テレビや雑誌で活躍中の家電ライター・田中真紀子さんが、今本当におすすめしたい家電を紹介!お料理も大好きという田中さんがリアルな生活者目線&家電のプロならではの視点で素敵な家電を紹介します。
みなさんは“サラマンダー”という調理器具をご存知でしょうか。これは料理の仕上げに、高温で焦げ目や焼き目をつけて、美しい焼き色や香りを引き出すもので、ホテルやレストランではよく使われているプロ御用達の調理器具なんです。そんな“サラマンダー”が手軽にできるとして注目されているのが、「BALMUDA The Toaster Pro」。バルミューダの人気オーブントースターに“サラマンダー”機能を追加した最新モデルで、「プロのテクニックが家庭で再現できる」と話題になっているんです。
「でも焦げ目なら、オーブントースターでもつけられるでしょ」と思った人も多いかもしれませんね。でも実際に使ってみると、トーストとサラマンダーは似て非なるもの。さすがプロが愛用するのも納得の違いがありましたので、さっそくご紹介しましょう。
BALMUDA The Toaster Proのベースとなっているのは、2015年の登場以来、人気の衰えを知らず、累計出荷台数150万台(2021年12月時点)を突破しているBALMUDA The Toaster。5ccの水を加えることでスチームがトーストを包み込み、表面はカリッと焼きつつ、パンの風味を引き出すとして、多くの人を虜にしました。
BALMUDA The Toaster Proは、そんなBALMUDA The Toasterに1つのモードを追加しました。それが「Salamander(サラマンダー)モード」というわけです。
サラマンダーモードは、トーストやグラタンなどの調理完了後、焦げ目をつけたいときに使います。サラマンダーモードにすると、上のヒーター管のみにパワーが集中され、通常モードより高火力で焦げ目がつけられるというわけです。
ではさっそくトーストをサラマンダーしてみましょう。まずはトーストモードで食パンを軽くトーストします。その後、ダイヤルをサラマンダーモードに切り替え、再度加熱したところ、表面が見る見るきれいなキツネ色に! あっという間に焦げ目がつくので、頃合いを見計らって加熱を切りました。時間にして30秒ほど。
表面がこんがり焼けると、見た目もおいしそうに見えますが、食感や風味もよりハッキリします。かじったときにサクッとした食感、香ばしさがひときわ強く、おいしく感じられました。
続いて、BALMUDA The Toaster自慢のチーズトーストモードをサラマンダーで仕上げします。まずはチーズトーストで焼き、チーズがとろけてパンの耳に焦げ目がついてきたら、サラマンダーモードに。すると、チーズがぐつぐつ煮え始め、表面に香ばしい色がつきました。実際に食べてみると、やはりうまみがワンランクアップ!
さすが、プロ推奨のサラマンダー!でもなぜ焦げ目がつくとおいしさがアップするのでしょうか。実は糖やアミノ酸、タンパク質は加熱すると、「メイラード反応」が起こり、食材が褐色に色づきます。それと同時に香ばしさやうまみを生成されるのです。
通常の調理で焦げ目がつくまで加熱すると、過加熱によって水分が抜けたり硬くなる場合もありますが、調理の仕上げに一気に加熱すれば、おいしさを損なうことなく、焦げ目のおいしさがプラスできるというわけですね。
焦げ目がおいしい食べ物というと思いつくのがグラタン。そこでグラタンもサラマンダー仕上げしてみました。BALMUDA The Toaster Proのクラシックモードで焼き上げたあと、サラマンダーモードで1分ほど。チーズトースト同様に、ふつふつと沸き上がり、あっという間に焦げ目がつきました。
食べてみると、チーズの焦げ目が香ばしく、とろっとしたグラタンの食感のコントラストが感じられ、家族からも「今日のグラタン、おいしい」と大好評。たった1分でこれだけ変わるんですね。同じようにピザもおいしく焼けるのでおすすめです。
ほかにも、いろいろな料理でサラマンダーしてみました。まずは真鯛の塩焼き。クラシックモードで調理した後、仕上げに皮をサラマンダーしたところ、カリッとした食感になり、まるで高級レストランに出てくる魚料理のようなおいしさです。
すしにチーズをかけて、サラマンダーしてみました。短時間で焦げ目がつくので、ネタが生焼けになることなく、脂が溶けてとろけるような食感!
ほか、餅を焼き、ぷっくり膨れた後にサラマンダーでこんがり焼き色をつけたり。
みそ味の焼きおにぎりに焦げ目をつけてみたり。
このように、さまざまな料理にひと“サラマンダー”するだけで、おいしさがアップするので、つい「次は何をサラマンダーしよう」と探してしまいます。とりあえず“焼き〜”と呼ばれる料理との相性は間違いなさそう。焼きとうもろこしも試したいですね。
そんな感じで“焼き〜”で考えて思いついたのが、焼きリンゴ。リンゴに砂糖をかけ、サラマンダーで焦げ目をつけたら、おいしいにちがいない、と試してみたら、想像以上の絶品スイーツが完成しちゃいました。
半分に切ったリンゴにバターを乗せ、ブラウンシュガーとシナモンを振りかけたら、クラシックモード170℃で30分(タイマーは15分までなので、続けて2回加熱)。砂糖が溶けて焦げ目がつき、シナモンとともに甘い香りが漂います。
使用感は、一般的なオーブントースターと変わりませんが、庫内の大きさは274mm(幅)×204mm(奥行き)×178mm(高さ)と少し小さめ。一度に焼けるトーストの枚数は2枚で、小さめのピザでも入りきらない可能性があります。また高さも低いので、高さのあるグリル皿を使う場合も要注意。
お手入れに関しては、庫内や焼きアミ、パンくずトレイのお手入れは、通常のトースターと変わりませんが、スチームを使用するため、給水パイプとボイラーカバーを取り外して洗う手間があります。もちろん毎回お手入れするかどうかは、使う人によるかもしれませんが、お手入れしないと不具合が出てくる可能性もありますので、怠るわけにはいきませんね。
こういった側面もありつつ、やはりトースターとしての機能はとても高く、デザインもおしゃれなので、従来モデルから人気の理由がよくわかります。肝心の価格は、従来モデル「BALMUDA The Toaster」が27,940円(税込)であるのに対し、サラマンダーモード搭載のBALMUDA The Toaster Proは35,200円(税込)。7,000円以上高くなりますが、前述のようにサラマンダーするといつもの料理もランクアップするので、せっかくBALMUDAで買うなら、プロの技を再現できるBALMUDA The Toaster Proがいいのではないでしょうか。
家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、リアルな使用感や取り入れ方を発信している。自宅には常時200以上、キッチン家電だけでも60以上を所有し、日々使いこなしを研究中。メディアやメーカーからの取材や監修、テレビ・ラジオ出演など、専門家としての依頼も多数。