半年の間、おいしいごはんの大切さと、食いしん坊な主人公・め以子の人生を描いてきた「ごちそうさん」もいよいよ最終回。め以子のアメリカへのわだかまりは溶けるのか、悠太郎は無事戻ってくるのか、最後まで見逃せない「ごちそうさん」リポート、いよいよ最終回です!
終戦から2年。め以子は復員列車が到着するたびに駅まで出向き、悠太郎を探す日々を送っています。大阪の街も人々の生活もそろそろ落ち着きを取り戻してきた様子。戦争の傷跡もだいぶ癒えてきたものの、め以子の中に残るアメリカへのわだかまりは溶けないまま。長男・泰介や長女・ふ久から、「アメリカにもいいところはある」と言われても、認めることはできないのです。
そんなある日、いよいよ再開される予定だった甲子園での野球大会がGHQにより許可を取り消されてしまいます。かつて甲子園をめざした泰介や諸岡、義妹・希子らは大会を認めてもらうべく、活動をはじめますが、うまくいきません。希子の放送局に常駐する上官モリスが力を貸してくれると言いますが、その条件は「め以子の蔵座敷で最高の日本料理」を食べること。アメリカ嫌いのめ以子も「甲子園のため!」と意を決し、おもてなしをするべく、知恵をしぼるのです。
「最高の日本料理とは?」悩むめ以子はフランス料理を学んでいた父・大五に「日本料理と西洋料理の違い」を訪ねます。大五の答えは「ソース」。フランス料理はソースが発達した料理であるのに対し、日本では「しょうゆ」という万能なものがある、というのです。当日、モリスが持参した赤身の肉を使い、め以子が作ったのはローストビーフ。「日本料理じゃないのでは?」と問うモリスに、しょうゆとわさび、ねぎを添え、差し出すめ以子。「素材の味を大切にし、いちばんのおいしさを引き出すことこそ、日本料理」。そこには、め以子が求めた答えがありました。
西洋料理のローストビーフに和のしょうゆとわさびを添えた料理。おいしそうでした! お店のごちそう、というイメージが強いローストビーフですが、クックパッドには、おうちで簡単にできるレシピもたくさんありましたよ。
め以子の料理を食べたときのモリスの表情。そこには通訳を介さなくても「おいしい」という言葉がありました。め以子の女学校時代の恩師・宮本先生が教えてくれた言葉「あなたと私がどんなに違っても食べなければ生きて行けないということは同じ」。おいしい料理を食べて、おいしいと思う心があれば、争う必要なんて何もない。め以子の心の氷は、温かい涙とともに溶けたのです。
最終週はいろいろな人々が登場。和枝さんや竹元教授、桜子も疎開先から戻ってきます。そして、何よりもめ以子が待っている悠太郎は? 最後の最後までハラハラし、感動しながらも笑ってしまう「ごちそうさん」。あたたかい気持ちとともにフィナーレを迎えました。
料理を作る人がいて、食べる人がいる。それはとても幸せなこと。「ごちそうさん」のひと言に込められた大切な思いを再認識する、半年間でした。(TEXT:田久晶子)
終戦から2年。め以子は復員列車が到着するたびに駅まで出向き、悠太郎を探す日々。戦争の傷も少しずつ癒え、変わりつつある大阪の街や人々の中、め以子の心に残るアメリカへのわだかまりは溶けないままでした。そんなある日、甲子園での野球大会を再開するために、義妹・希子の上官モリスに蔵座敷で日本料理を出すことに。め以子が考えた「日本料理」を食べ、おいしい顔を見せるモリス。ともに、何も変わらない人間同士であることを知っため以子は、涙とともに、心が通じ合えたことを感じます。そして、ついに甲子園が再開される日。め以子は応援にはいかず、復員列車を待って駅に行くものの、悠太郎は現れません。落胆しながら戻るめ以子の前に、なぜか突然豚が飛び出してきて、そしてそこに現れたのは……