【ほっこり江戸ごはんvol.11】江戸好きが高じて、地毛で「ちょんまげ」まで結ってしまった江戸マニアの伊尾木将之さんに、江戸時代のレシピとともにほっこりエピソードを教えてもらいます。今回は、イマドキの流行りにも繋がるヘルシーな一品です。
おはようございます、こんにちは、こんばんは。 江戸時代が大好きで江戸の食文化を研究している伊尾木と言います。
このまえ知り合いから「江戸時代のバレンタインってどんな感じだったんですか」って聞かれました。 てっきりギャグなのかと思いきや、わりと真面目に聞かれていて、逆に新鮮やなっと思いました。 いずれにしろ江戸時代に興味をもってくれるのは、嬉しいことです。 ちなみに、現代のバレンタインのイベントは戦後からです。
さて、そんな個人的な話はおいておいて、今回紹介するのは「麦飯卵(ばくはんたまご)」というもち麦のごはんです。 食感がもちもちで味わいが深くて、しかも栄養満点なのでオススメです!
もち麦を2度炊飯するという手のこんだ料理になります。
まず、もち麦を水に浸します。30分くらいでいいと思います。
次に白米を混ぜて普通に炊きます。このとき水は少なめで構いません。
炊きあがったら、ごはんを水で洗って、水を切っておきます。
炊飯器の底におつまみ昆布を並べます。
水を切っておいたごはんに、溶いた玉子と料理酒をまぜます。
それを炊飯器にいれて、もう一度炊飯すれば完成です!
江戸時代というと、白米はあまり食べられなかったというイメージがあるかもしれません。 たしかに、当時の多くの人にとっては白米だけのごはんは憧れでした。ただ、都市としての江戸では白米が常食されていました。というのも、全国から年貢米が集まるので米の値段が安くなっていたからです。なので、「白米をいつも食べられる江戸」というのが江戸っ子の誇りでもありました。
江戸っ子は白米プライドも相まって、毎日大量の白米を食べていました。 どれくらいの量だったかというと、なんと一人で1日4.4合くらい食べていたようです。 すごい量ですよね。どれくらい白米が好きなんだっていう。
もちろん、その分おかずはぐっと少なく、ほとんど白米ばかり食べているような状態です。
さらに、おかず不足からビタミンB1が足りなくて、脚気が流行していました。
何事もほどほどが良いっということかもしれませんね...。
参考文献 [1] 江原絢子編, 『日本食の文化 原始から現代に至る食のあゆみ』, アイ・ケイコーポレーション出版, 2021.
大阪出身のうさぎ好き。修士までは物理を学び、博士課程で情報系に進むも撃沈。現在はクックパッドでエンジニアをしながら、食文化を研究している。
日本家政学会 食文化研究部会の役員を務める。
2020年秋から社会人大学生(文学部)に。
本業は川崎フロンターレのサポーター。