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コラム

おうちに余ってない?美腸づくりに役立つ「きな粉」の賢い食べ方

【体の内側からキレイを目指す!美腸ライフVol.24】食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために、日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を、分かりやすくご紹介していきます。

新年がはじまり、もう少しで1ヶ月が経とうとしていますが、お正月のお餅は食べ切りましたか? お餅のお供の定番といえば「きな粉」。毎年この時期に「お餅は食べきったけど、きな粉が余ってしまった」という声をよく耳にします。皆さんのおうちにも、使いかけのきな粉はありませんか?

そこで今回は、脇役の立ち位置が多く、あまりスポットライトが当たる機会は少ない「きな粉」に着目し、その知られざる魅力と賢い活用術をお伝えしていきたいと思います。

きな粉と美腸ライフの関係とは?

きな粉は炒った大豆を粉にしたもので、香ばしい風味と素朴な甘さがおいしい身近な食材。腸活ブームの中で、納豆や豆腐、おからといった大豆製品に注目が集まっていますが、もちろん同じく大豆から作られるきな粉にも、美腸づくりに役立つ栄養成分が含まれているんです。

体の内側からキレイと健康を目指す「美腸ライフ」の鍵を握るのは、ビフィズス菌や乳酸菌など、健康に有用な作用をもたらす腸内細菌を増やすこと。そのためには、直接生きた有用菌(プロバイオティクス)を摂取する方法と、そのエサとなる栄養成分(プレバイオティクス)を積極的に摂る方法があります。きな粉には後者のプレバイオティクスが豊富に含まれているため、毎日の食生活に取り入れることで、腸内にもともと存在する有用菌にエサを優先的に与えて、その増殖をサポートすることができます。[1]

きな粉に含まれる美腸づくりに役立つ栄養成分

では、きな粉にはどのような栄養成分が含まれているのでしょう? 大豆の栄養を効率的に丸ごととることができる特長がありますが、今回は特にプレバイオティクスとして美腸づくりに役立つ2つの栄養成分に着目してお伝えします。

食物繊維

きな粉大さじ1(7.5g)で約1.4gの食物繊維を摂ることができます。[2]

食物繊維は、腸内の有用菌のエサとなり腸内環境を整える働きがあるだけではなく、肥満や生活習慣病の予防にも役立つことが明らかにされています。

厚生労働省が「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で定めている1日の目標量(生活習慣病予防を目的にした際にとりたい量)を参照すると、18歳〜64歳の男性で21g以上、女性で18g以上とされています。[3] よって、1日3食にきな粉大さじ1をプラスするだけで、1日の目標量の1/5ほどをとることができるのです。

オリゴ糖

きな粉大さじ1(7.5g)で約0.4gのオリゴ糖を摂ることができます。[2,4]

オリゴ糖は食物繊維と同様に腸内の有用菌のエサとなり、腸内環境を整えてくれる働きがある栄養成分です。最近は、低カロリーな甘味料としても注目を集めており、腸活とダイエットの両方を叶えることができる成分として、お菓子や飲料などさまざまな製品に活用されています。腸内環境を整える目的では、市販のオリゴ糖製品の有効摂取量は1日あたり2~10gとされていますが、オリゴ糖は一度に大量にとってしまうと、逆にお腹の調子を悪くすることもあるため、自分のお腹との相性を見ながら少しずつとり入れることが大切です。[1]

大豆製品の他にも、玉ねぎやごぼう、ねぎ、にんにく、バナナなどいろいろな食品の中に含まれていますので、きな粉だけでなくそれらの食品も併せて毎日の食生活にとりいれていきましょう。

美腸ライフ的『きな粉の賢い活用術』とは? 

美腸づくりにおいては、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を合わせて食べる「シンバイオティクス」がより効果的であると言われているため、ヨーグルトなど生きた善玉菌を含む発酵食品と合わせるのもおすすめです。例えば、発酵食品のヨーグルトにそのままかけるだけのきな粉ヨーグルトや、乳酸菌飲料に混ぜて飲むのでも良いでしょう。また、納豆に混ぜても、味噌汁に入れても楽しめます。

大量消費をしたい時にもおすすめしたいのが、きな粉がけご飯です。私は子どもの頃から好きでよく食べていたのですが、きな粉餅やおはぎの要領で砂糖と塩で味をつけたきな粉をご飯にかけるだけで作れるので、ぜひお試しあれ。

きな粉を上手に活用して”美腸ライフ”を楽しもう!

きな粉は、加熱済みなのでそのままかけるだけで手軽に食べられるのも魅力のひとつ。風味の癖も強くないので、さまざまなメニューに合わせることが可能で、普段のお食事にかけるだけで食物繊維やオリゴ糖をプラスで補える優秀な食材です。特に、きな粉を余らせがちな方は日々の食生活にとりいれてみてくださいね!

〈出典〉
[1] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 腸内細菌と健康
[2] 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[4] 浅野 三夫, 大久保 一良, 山内 文男, 大豆の温水浸漬によるオリゴ糖の浸出挙動, 日本食品工業学会誌/38 巻 (1991) 9 号
[5] Markowiak P, et al. Effects of Probiotics, Prebiotics, and Synbiotics on Human Health. Nutrients. 2017 Sep 15;9(9).
(すべて2022年1月15日閲覧)

管理栄養士 藤橋ひとみ(ふじはし・ひとみ)

I’s Food & Health LABO.代表。フリーランス管理栄養士として、商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。豆腐や豆乳、ソイオイル、味噌など、大豆関連の資格を多数所有し、大豆や腸活分野の専門家として活動する中で、最近は日本人が不足しがちな食物繊維の宝庫である「おから」に注目し、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」

●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスター、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、ほか

【ホームページ】https://is-food-health-labo.com/
【ブログ】https://ameblo.jp/hitomi880807

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