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コラム

【買い物がラクになる】迷わない、考えない、悩まない「ワンパターン買い」のススメ

食材の買い物に行き、「何を買っていいのかわからない…」、「いつも同じものばかりを買ってしまう…」と、悩んだ経験がある方は多いのではないでしょうか? そんな悩みを抱える方を救ってくれる一冊の本が発売になりました。『ワンパターン買いが平日晩ごはんをラクにする。』(学研プラス)この本の著者である星野奈々子さんに、多くの方が悩む買い物のコツについてお話を聞きました。

「ワンパターン買い」なら、考えずに買い物ができる!

いろいろと献立を思い浮かべながら買い物に行くのに、いざ食材を前にすると何を買えばいいのかわからなくなることってありますよね。いつもと同じ食材ばかり買ってしまう…と悩んでいる方に朗報です! 星野さんいわく、買い物は一週間分、ワンパターン買いでOKなんだそう!

「毎日食事を作っているからと言って、料理好きな人ばかりではないですよね。それでも栄養のあるおいしいものを作りたいという気持ちで日々の献立に悩んでいる人は多いと思います。そんな方たちの、日々の買い物、献立作り、料理作りが少しでもラクになるように考えたのが『ワンパターン買い』です」(星野さん)

「ワンパターン買い」とは、具体的にどんな買い方のことなのでしょうか。

「『ワンパターン買い』とは、一週間分の晩ごはん分の食材を、野菜、肉、魚などの項目ごとに何種類買うかを覚えて、買い物をするということです。そのパターンを覚えて買い物に行けば、スーパーに行って『何を買おう』と悩むことがなくなるだけではなく、無駄な買い物をして食品を無駄にしたり、食材を無駄にすることも減るんです」(星野さん)

買い物がワンパターンだとメニューもワンパターンになるかと思いきや、本書で最初に紹介されるパターンでは、なんと同じ食材で10種類の献立(メニュー数だと30)が紹介されています!

汁物や副菜など、栄養面も考えられたメニューが10種類も!

星野さんが提案する「ワンパターン買い」の全貌を大公開!

定番野菜:5種類

ねぎ類、いも類、トマト、きのこ、青菜5種。青菜はそのとき安いもの、お好みを。

お好みの野菜:5種類

キャベツ、アスパラ、なす、かぼちゃ、白菜など旬の野菜、好きなものを選ぶ。

肉:3種類

鶏肉、豚肉、ひき肉の中から1つずつ。牛肉、ラム肉は高価なので、平日は買わないと割り切って。

魚介:2種類

季節や買い物に行く日によって、品ぞろえが違うので、新鮮そうなものや、特売のもの、食べたいものを選ぶ。

肉魚の加工品・豆類:2種類

肉魚の加工品はベーコン、ハム、スモークサーモンなど。豆類は豆腐類のほか、豆の水煮など。

缶詰:2種類

ツナ缶、コーン缶、さば缶、トマト缶がスタメン。

「野菜の中でも、定番野菜5種(ねぎ、トマト、きのこ、青菜、芋)は必ず一つずつ選ぶようにしています。『定番』というと、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもですが、それだと根菜ばかりに偏ってしまうので、お好み野菜5種は、レシピのアレンジがしやすく、栄養のバランス的にもとってほしい野菜を選びました。ねぎ類は何にでも合わせやすく、玉ねぎ、長ねぎ、のどちらかを用意しておくと便利。トマトは生でも加熱しても使え、彩りも良くなります。きのこは旨味が出やすいのでスープに入れたり、お肉やお魚と組み合わせるに使いやすいです。青菜は副菜に使いやすいので一つあると便利ですが、日持ちがしないので、週初めに使うのがおすすめです。『5種以外の野菜は自由に』としたのは、旬の野菜を買うのが栄養的にも値段的にもいちばん良いと思ったからです。自由度をもたせて、家族の好みや特売などで選んでいただければと思います」(星野さん)

 一週間単位では栄養バランスの良いようになっている

星野さんが提案する「ワンパターン買い」は、買い物のラクさだけでなく、一週間分の晩ごはんで摂れる栄養バランスまで考えられているんだそう。

「たんぱく質量や、野菜量を考えながら毎日バランスの良い献立を考えるのはとても大変です。この買い物ルールに沿って買い物をし、それを順番に使っていけば、一日単位では足りなくても一週間単位ではそれなりにバランスの良い食事になるようにルールを作っています。たんぱく質量、野菜量は「日本人の食事摂取基準2020」という本を参考にして、たんぱく質は、肉、魚、豆、加工肉、缶詰などで合わせて1人1食40〜50gくらいは摂れるように、それ以外にごはんや卵、乳製品にもたんぱく質は入っているので、合わせて夕食だけで1日の半分くらいは一食で摂れるようにと考えました」(星野さん)

なるほど。栄養バランスまで考えられているとなると、ワンパターン買いを実践しない手はないですね。ちなみに、食材の好き嫌いや、使いやすい食材がご家庭によって違う場合はどのように対応したらいいのでしょうか。

「使いやすいお肉が多めではありますが、ご家庭に合わせて、お肉をお魚や豆類と置き換えても良いと思います。野菜は芋を除いて1人1食200〜250gくらい。(同様に30〜40代の摂取基準は350g/日)、野菜は朝昼は特に摂りにくいので、1日の2/3は夕食から摂れるように野菜はたっぷりめに設定しています」(星野さん)

「名前のないメニュー」でワンパターン化を防ぐ

本書のレシピをある程度やり切って、いざ自分で「ワンパターン買い」をメニュー化にしていこうと思うと、結局料理がワンパターンになってしまうのではないかと思うのですが、どうしたらよいでしょうか。 

「『唐揚げ』や『ハンバーグ』など、名前のあるメニューではなく、『◯◯と◯◯の◯◯炒め』、『◯◯と◯◯を煮たもの』と、その日にある食材を組み合わせて、名前のないメニューを作るのが、ワンパーン化しないポイントです。私は、普段は直前までメニューは決めていなくて、とりあえず食材を冷蔵庫から出し、切りながら味付けを考えたりしています。あと、食材の組み合わせを変えてみるのもおすすめです。全く合わない食材というのは少ないので、余っている食材を一緒に炒めたり、蒸し煮にしたり、自由に組み合わせてみると新しい発見があって面白いと思います」(星野さん)

確かに、メニューを決めてから買い物に行くと、そのメニューに必要な食材だけを購入することが多いですよね。食材からメニューを考えることでできる「名前のないメニュー」が完成すると、料理の楽しみを見出せそうですね!

使い切れなかった食材は「回収レシピ」で活用する

1週間分の食材を購入しても、晩ごはんを作らない日があったり、食材があまるということも起こるはず…。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。

「最初は、読者の方は毎日ご飯を作ることを想定し、買ってきた食材は使い切ることを前提としていたのですが、編集者さんから『作れなかった時の「逃げ」を作っておきたい』というご提案をいただいたんです。確かに、作れない日は外食でもお惣菜を買ってきても良いですし、そのときに余ったレシピを使いきれるレシピ、ということで、『回収レシピ』を紹介しています」(星野さん)

冷蔵庫に余った食材を回収できるレシピを身に着けると、今度いろいろと応用がききそうですね。回収レシピには、どのようなものがあるのでしょうか。

春巻きやせいろ蒸し、スープなど、どんな食材が余ってもおいしくアレンジできるメニューを考えました。どんな食材でも作れるものばかりです。例えば、春巻きは、お肉が100g、野菜200gに味をつけて春巻きの皮で巻けば完成です。グラタンも、ホワイトソースを作らなくても、生クリームとチーズでおいしくできてすごく簡単です。回収レシピだけでも、身に着けたらすごく役立つと思います」(星野さん)

回収レシピが上達したら、料理の腕前も上がりそう。ラクをしながら、気がついたら料理の技術が上がっていくのが「ワンパターン買い」のすごいところかもしれません。

(TEXT:上原かほり)

※ メイン写真は記事をイメージして選定させていただきました
画像提供:Adobe Stock

 星野奈々子さんの新刊著書

ワンパターン買いが平日晩ごはんをラクにする。』(学研プラス

「メインはフライパンで、サブは、生またはレンジ、スープは小鍋と、調理法をある程度決めておくことにより、自然に段取りよく調理できるようになっています。どの献立も、30分程度でできます。

また、基本的な調味料しか使用していないので、すぐに真似できるのもポイントです。シンプルな味付けがほとんどですが、『料理ってこんなにシンプルで簡単でいいんだ』と、気づいてもらえたら嬉しいです。

個人的なおすすめは週末のごちそうレシピ。週末は一切の制限を取り払って、自由に料理を楽しんでもらいたい!と思って作ったページです」(星野さん)

ありそうでなかった、「買い物」がテーマになっているレシピ本。買い物リストがダウンロードできるQRコードまで掲載されていて、料理が完成するまでのすべての工程を細かくケアしてくれている1冊ですよ。

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