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コラム

オーブントースターの中で発火!急いで扉を開けて水をかけたら最悪の結果に…正しい対処法を解説

手軽な調理家電として普及している「オーブントースター」。この季節は、焼き芋やスイートポテトなどを作る際にオーブントースターを使用する人も多いのではないでしょうか。 料理からお菓子まで幅広く手軽に使えて大変便利ですが、誤使用や不注意による事故も発生しています。

クックパッドにも、オーブントースターの誤使用についての相談・ヒヤリハット報告が寄せられています。そこで今回は、オーブントースターを使う際の注意点を、製品事故の調査を行っている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の調査・実験をもとに紹介します。

オーブントースターの事故は火災が多い

NITEが収集した製品事故情報のうち、2018年から2022年に発生したオーブントースターの事故は36件ありました。そのうち5割以上が火災の発生した事故でした。(図1) また、原因を確認したところ、製品の不具合などによる事故に次いで多いのが、「消費者の誤使用・不注意による事故」でした。(図2)

クックパッドへ実際に寄せられた相談・報告事例

クックパッドには、料理に関する様々な相談やヒヤリハット報告が寄せられています。その中にはオーブントースターに関する以下のような事例も含まれています。

・牛乳パックで作ったケーキ型はオーブントースターで使用できるか
・クッキングシートに食材をのせて加熱していたらシートが燃えた
・鶏皮など脂の多い食品をトレイにのせず加熱していたら食品が発火した

NITEからも、以下のような誤使用や不注意による事故事例が紹介されています。

・オーブントースターの焼き網の上に直接、魚を置いて使用し、魚の脂が下のヒーターに垂れ落ちて発火。庫内の受け皿にたい積していた“くず”等に燃え移って火災に至ったと推定される事故。
・食パンを入れて加熱しているのを忘れ、その場を離れている間にオーブントースターの下に敷いていた新聞紙に着火して延焼したと推定される事故。
・ぎょうざを焼いていたところ、オーブントースターと周辺を焼損する火災が発生。ぎょうざの皮を長時間加熱したことで過加熱となり出火に至ったものと推定される。

事故を未然に防ぐ4つのポイント

誤使用や不注意によるオーブントースターの事故を未然に防ぐ方法を、いくつかご紹介します。

①燃えやすいものが近くにないか確認
先の新聞紙の事例のように、オーブントースターに直接接触していなくても、何かの拍子に接触したり放射熱(※)で発火したりする可能性もあります。
紙や布など燃えやすいもの・熱に弱いものが近くにないか、設置方法・場所に注意するのも大切です。汚れ防止のためにオーブントースターの下に新聞紙など燃えやすいものを敷くのはやめましょう。

※放射熱とは、高温の物体から放射され、離れている他の物体に吸収されて温度を上昇させる熱エネルギーのこと

②使用中は本体から離れず、様子を見ながら加熱
食品は加熱し過ぎると発火する場合があるので長時間の連続した加熱はやめましょう。特に油分を含む食品は、加熱し過ぎた際に爆発的に燃えるおそれがあるため注意が必要です。
また、加熱により形状が変わる食品(チーズや餅など)は気づかないうちに食品が変形してヒーターに接触して発火するおそれがあります。
これらの事故を防ぐには、食品の様子を見ながら少しずつ加熱することがポイントです。

③加熱する食品・使用する道具に注意
食品や道具によっては使用に際して注意が必要なものや、禁止されているものがあります。オーブントースターは、タイプや製品によって禁止事項・注意事項が異なってくるので、必ずご家庭で使用されている製品の取扱説明書を確認することが大切です。
また、クッキングシートはオーブントースターで使用可能な製品もありますが、誤った使い方をすると発火するおそれがあります。また製品ごとに耐熱温度なども異なるので使用できない製品もあります。
このように、ご家庭で使用する道具や器によっても、禁止事項・注意事項が異なってきます。使用する道具や器はオーブントースターに使用できるか、耐熱温度はどの程度かなど確認しましょう。

【注意が必要な道具例】
・ラップ:破れたり、溶けて食品の中に入ったりするおそれがあります
・紙製容器:燃えてしまうおそれがあります
・樹脂製やシリコーン製の容器:変形したり溶けたりするおそれがあります

【注意が必要な食品例】
・加熱によって油が出る食品(鶏皮や魚、揚げ物など)
→油が庫内に落ちて発火するおそれがあるので、網に直接のせず、必ずアルミホイルを敷くか受け皿を使用しましょう
・加熱によって形状が変化する食品
→すでに②の項目でお伝えした通り、変形してヒーターに接触し発火するおそれがあるので、本体から離れず様子を見ながら加熱しましょう

④庫内はこまめに掃除!くず受けトレイも忘れずに
庫内や“くず受けトレイ”に食品かすや油分などの汚れがある状態で使用すると、ヒーターの熱でそれらの汚れが過剰に加熱され、発煙や発火のおそれがあります。
特に油分を多く含む食品を使用した後は、油分が“くず受けトレイ”に落ちている可能性があるので必ずチェックしてください。

万が一、オーブントースターの庫内で発火した時は

庫内で発煙・発火したときは、電源プラグを抜き、火が消えるまでオーブントースターのドアを開けないでください。
火が消える前にドアを開けると、空気が入ることで炎が大きくなるおそれがあるため危険です。火が収まるまで様子を見ましょう。またその際、ドアのガラスは高温になっているため、水をかけないでください。水をかけると急激にガラスの温度が下がることでガラスが割れ、けがをするおそれがあります。

オーブントースターはタイプや製品によって仕様や搭載機能が様々です。製品ごとに禁止事項や注意事項が異なってくることもあるので、インターネットやテレビ、本などで紹介されているレシピはその手順のまま調理すると思わぬ事故を招いてしまう可能性もあります。
必ず使用している製品の取扱説明書で、ご家庭のオーブントースターに合った調理法か確認してみてくださいね。

取材協力:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)は「安全とあなたの未来を支えます」をスローガンに、経済産業省所管の法令執行や政策を技術的な面から支援している公的機関です。製品安全センターでは、家庭用電気製品等の事故の原因究明を再現実験により検証し、その結果を情報発信することで、製品による事故の未然防止に貢献しています。

>>NITE公式X(旧Twitter): @NITE_JP
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