使い分けをお伝えしてきましたが、どうせなら栄養価の高い油を摂取したいですよね。実は、油の品質は製造方法でほぼ決まり、同じ原材料でも油の状態が大きく変わるのです。
製造方法には、「低温圧搾法」と「溶剤抽出法」があり、低温圧搾された油は原料に含まれている脂質が変質しにくいと言われています。溶剤抽出法は、名前の通り溶剤を用いて高温加熱して抽出する方法で、原料に含まれる脂質が変質してしまう可能性が高いとされています。
また、未精製の油は香りや風味がよく、ビタミンやフィトケミカルなどの栄養素もしっかり残っています。ただし、脂質の性質が不安定なので保存性に欠ける点があります。精製されたものは栄養素が減少していたり、においを消すための高温処理がされていると、体に害となるトランス脂肪酸が生成されてしまうことも。
油は光、熱、酸素で酸化するので、なるべく遮光された瓶に入っているものがおすすめです。酸化しやすいアマニ油やえごま油は、小さい瓶に入っているものを冷蔵保管し、短期間で使うようにしましょう。オリーブオイル、こめ油、ごま油などは冷暗所の保管がおすすめです。
いかがでしたか? 脂質は生きていくうえで欠かせない栄養素のひとつ。脂肪酸の種類によって加熱に向き不向きがあり、使いわけることが大切です。不足しやすい脂質、過剰摂取を避けたい脂質を知り、上手に付き合っていけると、より健康維持に繋がります。
品質に大きく関わる製造方法は、商品ラベルに記載されていますので、ぜひチェックしながら購入してくださいね。
管理栄養士、食学士、野菜ソムリエ。 大手企業の社員食堂栄養士、有名クッキングスクールの講師、食学士としてセミナー講師などを経験。現在は自身の子育てをメインに、管理栄養士の資格を活かして、食事と健康・美容の大切な繋がりや、子どもへの食育の大切さを多くの方に知っていただけるよう活動中。