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太田雄貴の勝ちごはん:鴨しゃぶ鍋で銀メダル!?団結力はここから生まれた!

フェンシング選手 太田雄貴さん:小さな頃から毎日の食事はお父さまが作られていたという太田さん。北京オリンピックの個人戦銀メダルに続き、ロンドンオリンピックでは強烈なリーダーシップを発揮し、チームを団体戦初の銀メダルへと導きました。チームワークを高めるためにも、お父さまの得意料理が活かされたという太田さんに「勝ちごはん」を教えていただきました。

食事は美味しく楽しく食べること それが僕の信条

日頃の食生活で心がけていることはありますか?
「楽しみながら食べることが何よりも大切だと思っていますね。クックパッドをご覧になっている方たちもきっと家族の笑顔が見たい、と思って作られていると思うんですよね。食卓を囲むことなく、ひとりで食べても食事って美味しくないというのは、残念ながら事実としてあると思います。

トップアスリートもそれはおなじことで、美味しく楽しく食べる時間を大切にしないとならないと思っています。ただの栄養として食べてもその効果も薄れてしまうと思うので、しっかり楽しみながら食事をしたいというのが僕の食事の醍醐味であり、信条ですね。

小さい時から両親の食育がしっかりしていたんですよね。父親は毎晩、8から10品目必ず作るような人だったんですよ。大皿や丼でどーんと盛るような料理はあまりなくて、いわゆる世の中が推奨するようなバランスの採れた献立だったのは本当に親に感謝ですね。アスリートの食べる食事と一般の人の食事って、実は総摂取カロリーが違うだけで、理想とする食事の内容は全部同じなんですよね。逆にアスリート食の方がよっぽど偏っていると思っています。いかに好き嫌いなくバランスよく食べるかが大切だと思っている。

父親は元々料理をしていた訳でもなく、逆に全くできなかったんです。ただ母親が褒めて褒めて、その才能を開花させたんですね。元々才能があったんでしょうね。僕が22歳くらいの時からずっと父が家族の食事を作っています。本当に上手でそのへんの人には負けませんよ。僕の友人が太田家に遊びきた時はテーブルに乗り切らいないくらい料理を作ってくれて、シェフになりきっておもしてなしに徹するんです。だから太田家に遊びにくると、みんな3kgくらい太るんです(笑)

僕も父の影響なのか、サービス精神が強いんです。人にできあいのものを出すのではなく、自分なりに工夫をした手作りの料理で、みんなをおいしく楽しくもてないしたいと思う方ですね。」

全員が同じ船に乗っているという感覚

太田さんにとっての「勝ちごはん」とは?
「『鴨しゃぶ鍋』ですね。元々もてなし好きの父親の完璧な招待料理として作る鍋なんですが、僕もよく作りました。鴨肉と京都の美味しい水菜、お揚げは安いものの方がおいしいんです。きのこは味が出すぎないエリンギ。それに栄養のことを考えてサラダに入れるようなアクがでないほうれん草を買ってきて、たっぷり入れるんですよ。マジで旨いですよ!

自分の部屋によくチームメイトを呼ぶんですが、一番たくさん作ったのが鴨しゃぶ鍋ですね。鶏がらだしもいちから作るのでめちゃくちゃ時間がかかるんですが、とにかく美味しい!鶏がらだしとあごだしとダブルスープにするのが僕のこだわりです。みんなには『よくやるなあ』と笑われますね。

月に1回か2週間に1回、多い時にはアスリートが15人くらい集まって食べるんです。ただ集まるだけではつまらないので、トップアスリートがトレーニングの一貫として、本気で鬼ごっこをするんですよ(笑)。周りの子どもが引くくらい真剣にやると本当に面白いですよ。その後、みんなが銭湯に行っている間に、僕は水炊きの仕込みするんです。この鍋がチームワークを高めたと言っても過言ではないですね。

チームワークを高めるのに鍋は最高です。クックパッドを見ている皆さんも是非家族や仲間の結束を固めるために鍋をやってみて下さい(笑)。できあがった鍋を一緒に楽しく食べるだけではなく、食材の準備から調理の進行まで、全員で見守りながら完成まで辿り着く鍋はいいんですよ。準備も楽ですし、栄養もスープに溶け出しているので効率よく摂取できる点もすごくいいですよね。

チームワークの構築には様々な理論がありますが、全員が同じ船に乗っているという感覚を持って、沈む時は同じだという意識の中で戦うというのが僕の理論です。その中で僕は強烈なリーダーシップを発揮するという意識を持ってチームづくりをしました。それが巧くチームワークとして機能したお陰でオリンピックに出られたんだと思います。

オリンピックの団体戦で銀メダルを獲るのに、この鍋で培ったチームワークが欠かせなかったと思います。

実は夏こそおすすめ!鍋料理でパワーを充電

スポーツ栄養アドバイザー石川三知さんの栄養解説
鍋料理=冬、といった印象がありますが、一年中、どの季節でも上手に活用していただきたいお料理です。厳しい暑さと冷房で、疲れがたまりがちな夏こそ、おすすめです。

夏の食事で陥りやすいこととして、さっぱりとして口当たりの良い、ツルツル・サラサラ、とした冷たいものが多くなるといった傾向があります。そうなると身体に大切なたんぱく質の摂取量が少なくなったり、胃腸の働きを高める咀嚼回数が減ったりしてしまいます。

鍋料理は煮込んで温かく頂くので、冷たいものが多くなり冷えてしまった胃腸を労わります。野菜類が多いと自然に咀嚼回数も増えますよね。そうしたことが重なり、胃腸の働きが良好に向かいます。また、肉類を使う時に薄切りの物や、挽肉で作ったつくね(小さめ)を利用すると、過熱時間も短く済むので、たんぱく質の消化の負担から胃腸を守ってくれます。

たくさんの食材から出た、旨みがたっぷりのスープも是非残さずに召し上がってください。美味しさはもちろんですが、発汗によって失われた、水に溶ける特徴のあるビタミンやミネラル類の補給にもなるからです。少し食欲が落ちてしまったときにこそ、みんなでワイワイと楽しみましょう。太田選手がされたように、皆さんもチームワーク、一致団結で暑い夏を乗り越えてください!

おすすめレシピは焼いたねぎが香ばしく、たくさんいただけます。ねぎとエノキには、疲労回復を後押ししてくれるビタミン類が豊富ですから、〆にご飯や麺類を一緒に食べるとさらにGOODです。

石川三知さんのおすすめレシピ

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フェンシング選手 太田雄貴

森永製菓所属。小学3年生からフェンシングを始め、小・中学共に全国大会を制覇。高校時代には史上初のインターハイ3連覇を達成。日本代表として多くの国際大会に出場。2008年北京オリンピックにおいて日本フェンシング史上初の決勝戦へ進出し、銀メダルを獲得した。2012年ロンドンオリンピックの団体準決勝、残り9秒から2点差をひっくり返す鮮烈且つ劇的な勝利で団体銀メダルに導いた。現在はフェンシングの普及活動のほか、東京2020オリンピック・パラリンピック招致アンバサダーとして精力的に活動している。

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