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コラム

目の前の理不尽に立ち向かう!コロナ禍でも負けない「デリシャスパーティ♡プリキュア」が伝えたい料理のこと

現在、テレビ朝日系列で放送中の「デリシャスパーティ♡プリキュア」。プリキュアシリーズでは19作目となる今作のモチーフは、「ごはん」です。ありがとうの気持ち、シェアする喜びをテーマに、「ごはんは笑顔」を伝える「デリシャスパーティ♡プリキュア」について、前作「ヒーリングっど♥プリキュア」(2020年)、今作「デリシャスパーティ♡プリキュア」(2022年)のプロデューサー安見香さんにお話しを聞きました。

「わかちあえない状況」から生まれた新シリーズ

――現在放送中の「デリシャスパーティ♡プリキュア」のモチーフが「ごはん」になった理由を教えてください。

前作の「ヒーリングっど♥プリキュア」は、2020年2月の放送スタートと同時にコロナ禍になってしまいました。その中で、2022年放送のプリキュアを私が担当させていただくことになりました。もともと食いしん坊で、いつか「ごはん」をモチーフにした作品をやりたいと思っていたことに加えて、 “みんなと分かち合うことができない”という状況下であることからも思うところがあり、ごはんをモチーフにした作品にしたいなと思いました。

――みんなと食事をするということが難しくなった、というコロナ禍の影響があったのですね。

コロナ禍がはじまった当時は、世の中が「どうしたら良いんだろう」という雰囲気になっていましたよね。みんなで揃って食べるごはんの大切さを改めて感じた時期でもありましたし、ごはんへの感謝の気持ちからつながって「ありがとう」の気持ちが広がっていくこと、分かち合うということをテーマにして作品づくりができたらなと感じました。

――コロナ禍での制作で大変だったことはなんですか?

これまでは、シナリオ作り、画作り、収録、等全ての過程においてみんなで集まって作るというのが当たり前でした。それが難しい状況になってしまい、シナリオはリモートで打ち合わせ、集まる場合も限られた人数で……。通常とは異なる状況で作品を作ることになり、みんなで分かち合うという気持ちを一緒に体感することが難しいことがとてももどかしく感じました。

――イベントの開催も難しい中で、どのように子どもたちやファンの反応をみていたのでしょうか。

本来は、キャラクターショーがファンのみなさまの反応を見られる貴重な機会でしたが、コロナ禍はショーの実施がほぼできませんでした。いつもは、ファンの方たちの反応を体感しながら、世界観を作っていくことも出来るのですが…。実際に見ることは難しくとも、SNS等でみなさんのお声を拝見し、作品をたくさんの方が見てくださっていることを実感できることは、スタッフ一同で喜んでおりました。

キャラクターを通じて伝えたい思い

――作品を見ていると、毎回出てくる料理に関するワザがユニークで引き込まれます。それぞれのプリキュアの個性が伝わってくるワザばかりですよね。

主人公である和食モチーフのキュアプレシャス[和実(なごみ)ゆい]は、カロリーをしっかり使うワザにしたいということになり、「500キロカロリーパンチ!」、「1000キロカロリーパンチ!」と、パンチのカロリーが上がっていっています。ペアになるのはお米のエナジー妖精の「コメコメ」です。キュアスパイシー[芙羽(ふわ)ここね]は、洋食をモチーフにしていて、ペアを組むエナジー妖精がパンのエナジー妖精「パムパム」なので、パンを使った「ピリッtoサンドプレス」というワザや、パンのバリアを繰り出したりします。また、キュアヤムヤム[華満(はなみち)らん]は、中華モチーフで、麺のエナジー妖精「メンメン」とペアになっているので、「バリカッターブレイズ!」というワザがあります。

――プリキュアはもちろんですが、その他のキャラクターの存在感も大きいですよね。

プリキュアシリーズで一貫しているテーマが、目の前の理不尽に立ち向かうことです。今回は、お料理に宿る妖精「レシピッピ」というキャラクターたちを通して、いつも食べている当たり前のお料理が大変なことになり、「そんな風になったらいやだなぁ」と感じられるストーリーにしたいと思いました。見ていただいているお子さまたちに、「私もレシピッピを守りたい! お料理を大切にしたい」という気持ちや親近感を持っていただければ嬉しいなと思います。

お料理がおいしく見えるように

――デリシャスパーティ♡プリキュアを通して、どんなことを視聴者に伝えたいですか?

お子さまにわかりやすく伝える上で、「ありがとうの気持ち」を可視化したいという想いがありまして、ごはんを食べたときに、「ほかほかハート」という幸せな感謝の気持ちが浮き出して現れるシーンがあります。今回のプリキュアは、基本的にはお料理を食べる側のお話です。作る人・食べる人の両方に「ありがとう」が重なりひろがって、優しい世界になったら良いなという気持ちを込めています。また、一個人としても、ごはんは一人で食べてもおいしく、幸せを分けてくれるものだと感じておりますが、一緒に食べてもおいしいよ、という分かち合う気持ちも、伝えられたら良いなと思っております。

――視聴者からはどのような声が届ていますか?

お子さまと一緒にご覧になっている親御さんから、「普段はあまり食べないのに、アニメで見たものを『食べてみたい』と言って、食べるようになった」とか、「一緒にお料理を作るようになりました」という、心あたたまる、ありがたいコメントをいただくこともありました。プリキュアは、主に6歳くらいまでの小さなお子さまが見てくださる作品ですので、大きくなった時に、「昔、プリキュアがあんなふうに言っていたな」ということを思い出してもらえるような作品になったら嬉しいなと思います。

――小さな頃に見た作品は、人生に大きな影響を与えますよね。今作にもたくさんのメッセージが込められているので、きっと見ているお子さんたちの記憶に残ると思います。

難しいお説法のようにはならないように、チームのみなさんと気をつけてお話を作ってはおりますが、ごはんをおいしく食べたり、「いただきます」「ごちそうさま」という言葉をみんなで言うシーンはとても大切にしています。家族みんなでごはんを食べて、「おいしいね」と笑顔で言っている瞬間が素敵だなぁと感じていただければうれしいです。

――最後に、本作の見どころを教えてください。

ゆいちゃんたちの物語とともに、とにかく、お料理がおいしく見えるようにと制作チームのみなさんも心を燃やして作ってくださっています。毎回それがコミュニケーションの一端にもなったらいいな、家族で話題になってくれたらいいなとか、一緒に作るというコミュニケーションにもなったらいいなと思っています。主人公の和実ゆいはのびのびしていて気持ちのいい子で、そのまわりに人が集まり、楽しい食事を繰り広げます。和実家の居間にみんなが集まってパーティしているところに、ぜひご一緒に集まって、楽しんでいただけたらと思います。

(TEXT:上原かほり)

取材協力

「デリシャスパーティ♡プリキュア」プロデューサー 安見香

作品情報

デリシャスパーティ♡プリキュア

モチーフは「食事やお料理たち」・ テーマは「ありがとうの気持ち」「シェアする喜び」・キーワードは「ごはんは笑顔」! 世界中のおいしいお料理が集うステキな街・おいしーなタウンを舞台に、 新たなプリキュアが大活躍! みんなの「おいしい笑顔」を守りたい!最高にあったかくて、おいしいプリキュア誕生!! ごはんは笑顔♡ みんなあつまれ!いただきます!!

【放送情報】毎週日曜日 あさ8:30〜9:00/ABCテレビ・テレビ朝日系列

© ABC-A・東映アニメーション

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