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コラム

くしゃみ・目の痒みが止まらない…「秋の花粉症」に絶対とるべき食事とは?

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花粉症患者の約15%が秋に自覚症状がある

夏も終わり、だいぶ涼しくなり過ごしやすくなってきましたね。それに伴って、熱が無いのにくしゃみが止まらない・鼻水が出るという方はいませんか?それ、実は風邪ではなく秋の花粉症のせいかもしれません。

春だけでなく、花粉症患者の約15%が秋に症状を訴えているというデータもあります。秋の花粉症の原因になるのは、ブタクサ・ヨモギ・カナムグラなどの花粉。夏の終わり頃から、稲刈りの時期の9〜10月ごろにかけて花粉のピークを迎え、症状が現れます。また、この季節は喘息患者にとっても症状が出やすい季節です。

ところで、秋冬の食材はアレルギー症状の予防・緩和に役立つ食材が多いことをご存知ですか?今回は、「食事でできるアレルギー対策」についてお話ししたいと思います。

不快症状は食事によって悪化する?

私たちの体は日々無数の物質や菌、紫外線などにさらされています。こうした物質が体内に侵入し、悪さをしないように体には免疫機能が備わっているわけですが、呼吸や接触を通して体内に入ってきてしまった物質を追い出す・対処する手段として、くしゃみ、咳、鼻水、痒み、気管収縮などが起こります。

体を守るために必要な反応ですが、「不快症状」とも呼ばれ、これらの症状が続くことは大きなストレスです。このような症状は大なり小なり炎症を伴いますが、鼻詰まりや目の痒み、気道の炎症などに「脂質メディエーター」という物質が関与していることがわかっています。

実はコレ、皆さんが日々の食事からとりいれている脂質を材料に体内で作られるものです。ひとくちに脂質といっても複数種類があり、体内で炎症を悪化させるこの季節控えたい脂質と、逆に炎症を抑えて症状を楽にしてくれる積極的にとりたい脂質があり、脂質の違いを理解することが、季節の体調管理を左右するといっても過言ではないかもしれません。

食事を指数化して病気を予防する時代

「え?食事で症状が変わるの?ほんとうに?」と驚く方も少なくないかもしれません。実は、近年食事の新たな評価法として「Dll:食事性炎症指数」というものがあり、45種類の栄養素や食品の摂取量によって、目の前の食事が炎症を促す食事か、抑える食事かが数値化されるようになりました。実際に、Dll値が高いと血液検査で炎症レベルが高いことが欧米で証明されており、日本人でも同様の結果がみられたことが報告されています(女性は年代によって異なる)。がんや生活習慣病などを予防する手段として期待されています。つまり、食事は深い症状を引き起こす炎症反応に大きく関連しています。

不快症状の予防・緩和におすすめの食材

では、どのような食事が炎症を抑え、症状を楽にしてくれるのでしょうか?この季節、意識してとりたい栄養素と食材を紹介します。

ビタミンD

コロナウイルスですっかり有名になった「サンシャイン•ビタミン(日光を浴びることで生成される)」ですが、炎症物質の血中濃度を低下させる働きがあり、実際に小児のアレルギー性鼻炎患者に25μg(1000IU)/dayを摂取させたところ、重症度が有意に減少したという結果があります※1。ビタミンDは喘息においても同様の報告があり、秋・冬は日照時間の減少により血中濃度が低下していくビタミンですので、そうならないように食事と日光浴でしっかり体内濃度を維持したい栄養素です。

※1: Arch Med Sci. 2018 Jan;14(1):122-131. doi: 10.5114/aoms.2016.61978. Epub 2016 Aug 29.

DHA•EPA(オメガ3脂肪酸)

さまざまな不快症状と炎症を抑える働きがあるのが魚の油であるDHA•EPAです。実際に角膜中の炎症物質を減らすことで花粉症のつらい目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)の症状を軽快させたり※2、アレルギー性鼻炎の改善にも有効性が確認されています※3。生魚(とくに青背の魚)に多く含まれ、煮る•焼くで30%損失、フライにすると酸化して別物になってしまいます。

※2: Hirakata, Toshiaki, et al. "Dietary ω -3 fatty acids alter the lipid mediator profile and alleviate allergic conjunctivitis without modulating Th2 immune responses." The FASEB Journal 33.3 (2019): 3392
※3: 澤根 , 健人「食事性オメガ3脂肪酸によるアレルギー性鼻炎抑制メカニズム」大阪大学大学院 薬学研究科 創成薬学専攻

ミネラル

不快な症状を悪化させてしまう要因に「酸化ストレス」があります。活性酸素が増え過ぎてしまうことでカラダが内側から蝕まれ、不快症状が悪化してしまう可能性があります。体内の活性酸素を減らすSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という物質をつくるのに、亜鉛やマグネシウムといったミネラルが欠かせませんが、どちらも現代人に不足しているミネラルです。

ファイトケミカル(抗酸化物質)

ビタミン・ミネラル以外に活性酸素対策になるものとして、食材の色素や匂いの成分であるファイトケミカル(抗酸化物質)があります。緑茶カテキン、大豆イソフラボン、カカオポリフェノールなど、聞いたことがあると思います。非常に優れた働きがありますが、体内の滞在時間が長くないため、3食+飲みもの+おやつでこまめにとり入れることが血中濃度を高く保つ秘訣です。

乳酸菌

腸は、免疫細胞の7割を抱える「体の攻防」の最前線。栄養をとり込み、病原菌や毒素など有害物質はとり込まないように調整してくれます。腸が炎症を起こすと、栄養吸収を妨げたり、異物が侵入しやすくなってしまいます。そんな腸のコンディションを守る乳酸菌の約7割に、優れた抗炎症作用があることがわかっています。乳酸菌は発酵食品に多く含まれているので、できるだけ毎日発酵食品をとりたいものです。

メイン画像提供:Adobe Stock

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細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
2009年春に、医師や管理栄養士を中心に13種の医療専門家及び博士/研究者が所属する「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。専門家の知識を分かりやすく提供することで、日本の家庭教育と子どもたちの健康をサポートしようと幅広い活動を展開。さらに、予防医療のなかでも、”母子健康”に注力。課題は深刻だが国のサポートが手薄なため、妊娠前/妊娠中/産後の女性の健康支援を通じて、次世代の健康の底上げに取り組んでいる。生まれてくる赤ちゃんの栄養状態・成長は妊娠前のママの栄養状態に影響されるが、働く女性の栄養状態は近年悪化している。日本の未来を守るためにも、母子栄養を潤す事は必要不可欠と考え、栄養状態の悪い女性を減らすことで不妊症や低出生体重児を予防し、1人でも多く健やかな赤ちゃんが生まれることを願い、走り続けている。
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