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僕の勝ちごはん:不動のエースを支えるのは、母の甘口カレーライス

プロ野球投手 成瀬善久さん:千葉ロッテマリーンズの不動のエースとして活躍中の成瀬投手。独特の猫招き投法と呼ばれる変則的な投球フォームから「にゃー」という愛称でファンからも親しまれています。チームの選手会長として若手の教育にも力を注ぐしっかり者の成瀬さんに「勝ちごはん」について伺いました。

戦いのあとは焼肉屋さんでご褒美サラダ!?

プロ野球選手として、日頃の食生活で心がけていることはありますか?
「シーズン中はどうしてもナイター中心の生活になるので、一般の人と比べると生活時間帯がずれてしまいます。起きてから最初にする食事がお昼頃になる感じです。試合前に軽く食事をして、夕飯は試合後になるので、夜11時から12時になることも多いですね。

僕は先発ピッチャーなので、シーズン中は週に1回はローテーションで登板の日があるため、食事の内容もそのサイクルに合わせて決まっています。登板3日前までは比較的好きなものを食べるんですが、登板の2日前から意識して炭水化物多めの食事内容にしています。僕は2日前からはお酒も全く飲まないです。

登板試合のあとは、お肉を食べると決めていて焼肉に行くことが多いですね。終わってからご褒美として気分よくお肉を食べながらお酒を飲んだりします。遠征先でも登板の日は必ずお肉を食べたいので、事前に夜遅くまで開いている店を調べておくんですよ。遠征先も基本的には決まっているので、よく行くお店だと営業時間が終わっていても、無理をいって開けてもらったりと本当に有難いですね。福岡ならモツ鍋、札幌ならジンギスカン、仙台なら牛たんを食べに行きますね。地方のおいしいものを食べられるのも遠征時の楽しみですね。

この時に特徴的なのが、野菜を意識的に多く食べることです。焼肉屋で肉を食べる前に1人でサラダを2、3皿食べます。多い時はサラダだけで5皿も食べてしまい、お腹がいっぱいでお肉が食べられなかったこともあります(笑)。

食べるペースもゆっくりしていると言われますね。仕事上、早く食べなければならない食事が多いので、試合後のこの時だけは、できるだけゆっくりと食事をして、仲間とのコミュニケーションの場にしたいと思っています。相手が聞き上手な人だと野球の話を2、3時間してしまうこともあります。」

勝負に挑む勇気をくれたのは、いつものカレーライス

成瀬さんにとっての「勝ちごはん」とは?
「『カレーライス』ですね。子どもの頃から母親がよく作ってくれたカレーが大好きでした。辛いものが苦手だったので、甘口のカレーです。野菜はじゃがいも、人参、玉葱とお肉は鶏肉をつかった本当にシンプルなカレーです。人参の甘みでより甘口になります(笑)いつも2皿は食べてました。

プロになった今でも、実家に帰る時に母から何が食べたいかを聞かれると『カレー!』と答えています。今は少しアレンジが加わっていて、当時、僕が食べていたカレーとは少し違って “大人の味”のカレーになってしまったんですけどね(笑)

実家では『今夜はみんなですき焼きをしよう!』と豪勢に準備しようとしてくれるんですよ。それが親心だと分かってはいるのですが、僕は普段は外で好きなものを食べているので、逆にいつもみんなが食べている普通の食事がしたいんですよね。集まってくれた兄や甥っ子たちからは『こういう時にしか食べられないのに〜。』と残念がられますが、普通のごはんが一番嬉しいんです。母のカレーを食べると『家に帰ってきたなあ』と心から思えて、とても安心するんです。

そんな母のカレーライスの中でも、特に思い出深いのは高校時代ですね。当時、僕は横浜高校で寮生活をしていたので、実家に帰省できるのは年に2回ほどでした。しかも、2日程度の短い滞在になるので、母が僕のリクエストを聞いてくれて必ずカレーを作ってくれました。

実家に帰ってきた晩に食べるカレーも、勿論おいしいんですが、次の日の朝に残ったカレーが一番おいしいんですよね。ひと晩寝かせているせいもあると思うけれど、それ以上に『当分この家には帰ってはこられない。また野球を頑張るんだ!』という自分自信の決心が、よりおいしさを高めてくれたのかもしれませんね。戦いの場に挑む勇気を、母のつくる甘口のカレーライスにもらっていた気がします。」

みんなが、我が家のカレーを食べたい理由

スポーツ栄養アドバイザー石川三知さんの栄養解説
「食べる」ことには、幾つもの意味があります。お腹を満たすこと、カロリーを摂取すること、栄養素を補給すること。味わうこと、楽しむこと。更に、命を支える食事は、日々の生活の中で欠かせないことなので、その食べ方で自分のペースを作り出すこともできます。(試合後の食事は、意識してゆっくり…が、それに当たります。ゆっくりとした動作は気持ちをリラックスさせます)成瀬さんは、とても自然にそれらを感じて、実行もされているのだな、と思いました。

そして、もう一つ、大切なこと。 それは安心感。ほっとする瞬間であることに加え、自分を支えてくれる。食事から、そんなことを感じられるのだと思います。料理は、誰にでもできる“誰かのことを思って”する行為だからなのかもしれませんね。成瀬さんがそう感じる“カレー”は、多くの人たちが大好きなメニュー。もちろん、心だけではなく、栄養素的にも体に元気を届けてくれるメニューです。

まず肉や魚介のたんぱく源が補給できます。ルーを作る時に、牛乳や豆乳を加えると更にアップしますね。次に、たっぷりの野菜や果物。すりおろした物に切った物。煮込むことで栄養素の吸収もよくなります。 そして、数々の香辛料が胃腸の働きを活発化したり、食欲を増してくれます。

カレーは、バテずに夏を元気に過すために必要な栄養素とボリュームが揃う、とてもお薦めのレシピです。熱い物を汗をかきながら食べる事もポイント!カレーを食べる誰かが、元気な笑顔でいてくれることを思いつつ、いつもより少し丁寧に作ったら、きっと笑顔も倍増するはずです。

おすすめレシピは作る過程の、ちょっとした手間が同じ食材を使っていても美味しさを引き出します。たっぷり入ったトマトは夏特有の疲れ(紫外線や発汗)をサポートしてくれます。

石川三知さんのおすすめレシピ

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プロ野球投手 成瀬善久

横浜高校出身。2003年春の選抜高校野球大会に出場し準優勝に貢献。同年のドラフト6位でロッテに入団。2006年から初登板初先発初勝利を挙げると、次第に頭角を現しこの年に5勝をマークする。翌年は最優秀防御率、最優秀投手のタイトルを獲得し、オールスター出場や2度の月間MVPも経験。2008年には北京オリンピック野球日本代表に選出される。2010年に自身初の開幕投手に指名されると、交流戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズと全ての「開幕投手」を担い、“史上最大の下克上”の立役者となり、千葉ロッテのエースの座を不動のものとしている。2009年より4年連続二桁勝利継続中。

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