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コラム

材料を用意するところから楽しむ!子どもと作りたい「りんごの甘煮」

【子どもの心を育てるレシピvol.14】子どもに「食」の大切さを伝えたいと思いつつも、日々忙しくてなかなか教える機会がないという親御さんも多いのでは? そこで、子ども料理研究家・武田昌美さんが、子どもと楽しくトライできて心も育てられるレシピ、料理を通して子どもが得られる学びについて、わかりやすく解説! 気負わず、自然と生活の中に取り入れられる簡単料理で、とっておきの親子タイムをお過ごしください。

季節がまたひとつ巡り、秋になりました。このまま一気に年末まで駆け抜けていくのかと思うと、ついこの間2021年が始まったばっかりなのに…と時の過ぎ去ることの早いことといったら光陰矢の如し。 そんな秋は色々な食べ物、とりわけ果物がおいしい季節ですね。

私が行っている食育は、“EduCooking”という「料理で学ぶ仕組み」を作るものです。そして秋の果物は、子ども達の学びにぴったり。半分に切って断面を見てみたり、果物によって種の大きさも数も違うことを見つけるなど、EduCookingを通じて生活の中からたくさんの学びを吸収できます。

りんごはあんなに大きいのに種がすごく小さかったり、同じ大きさくらいの桃は真ん中にドーンと大きい種があったり。改めて果物の種を見ると、大人でも不思議に思うことがたくさんあることに気付きます。

果物のなり方を観察することも大切です。今は小学生の娘ですが、幼稚園年長さんのこの時期は受験勉強に勤しんでいました。私の場合、勉強のための教室には通わず、娘が好きな料理から派生する学びをとことん追求していたので、りんごはうってつけの教材となりました。

近くにりんごをもぎ取って購入できる農園があったので、まずはりんご狩りからスタート。「りんごって木になっているんだね」「りんごは秋に実がなるから、お花はいつ頃咲くんだろう?」答えを知っている問いだけではなく、自分の頭で考えて解を導く練習をします。分からなかったら、りんご農園の方に伺うなど、子ども自身に答えを探してもらいました。

そして帰ってきたら、早速料理!と行きたいところですが、もう少し学びの時間を、ということで次は工作を。もぎたてのりんごを見ながら、新聞紙や折り紙でりんご作ります。

次にやっと、りんごを使った料理です。自分で採ったりんごはそのまま頂いてもおいしいですが、ちょっと工夫しておやつを作ったり。料理の経験もプラスします。

おいしく食べた後はラストスパート。りんご狩りの経験を絵画にします。その後、一緒に感想を聞き合います。

「何が一番楽しかった?」「りんごの木って近くで見たらどうだった?」「おいしいりんごを見つける秘訣は?」 などなど、会話を楽しんで、りんごの学び時間は終了です。

スーパーでもできる「自分のりんご」体験

私が考える食育は、料理を通じて学びを楽しく吸収することです。もちろん、学校や塾で教えてもらう勉強は大切ですが、机に座らずに、子どもからしたら遊んでいるようで、実はそこから学べることもあります。私はその最強ツールこそ料理であると考えているので、小学校受験における学びは、完全に料理から派生させていました。親もあれやこれや大変だったけど、食を通じた学びを一生懸命親子で行ったことはいい思い出です。それと同時に、料理の幼児教育における可能性を見出した経験となりました。

もちろん、「りんご狩りなんて大変! 時間もないしできない」というお言葉も百も承知です。その場合は、一緒に八百屋さんやスーパーに行って、子どもにとびきりのりんごを選ばせてあげてください。それだけでも子どもにとっては特別な「自分のりんご」になります。

その時大切なことは、子どもの選んだその「特別なりんご」を尊重してあげること。子どもに選んでもらった後に、親が選び直したくなる衝動がついつい湧いてきますが、たとえ多少小さくても、子どもが一生懸命に選んだりんご。親がすぐに交換してしまっては何だか寂しい思いをさせてしまいます。子どもの一生懸命な気持ちを何よりも大切にすることが、重要であると思っています。

そして、忘れてはならない選ぶ時のルールもしっかり伝えます。これ!と選ぶまでは食べ物に触らない。あれやこれや執拗に手に取って比較するのは、マナー違反。子どもであってもスマートに買い物をして欲しいと思っています。

りんご一つで、ここまで「学びの種まき」ができるとなると、やっぱり食育は素晴らしいな、と思います。親が子に伝えることとして、食を通じた学びは温かい素敵な時間であると確信しています。

まだまだ残暑が続くこの時期、食べ物で少しずつ秋を感じてみてください。

待望の小学生向け開始! 「表参道でリトルシェフクッキング」

9月25日(土)に表参道「Farm to bakery」にて、EduCookingの学びを充実させた小学生向けカリキュラムが開催されます。
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武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2017年より「ママも知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。保有資格は、食育インストラクター、子供心理カウンセラー、フードコーディネーター。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。著書は、『失敗したって大丈夫!と言える子になる「子ども料理」のススメ』(クックパッド株式会社)。
【HP】https://little-chef-cooking.com/(ご予約はこちらから)
【Instagram】@masamis__kitchen
【YouTube】リトルシェフクッキング
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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