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コラム

食材への考え方が変わるきっかけに!俳優・斎藤工さんが語る、映画「もったいないキッチン」の魅力とは?

オーストリアからやって来た食材救出人で映画監督のダーヴィド・グロスさんと相棒の塚本ニキさんが、日本全国を回ってフードロスの実態を探るドキュメンタリー映画『もったいないキッチン』。日本語吹き替え版でダーヴィド役を演じ、ナレーション、本作のアンバサダーを務めるのは俳優の斎藤工さんです。今回は斎藤さんに、フードロス問題について考える意義や『もったいないキッチン』の魅力についてお話を伺いました。

「残ったご飯はどうなってしまうのか」に目を向けよう

――斎藤さんが『もったいないキッチン』に関わることになった経緯を教えてください。

もともと、僕は(本作の制作・配給元である)ユナイテッドピープル株式会社が配給している作品のファンでした。どの作品も、人間が抱えている普遍的な問題を僕たちに提示してくれる。考えさせられる映画がとても多いです。

あるとき、ユナイテッドピープルの代表取締役である関根健次さんと、本作のアンバサダーである伊勢谷友介さんとの懇親会の場が設けられました。そのときに『もったいないキッチン』のことを知り、僕にできることがあればと吹き替えやアンバサダーを務めさせていただいたんです。

僕はシュタイナー教育を受けて育ちましたし、実家の食事はマクロビオティックを取り入れていました。自分にとって、食べ物はとても興味のあるテーマでした

撮影の現場やテレビ局のスタジオでは、お弁当やケータリングの食事が潤沢に用意されています。でも僕は、それらの食材が余っている様子を何度も目にしていたのに、「残ったご飯はどうなってしまうのか」という事実から目を背けてきました。

きっと多くの方々も、もったいないと思いながら見て見ぬふりをしていたことがたくさんあるはずです。自分を含め、本作がそういった方々の行動を変えるきっかけになればいいなと思っています。

料理法を工夫すれば、どんな食材も残さず使える

――フードロスの問題を解決するために、斎藤さんが取り組まれていることはありますか?

僕はコロナ禍の自粛要請期間中にずっと自炊をしていたんですが、なるべく食材を残さずに使い切ろうとしていました。産地直送の野菜を自宅に届けていただけるWebサービスを利用していて、いろんな野菜がランダムに届くんです。どうすればさまざまな野菜を上手に使い切れるか、毎日試行錯誤していました。

もしも野菜が余ってしまいそうなときは、キーマカレーベースの薬膳カレーをよくつくって、野菜を細かく切って入れていました。野菜のうまみがよく出て、オリジナリティのある味わいになります。それから、食材をうまく使い切るためにポトフをつくることもありました。野菜を鍋に入れてブイヨンで煮込むだけで、美味しい料理に仕上がります。

『もったいないキッチン』の劇中では、人々が食材のさまざまな部位を決して無駄にすることなく、上手に使うシーンが登場します。これは素晴らしいことで、僕自身もとても影響を受けました。これまでは「捨てることが当たり前」と思っていた食材の部位に対して「どうすれば美味しく料理できるだろう」と思うようになったんです。

――食材との向き合い方が変わってきたのですね。

コロナ禍による自粛要請期間は、僕らが当たり前だと思っている習慣を見つめなおす機会を与えてくれました。生活様式をより良いものに変えていくための準備時間をいただいたんだ、と僕は感じています。

いま、地球では人間が主役になりすぎています。あくまで地球そのものが主役で、僕らはその恩恵を受けて生きている存在です。これからの未来のために、自分たちの生活様式を見直していくこと、食材の無駄を出さない暮らしを心掛けることが大切だと思っています

食や映画は、世界中の人々をつないでくれる

――斎藤さんは料理レシピサービスの『クックパッド』を利用されることがありますか?

普段からよく利用しています。『もったいないキッチン』の劇中にもクックパッドが登場しますよね。

クックパッドには海外の郷土料理も多く投稿されていますが、これは大きな意義を持っていると思います。僕らは日本にいながら、食材さえあればイギリスの郷土料理が、もっといえば世界中の郷土料理が食べられるようになるからです。そして逆に、世界中の方たちが日本の郷土料理を味わえるようにもなります。つまり、食が世界の人々の共通言語になっていくはずです

映画も似たようなところがあります。僕はたくさんの映画祭に出席してきましたが、たとえ言葉が伝わらなくても、映画という共通言語があるだけで人と人はコミュニケーションを取れます。世界中の人々をつないでくれる役割を、食も映画も持っている。どちらも素晴らしい文化です。

そのふたつの良いところが交わっている作品が『もったいないキッチン』だと僕は感じています。

――ワクワクするような映画ですね。最後に『もったいないキッチン』の魅力について教えてください!

『もったいないキッチン』は、食というテーマを通じて僕たちに多くのことを伝えてくれる映画です。僕はこの作品を観るときに、食材を“人”に置き換えて考えているときがあります。無駄なものなんてない。誰もが主役になれるということを、この映画に教えてもらいました。

みなさんも、何かの食材が余ったときに捨てるのではなく、「これとこれが余っているから、こんな料理をつくろう」と考えていただけると嬉しいです。脇役だと思われている食材でも、絶対に主役にしてあげることができます。

衣食住は、人間にとってなくてはならないものです。『もったいないキッチン』は、これからの未来を照らす希望の光のような作品だと思います。ぜひみなさんに、この作品をテイスティングして頂けたら嬉しいです。

(取材:関根健次、TEXT:中薗昴)

斎藤工さんがアンバサダー・ナレーション・日本語吹き替えを担当!映画『もったいないキッチン』が8月8日(土)より全国順次ロードショー

食の「もったいない」を美味しく楽しく解決! 舞台は“もったいない精神“の国、日本。
“もったいない精神”に魅せられ、オーストリアからやって来た食材救出人で映画監督のダーヴィドが日本を旅して発見する、サステナブルな未来のヒントとは?

8月8日(土)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次ロードショー
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今回、映画のアンバサダーとなった斎藤工さんが、ナレーションと日本語吹き替え版のダーヴィド役を担当します。ぜひこの機会にご覧ください。
オリジナル版(外国語部分 日本語字幕)、斎藤さん吹替版(ダーヴィド・グロスの声)のどちらの上映になるかは劇場により異なります。詳しくは劇場にお問い合わせください。

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