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卵はおいしいのはもちろん、いろいろな料理に活用できるので、多くの人にとって欠かせない食品であるはずです。でも、コレステロール値が高く、食べすぎると体に良くないといった話もよく耳にするので、積極的に摂取をしていいのかは気になる点でもあるでしょう。そこで今回は、卵とコレステロールの関係性について、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
コレステロールは心臓病の原因になることが疑われていて、卵はコレステロールを豊富に含むために、1日に何個も食べるのは良くないとされてきました。
ところが、最近の研究では、卵を食べることと心臓病のリスクに関して、かつて考えられていたほどの強さの相関はないという可能性が示されています。
卵を食べることで、心臓病のリスクや炎症、動脈硬化、コレステロールの値が上がる、危険因子が高まるといったことはないという結論も出ています。
とはいえ、卵の摂取に関して、コレステロールを高くするというデータがあるのは事実です。
卵を使った朝食と使わない朝食では、卵を使った朝食を食べた人たちのほうがコレステロール値が上がっていたという調査結果もあります。
しかし、細かいデータを見ると、心臓病のリスクに使われるLDLコレステロールとHDLコレステロールの比はあまり変わっていなかったため、そこまでリスクは上がっていないとも言えます。
糖尿病患者を対象とした比較試験を行った際も、卵を週に6個~12個食べてもコレステロールの影響は出ませんでした。
逆に、HDLコレステロールという善玉コレステロールを増加させる効果が見られ、これは心臓病にとってはむしろいい効果です。
結局のところ、卵の摂取が心臓病のリスクを上げるとか下げるとか上げないとか、いろいろな報告が入り混じっているのが現状と言えます。
コレステロールに関して問題になっているのは卵だけではなく、ほかにもコレステロールを含む食品はたくさんあります。
例えば、加工肉や揚げ物と一緒に食べると、卵を食べることの影響よりも顕著に心臓病に対するリスクが上がることがわかっています。
普段から動物性たんぱく質を含めて、加工肉などを食べるのを控えている人であれば、卵を少々食べすぎても問題になることは少ないです。
卵はビタミンやミネラル、抗酸化物質、たんぱく質、脂質など、栄養価が非常に高い食品なので、これを避けるのはデメリットのほうが大きいはずです。
ほとんどの健康な人にとっては、卵を1日2~3個食べるのは比較的に安全だと言えるでしょう。
注意すべき点として、卵を1日1個食べるだけで心臓発作のリスクが上がる人達もいます。糖尿病や肥満の人は卵による影響を受けやすいです。
過去の研究でも、LDLコレステロールが高い人や肥満の人、糖尿病などの慢性疾患のある人、さらに心臓病の家族歴ある人は、卵は1日1個までにしておいたほうが無難だと言われています。
卵黄にはコレステロールの大部分が含まれていますが、ビタミンB群や鉄分、コリン、ビタミンD、あとはルテインやゼアキサンチンなどのカルテノイドのような抗酸化物質も豊富に含まれています。
そのため、卵の栄養価を考えると、摂れるのであればなるべく摂ったほうがいいということ。
こういった生理活性物質は、卵によるコレステロールの炎症などの可能性もありますが、それと同時にそれを下げる物質もたくさん入っているので、卵の健康増進効果を考えると、摂れる食生活にすることは重要になります。
お肉や加工肉を食べすぎないように気をつけて、なるべく卵で摂取するといいでしょう。
(TEXT:山田周平)
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画像提供:Adobe Stock
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は37万人超(2024年1月時点)。