長野県大町市。北アルプスの登山口や黒部アルペンルートの長野県側の出発点。ここでは、信州の銘酒の米を作っている場所です。社会科見学&工場見学を通じて日本のものづくり現場を紹介・応援するメディア「しゃかいか!」が、アルプス搗精(精米)工場のリポートをお届けします。
それが今はコレ! アルプス搗精工場の中です。現在はこの秋の稼働時期に備えてメンテナンス中だったので中に入れなかったのですが、最新鋭なのがわかります。4万俵以上収容可能な原料タンクに30台の精米機。長野県のほとんどの酒米を担当しているので、大きいのは納得したけど、やっぱりデカイなー。 こちらの工場の繁忙期は9月中旬から3月いっぱいくらい。とくに10月から1月の間は24時間フル稼働なのだそうです。冬には蔵元でのお酒作りが本格化するので、年末はとっても忙しい。
赤い部分で玄米を受け入れる部分。30kg単位の米袋の玄米が入っていきます。 青い部分は精米されたお米を貯めておくタンク。
緑の屋根のマシンが精米機。 年ごとの出来や、品種ごとに異なる精米のパターンが微妙に変わってくるので、あらかじめプログラムされたコンピュータで制御されています。このコンピュータ化された精米機のおかげで多品種かつ高精度な精米が可能になりました。
精米マシンの仕組み 精米機の説明図も展示されています。 精米の基本は米同士をすり合わせて、表面を削ることの繰り返しです。テレビで一升瓶にはいった米を棒でこすっているのを見たことがありますが、あの原理を応用したと考えれば良いのだそうです。上から玄米を投入し、途中のヤスリで米が研磨され、精米と不要物が選り分けられていきます。 投入した玄米と出てきた精米の重量の差、と40%だと7~10時間、70%だと12時間というように稼働時間で精米歩合が決まります。
精米機の中のヤスリ。この中を米が通っていきます。 あらかじめプログラムされているので、人がかかわるのは微調整くらいなのだそうですが、気をつけないといけないのは温度。精米の際の摩擦で水分が飛び出るので、モーターのスピードを変えていきます。収穫された年の気候や品種によって変わってくるので、仕入れた玄米ごとに実際に精米をしてみて、人の目で見てチェック、調節して、さあ本格的な精米!となります。
奥の黄色い屋根のマシンでは、精米のステップで選り別けられた糠などの不要物が処理されます。
不要物である糠もたいせつに使われます! 酒米としては邪魔者である糠も、実はたんぱく質が豊富で栄養価が高いので、キチンと使われます。不純物の配合率によって色々な目的があり、たとえば、少し茶色い赤糠はキノコ栽培の菌床になったり、トラ糠は飼料、だんだん白くなって外皮の率が少ない上糠や特上粉は味噌や醤油、酢などの発酵食品の原料にもなります。不純物とか不要物とか邪魔者とか書いてすいません、糠さん。
特上粉になるときめがとても細やかです。
でも、5名で動かしています この大っきな工場を動かしているのは、全部で5人(事務の方1名を含む)なんですって! 受け入れから、精米の制御、製品や副産物のパレット積みなど全自動化されているとはいえ、少ないのでは?と思いましたが、キチンと回しています。 堀島さんの担当は、稼働計画の策定、精米の仕上がり具合のチェック、マシンの稼働状況の監視業務、機器のメンテナンス、仕入元や卸先との調整などなどなど..たくさんの役割があります。精米がわかる職人であり、マシンを診ることのエンジニアでもあり、全体もみないといけない。
信州のお酒がズラ〜リ 工場の中の展示スペースには約70種類の蔵元のお酒も紹介されています。 県内のほとんどの酒蔵のお酒を搗精する、とはいえ面積が全国第4位の長野県、その面積は広大で。しかし、長野県では信州という単位よりさらに細かく、安曇野や松本といったさまざまなエリアごとにお酒を楽しむことができます。酒飲み天国な県。 日本酒の需要アップに向けて、東京、大阪、長野市内でのイベントや試飲ツアーなど、長野県の蔵元は、みんなで元気に活動中。田んぼの中の工場が信州のお酒を支えています。
信州のお酒ラベルがずらりと並んだポスターとともにパチリ。 今日は見学を有難うございました!
【詳細情報】 アルプス搗精工場 電話番号:0261-22-5251 住所:長野県大町市大字平1040の250番 入館料:無料 開館日、開館時間等はお問い合わせください。