たまのお給料日やお祝い事などで奮発したステーキ。せっかく高いお肉を買ってきたのに、焼いたら固くなってしまってガッカリなんて経験をした人も多いのでは?お肉が固くなるのは、実はあることに原因があったのです。
1月28日のNHK「あさイチ」をご覧になりましたか?“焼きの極意”というテーマで、ステーキの美味しい焼き方を特集していました。 みなさんにもせっかく奮発して買ってきたお肉を焼いたら、固くてパサパサしていたという経験があるはず。実はこれ、焼く温度に問題があるんだそう。調理科学の専門家・佐藤秀美さんによれば、「1cm以上の厚さの牛肉を美味しく焼くポイントは、中心温度が65度以上にならないようにすること」にあるそうです。
同じ重さのお肉を中心温度が65度まであがらないようにして焼いたステーキと、75度以上になるように焼いたステーキとで重さを比較すると、75度以上で焼いたステーキは、65度で焼いたものよりも、12gも軽くなっていたという実験結果もあるぐらい。実は、肉が軽くなったのは、肉汁が失われたのが原因。
肉は筋繊維がコラーゲンの膜で束ねられた構造。コラーゲンは65度を超えると縮んで、筋繊維を締め付けるので肉汁が絞り出されます。そのせいで肉が固くなるというのだからビックリです。
65度を超えるとお肉が固くなるメカニズムがわかっていただけたと思います。でも、家でステーキを焼くとき、いちいち温度を図るなんてできませんよね。そんな場合どうしたらいいのか?ステーキの焼き方をリポートしつつ、ご紹介したいと思います。
①まずは冷蔵庫からステーキ肉を出し、30分ぐらい置いて室温に戻します
②サラダ油を引いたフライパンを中火で30秒ほど温めます
③その後ステーキ肉を入れます
この後が大事!肉を焼いたら、肉汁が出ていないかチェック。それもへらで押したり、竹串で刺したりせず、自然に出てくる肉汁が目安になるそうです。
肉汁がうっすらと出てきたらステーキ肉をひっくり返すベストタイミング。裏返してしばらく焼き、同じように肉汁が浮かび上がってきたらOK!
この焼き方なら中心部分が65度を超えることはないそう。よくステーキから出てくる血が苦手なんて声も聞きますが、実はステーキを焼いているときにでる赤い汁は、血ではなく、ミオグロビンという色素。だからこそしっかり焼かなくても大丈夫なんだそうです。
でも、実際に使うのは、厚切りのステーキではなく、薄切りの肉のほうが多いですよね。そんな薄切りの肉の場合も、同じように65度で焼いたほうがいいの?と疑問に思った方もいらっしゃるはず。もちろん65度焼きにしたほうがいいのですが、薄い肉の場合は焼き色がつく間に、中心部が65度に達してしまうので、注意が必要なんだそう。
こんなときは、佐藤さんいわく「メイラード反応」を利用するといいそうです。
メイラード反応とは、アミノ酸と糖によって肉に香ばしい焼き色を付ける反応。元々肉にはアミノ酸と糖が含まれています。薄切り肉をそのまま焼いてしまうとメイラード反応ができたときには中心部が65度を超えてしまうのですが、これからお伝えするタレにつけ込んで焼けば、先に反応が起こるので、中心部が65度以上になりません。つまり、焦げることなく、美味しくお肉が焼けるそうです。
簡単な組み合わせなので、ぜひ活用してみてくださいね。
アミノ酸→みそ・オイスターソース・しょうゆ
糖分→みりん・ハチミツ・さとう
※上記のアミノ酸と糖分を必ず一緒に使う。
目からウロコの情報がたっぷりでしたね。でも、クックパッドにも、肉を柔らかくするアイディアが。こちらも要チェック!
今ご紹介したアイディアは、実はどれも簡単なことばかり。早速、チャレンジして、柔らかくて美味しいステーキを味わってみてくださいね。 (TEXT: 黒沢るか/ライツ)