いちごがおいしい季節です。最近は、スーパーのいちごのコーナーにもいろんな品種のいちごが並んでいますよね。いちごを贅沢に楽しむためにホテルのデザートブッフェに行くという方も多いようです。今回は、旬を迎えているいちごをよりおいしく食べるために、50種類以上のいちごを取り扱っている豊洲市場ドットコムの仕入れ担当者・鈴木さんに、数あるいちごの品種の中からおすすめのものやおいしい食べ方を教えていただきました。
――今シーズン、全体的ないちごの出来はどうですか?
今シーズンは寒波や燃料代高騰の影響で全国を通して若干の不足感がありますが、 少ない中でも、大きな数量の上下はなく、1番花から3番花まで出来は安定しています。 大きな品質のばらつきはありません。 これからの季節は3番花ですが、まだまだ美味しいいちごが食べられますよ!
――やはりいちごは生でそのまま食べるのが一番おいしいと思うのですが、数あるいちごの品種の中から鈴木さんがおすすめの品種を教えてください。
おいしいいちごがたくさんあるので、選びきれないというのが本音なのですが…(笑)。いちごのシーズンには毎日いちごを食べ続けている私が個人的に今おすすめしたい品種をご紹介します。
練乳いらずないちごとして、メディアでも話題になっている新品種です。ようやく市場に出回るようになったばかりなので、もし見かけることがあったらぜひ一度食べてみていただきたいです。その名の通り、甘いいちごです。先端は糖度が20度になるものもあります。
白いいちごです。これまで、白いいちごは彩り用として使われることが多く、赤いちごに味は勝てないというという市場評価でしたが、それを覆した革新的な品種です。赤いちごよりも甘く、キャンディーのような香りがします。見た目と甘さのギャップがあるので、食べると驚かれると思います。まだ店頭にはなかなか並んでいないと思います。
これからの時期に甘さが際立ってくるいちごです。12月の出荷からずっと作り続けていると、3月頃、ちょうど2番花と3番花の間頃に味が薄くなるタイミングがあります。この品種は、それが少なく3月でも甘い実をつけ、酸味もすくなく食べやすいです。
形がとてもきれいで香りに透明感のある甘い香りが特徴の品種です。いちごのかき氷のような香りがします。香料かと思うくらいの甘い香りをぜひ生で食べて味わってください。
――形が崩れにくい、生クリームとの相性が良いなど、ケーキやお菓子作りに向いている品種を教えてください。
形が崩れないいちごとしては、「さくらももいちご」という商品があります。これは、品種は非公開でブランド名としてやっているいちごです。ナイフを入れても崩れないので、お菓子作りにおすすめです。パティシエの方がいちごを使うときに気にされるポイントとして、いちごの断面があります。やはり、色が赤が強い方が彩りとして映えるので、「古都華」や「まりひめ」、「ゆうべに」がおすすめです。
「さちのか」です。関西、四国で作られている品種で濃厚な味わいがあります。味がすごく濃いので生で食べるのもおいしいですが、ジャムに使われることも多いです。いちごには、やわらかくて潰れる品種と固くてしっかりとした品種がありますが、これはその真ん中くらい。適度な果肉感が残るので贅沢なジャムとして楽しめるかと思います。
――いちごの鮮度や甘さの見分け方を教えてください。
(1)へたの色
緑でピンとしているものは鮮度が良い状態です。
(2)ツヤ感
品種によりますが、新鮮ないちごにはツヤがあります。乾燥したり時間が経つとツヤが薄れていきます。
(3)肩の張り
逆三角の上の部分(肩)が張っているものを選びます。これは、農家さんが収穫適期のポイントとしているところでもあります。
――甘いいちごを選んだつもりでも、甘さが足りない場合があります。そんなときにおいしく食べる方法があれば教えてください。
個人的には、素材そのものを楽しんでほしいという思いがあるので、サラダにして食べることが多いです。種(厳密には果実)のプチプチ感がいいアクセントになります。ビタミンチャージサラダとして、紫スプラウト、トレビスなど同系色でまとめてバルサミコドレッシングをかけていちごを添えると一気に華やかなサラダになります。
また、甘くない場合は、一粒そのまま食べるのではなくダイスカットにして食べると違った印象になります。細胞を壊して、少し時間がをおくことで水分が出て、印象もかわります。ガトーショコラのようなケーキの横に沿えると特別感が増しますよ。
―― これからのシーズンもいちご狩りに行かれる方が多いと思うのですが、いちご狩りで栽培されている品種とスーパーの品種は違うものですか? いちご狩りのいちごは崩れやすい印象があるのですが……。
いちご園ごとに育てている品種は異なりますし、いちご狩り用と市場に出るものが明確に分かれているということはないと思います。いちご園でよく採用されているのは、収量性の良い品種。味の濃さよりも量ができる品種が多いのはないでしょうか。
明確に違う点として考えられるのは、熟度の違いに加え、市場流通用のいちごは、産地によって芯まで冷やしこんだりして流通性をあげて出荷している農家さんもあります。それに比べて、いちご狩りは温室ハウスで収穫し、常温で持ち帰るため崩れやすくなるのかもしれません。崩れにくい固めの品種を教えてもらって帰るなどの工夫をしてみてください。
――最後に、おいしいいちごを長く味わうための保存方法を教えてください。
いちごは、鮮度がとても大事なので、保存をするというよりは買ってきたその日においしく食べていただくのがベストです。買ってきたばかりのものが最も鮮度がよく、おいしく食べられるタイミングです。家で保存というよりは小まめに買っていただくほうが良いと思います。もし、食べきれないくらいいちごがある場合、2月頃までは、乾燥しがちな冷蔵庫よりも玄関などの涼しいところで保管してください。 3月に入ると暖かくなってきますので、野菜室で保管していただくのが良いと思います。
(TEXT:山田かほり)
株式会社食文化が運営する豊洲市場に入荷する旬のフルーツ&マグロ・海鮮品をお届けする通販サイト。 豊洲の新市場を拠点に活動し、全国各地の産地から、スカイベリー、あまおう、ゆうべになど人気の高い品種や新しい品種など、ピーク時は50種類以上のいちごを取り扱っている。