健やかに美しく人生を過ごすには、女性の体に欠かせない栄養素があります。飽食の時代とはいえ、不足している栄養素が意外に多いのも事実。「女性の人生に必要な栄養素」連載第2回は「食物繊維」です。
なかなか女性同士でも口にすることが少ないかもしれませんが、じつは便秘に悩んでいませんか?事実、男性に比べ女性には便秘の人が多いのですが、その原因は女性ホルモンにあります。便秘になると、お腹が張って体調が悪くなったり、肌が荒れたり吹き出物ができたりと、辛いことだらけですよね。
女性の月経周期は約28日。月経が始まって約14日後に排卵が起こります。排卵後、次の月経が始まるまで分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)は体に水分をためこむように指示を出すのですが、その結果大腸で便の水分が再吸収され、水分を奪われた便は硬くなり排泄されにくくなります。月経の前になるとむくみで体が重く感じたり、便秘気味になるのは、この黄体ホルモンの影響。さらに、黄体ホルモンは妊娠に備えて流産しないように子宮筋の収縮を抑制するため、子宮に近い腸の動き自体もにぶり、便が排泄されにくい状態に。このように女性は、女性ホルモンや子宮の影響で便秘になりやすいというわけです。
女性の体を司る女性ホルモンの影響である以上、便秘しやすい体の仕組みを変えることはできません。そこで注目したいのが「食物繊維」です。食物繊維とは食べ物の中で、体内の消化酵素では消化されない成分のことを指し、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」があります。それぞれ役割が異なるため、それぞれを摂取するよう心がけたいものです。
腸内で水分を吸収し膨らんで腸管を刺激して便意を起こさせたり、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進します。またかたく筋っぽいものが多いので、しっかり噛むことで満足感を得やすく食べすぎを防止することができます。
【多く含まれている食材】
ご飯(食物繊維量は白米よりも玄米の方が多いですが、白米にも含まれています)、全粒粉、大豆、おから、あずき、ごぼう、蓮根、里芋、さつま芋、かぼちゃ、人参、水菜、ほうれん草、ブロッコリー、アボカド、たけのこ、きのこ類など
腸内で水に溶けてぬるぬるした粘性を持ち、便を柔らかく排泄しやすくします。また善玉菌を増やす効果も。その他にも余分な脂肪の吸収を抑制、血糖値の急上昇を防止、血圧を下げるなど生活習慣病を予防にも効果があります。
【多く含まれている食材】
わかめ、こんぶ、ひじき、寒天(てんぐさ)など海草類、こんにゃくなど
日本人の食物繊維の摂取量の変化を見てみると、約60年前は1人あたり1日平均27.0g摂っていました。しかし、2012年の「国民健康•栄養調査」によると、その量は14.2gと約半分に。その原因として考えられるのが、食の欧米化です。
約60年前と総摂取カロリーはさほど変化していませんが、圧倒的に摂取量が減っているのがご飯など炭水化物。ごはんを含む炭水化物は多くの食物繊維を含んでいます。特に女性は、ご飯は太るというイメージで食べる量を減らしている人も多く、若い世代の女性の食物繊維不足が懸念されています。
先に述べた、食物繊維が豊富な食材は豆類、芋類、海草類、きのこ類。そしてご飯。つまり、食物繊維をたっぷり摂るなら「和食」これで決まりです。和食はちょっとハードル高い…なんて思っていませんか?そこで、毎日の食事の中で取り入れやすい食物繊維が豊富な簡単「和」レシピをご紹介します!
ごぼう、れんこん、きのこ、ご飯と食物繊維をたっぷり詰め込んだ炊き込み御飯。おにぎりにして冷凍しておけば、朝ご飯や夜食においしく食物繊維補給が出来ますね。
乾燥大豆から作ると時間がかかる五目豆も、水煮大豆を使えば気軽にチャレンジできます。不溶性食物繊維の多い大豆とごぼうに水溶性食物繊維の多いこんにゃくと昆布。まさに食物繊維の宝庫といえる一品。
低カロリーでブームになった寒天は、水溶性食物繊維が豊富。また水溶性食物繊維には、太る原因と言われている血糖値の急上昇を抑制するなどのうれしい効果があります。
ちなみに男性に比べて筋力が弱いために、便を腸から外に送り出す力が弱いのも女性に便秘が多い要因と考えられています。水分補給と便を排泄するための筋力をつけるために、意識して歩く歩数を増やすなど適度な運動も。出来ることから少しずつ始めて、腸内から美人を目指してくださいね。