【災害時に役立つ】非常時に「おいしい食事」を用意する知恵と工夫

【災害時に役立つ】非常時に「おいしい食事」を用意する知恵と工夫

被災すると当たり前のことが突然失われ、誰でも多かれ少なかれ心にダメージを受けます。そんな時の心の処方箋と言えるのが、食。平時に近いものを食べることで、精神的なバランスを保ちやすくなります。そこで、限られた条件下で平時に近い食事を用意するための知恵を『プチプラ防災』著者でレスキューナースの辻直美さんに伺いました。

食事は災害時の「心の処方箋」

――災害が起こると、「食事」においてどのような変化が起こりますか?

災害状況にもよりますが、ライフラインが切れてしまうと普段のように食事を作れなくなります。特に火と水が使えないのは致命的で、加熱による調理は代用する物を備えておかなければなりません。自分で食事が用意できないということは、備蓄しておいた物で賄う、もしくは救援物資での食事に頼ることになります。

特に救援物資での食事では自分の好みを優先することはできませんし、本来温かく食べるものでも冷えた状態、もしくは冷たい料理ばかりを食べることも考えられます。そうならないためには、防災食を買い込むのでなく、普段使っている食材のローリングストックを推奨します。

――食材のローリングストックについて詳しく教えて下さい。

ローリングストックとは、備蓄食品を定期的に飲食し、使用した分を補充するという方法。要するに、通常の食事の中で、食べながら備蓄する仕組みのことです。

普段からのストックとして使っているものを、少し多めに備蓄しておくことで以下のようなメリットがあります。

(1)災害用備蓄の場所を取らない
(2)常に新鮮な物を災害時に食べることができる
(3)食材の管理ができる
(4)災害時に普段と変わらない物を食べることが出来る
(5)普段の料理に際しても無駄がなくなる

被災時の食事は、唯一の楽しみであり、生きる希望になるものです。また、“食べる”という行動から、人とのコミュニケーションも持てるので、孤独からの解消にもつながります。

――被災時にとるべき食事を教えていただけますか。

できるだけ自分の好きなもの、好きな味のものを食べること。そして、できる限り温かい食事を食べることが大切です。その中で、水を無駄にせず、熱源も最小限の利用で作れるものを意識してください。

被災時の食事に際して、用意しておくと重宝するアイテム

ここでは、辻さんに聞いた災害時の「食事」において用意しておくと重宝するアイテムをご紹介。いざというときに備えて用意しておきましょう。

火を起こすアイテム

どちらかを用意しておくと火を使った調理ができる為便利です。

カセットコンロとガスボンベ

ライフラインが切れても、火を使った調理をすることができます。

ポケットストーブと固形燃料

軽量でコンパクトなので持ち運びにも便利。簡単に火を使った調理ができます。

調理時に重宝するアイテム

紹介する2点は揃えておくと非常に重宝するので要チェック。

アウトドア用のクックギア(アルミなどの熱伝導が良い鍋やフライパン)

被災時、ライフラインが切れると空気が冷えるため、普段はすぐに沸騰する鍋でも、非常に時間がかかります。アウトドア用のアイテムは熱伝導が高いため、少量の可燃量で、短時間で沸騰するので便利です。

高密度ポリエチレン袋

記事下で紹介するパッククッキング用に使用出来ます。

食器を取る際に重宝するアイテム

食事を取る際に役立つグッズ。食器は3パターン用意しましたが、いずれかを用意できるようにしておきましょう。

サランラップ

食器を包んで使用することで、食器自体を汚さず洗う手間を省けます。また、調理時にも役立ちます。

紙製の食器

使い捨てできるので、洗わなくても良い。軽く、持ち運びにも便利です。

割れにくい食器

陶器の食器は、地震のとき割れてしまう可能性も。避難中には軽く割れにくい食器のほうが重宝します。

アウトドア用アルミ食器

軽く、持ち運びに便利。また、重ねられるため、ストックに場所をとらないのも◎。

スープジャー、ステンレスジャー

お湯があれば、調理器具としても使えます。

しっかり覚えておきたい! お役立ちクッキングテクニック

被災時、食事がとても大切だということがわかりました。食べ慣れていた味、温かい食事。そこでここからは、被災時でもしっかりと食事を食べられるために、知っておくと便利なお役立ちクッキングテクニックをご紹介します。

1.お手軽さが魅力!火を使わない「即席パスタ」

パスタは早茹でができるものなら、高密度ポリエチレン袋に湯と入れて5分で完成! 茹でたお湯はスープに使ったり、食器を洗ったりと再利用ができることもポイントです。

用意するもの

ジッパー袋
お好みのパスタソース
パスタ麺(早ゆでタイプ推奨)
お湯もしくは水
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作り方

(1)ジッパー袋のサイズに合わせて折ったパスタを入れ、パスタがかぶる量のお湯、または水を入れる。 E04dca56bd62afd4795b7cf5f39df3b3

(2)水であれば1時間。お湯であれば5分、(1)の状態でおく。(目安は、指でパスタがちぎれる固さ) 78993c17b066d450d62b7604f9867d19

(3)お湯、水を切り、パスタソースをかける。 444fadb12b9f1ca7c0274b52eacfc5b0

(4)袋を揉み、パスタとソースを絡める。 3bb2a39cf31cd14198bb40e11cf8c7ae

(5)袋から出し皿に盛り付ける。水で作った場合は「冷製パスタ」になります。 78a708f8e0bb979b2b9d2eefdc939671

【辻さんのワンポイント!】
「パスタソースは、具が食べ応えのあるものがおすすめ! 備蓄品をセレクトするときに意識してみてください」

2.絶対に覚えておきたい!「パッククッキング」

災害時の温かい食事を口にすると、身体の内側から温まるので心を癒やしてくれます。「パッククッキング」というと難しい印象ですが、要は湯煎のこと。

ごはんの炊き方、肉もしくは魚と野菜のおかずの作り方、ゆで卵の作り方をお届けします。

用意するもの

<共通して用意するもの>
カセットコンロ
ガスボンベ
ポリ袋

<調理するものごとに用意するもの>
お米(研ぐ必要のない無洗米を推奨)
野菜(冷凍野菜可)
肉もしくは魚の缶詰1つ

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ごはんの炊き方

(1)食べる分の米をポリ袋に入れて水を注ぎ、ひとつ結び。 Bf1caaad11036e656835aea0c144ec5e

(2)水の量は米の上辺から見て人差し指の第一関節分になる程度の深さに。鍋に水を張り、食材の入ったポリ袋を入れて火にかけると、20分程で炊ける。 00a20699c6ffe0fd64b308a588d4e6f5

【辻さんのワンポイント!】
「ごはんは炊くには時間がかかりますが、米自身が熱を持つと火が入るのは意外に早く炊けます。取り出すタイミングは、炊飯器で炊いたような粒の艶加減より少し早めに鍋から出すくらいでOK。」

肉or魚(タンパク質)+野菜のおかずの作り方

(1)適当な大きさに切った野菜や冷凍野菜と、肉や魚の缶詰をポリ袋に入れる。 E82c205d8255d25bf2e414a665b1ffc3

(2)手でよく揉んで混ぜて、ひとつ結びにする。缶詰のかわりにパスタソースを調味料として使うのも◎。鍋に水を張り、食材の入ったポリ袋を入れて火にかける。 D1c00bfa9d2eab5139e8b662410e4a55

【辻さんのワンポイント!】
「肉は時間をかけて湯煎すること。特に豚肉や鶏肉は赤みが消えていることを確認して下さい。」

ゆで卵の作り方

(1)卵と卵が1cmほどつかる程度の水をポリ袋にいれる。 6dd9ea1ea198340ebecd4439b76bee88

(2)ひとつ結びする。蒸すので水の量は多くなくても問題ない。鍋に水を張り、食材の入ったポリ袋を入れて火にかける。 E73d7914a92de87f7353823087df3128

【辻さんのワンポイント!】
「ゆで卵に限りませんが、鍋の中の水が沸騰してから、ポリエチレンに入れた材料を入れましょう。水の時点で袋を入れてしまうと、沸騰までに多くの時間が必要になります。」

正しい知識と知恵を学んでおきましょう

災害時に、私達の支えとなってくれる「食事」。万が一のときのために、どんな食品や道具、あるいはテクニックを身につけておくべきなのかをこの機会に見直してみましょう。

(TEXT:上原かほり)


辻直美さんの新刊著書

レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社

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災害の多い日本。著者の辻直美さんは、阪神・淡路大震災で実家が全壊するという経験をされています。その経験から、レスキューナースとなった辻さんが教える「プチプラ防災術」は、どれも役に立つものばかり。

いざというときに調べるのではなく、日頃から、災害時に備えた知識を得て、備えておくことで、被災時の乗り越え方が大きく変わります。今回、ご紹介したのはごく一部。ぜひ「レスキューナースが教えるプチプラ防災」をチェックしてみてください。

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辻直美さん

969348aa0f799006fd36bec632ed6146 国際災害レスキューナース。一般社団法人育母塾代表理事。看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。看護師歴28年、災害レスキューナースとしては25年活躍している。被災地派遣は国内16件、海外2件。被災地での過酷な経験をもとに、“本当に使えた”防災術を多くの人に知ってほしいと、大学で防災に関する講義・講演や、小中学校での授業を精力的に行っている。2015年3月から1年間、毎日新聞で防災についてのコラムを執筆。現在、大阪防災力強化委員会にて防災専門家として活動中。大阪市福島区被災地学習選定委員も務めている。レスキューナースの活動と並行して、「たった3分で赤ちゃんが泣き止む」と話題の「まぁるい抱っこ」を提唱。子育てに悩む母親たちから絶大な支持を得ている。

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